適正な勘定科目が分からない、何となく…そんな安易な理由で雑費を計上をしていないでしょうか?
支出に対して雑費を多用すると、その仕訳から作成される会計帳簿や財務諸表は信頼性の低いものとなってしまいます。
なぜ雑費が多いといけないのか?今回は勘定科目の使い方について解説していきます。
会計帳簿の作成を行うためには、その事業者の取引内容を仕訳として表現することが最初に必要なことです。
最初に必要なことでありながら、各仕訳の集計をした元帳の作成等が会計ソフトで自動作成を行うことが出来る近年では、この仕訳の内容の判断が最も大切であり、仕訳において正しい金額を算定し適正な勘定科目を選択することが、会計帳簿を作成することの要ともいえます。
会計帳簿の作成が単に会社の損益を算出することが目的であれば、勘定科目は収益と費用だけに分ければ、会社の利益はその収益と費用の差し引きで算出することが出来ます。
しかし会計帳簿の役割は会社の損益を算出することのみではありません。その作成された会計帳簿から様々な情報を得て、経営者は経営判断を、利害関係者は投資判断を行うために適切な勘定科目の選択は必要となります。
資金繰りで悩む経営者が、その事業者の支出が一括で雑費として計上されていたら、何に対して何円支払っているのかが全く分かりません。どの支出を削減して資金繰りを改善していくのか、支出の内訳が分かることで、例えば地代家賃が多いから家賃の低い事業所の移転を検討する、広告宣伝費が多いから看板設置を止めて無料のSNSの検討をする、等の判断をすることが出来ます。
勘定科目の選択に経理担当者が最も悩むのは費用科目です。費用科目は数が多いことが大きな理由です。しかしいずれかの費用科目に適切に取引を該当させることが必要です。
一般的な費用科目には下記のようなものがあります。
各費用の勘定科目の詳細については下記コラムをご参照ください。
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各費用の勘定科目の中において、最も定義が曖昧な勘定科目が雑費です。
雑費とは、その他の勘定科目に該当をしないような雑多な支出を処理するための勘定科目です。
雑多な支出を処理するための勘定科目ではありますが、安易に雑費を選択することはお勧めできません。
作成された会計帳簿において、他の勘定科目に該当をすることが出来る内容の取引を、雑費として仕訳を計上をしている場合が散見されます。
勘定科目の判断がつかなかったものについて、雑費で会計処理を行うことは間違いではありません。支出がどの費用の勘定科目に属していても、それが費用として認められるものである限り、事業者の損益に影響を与えません。
しかし下記の理由から、雑費を多用することは望ましく無いといえます。
上記で解説しました通り、適正な勘定科目を選択することは、会計帳簿から作成された財務諸表によって経営判断や投資判断をする際に必要なことです。
財務諸表を閲覧するのは、経営判断を行う経営者、投資を行う個人投資家ばかりではありません。
申告書と共に税務署や金融機関も目を通すことになります。
雑費が多額である財務諸表には、他の勘定科目に該当をする取引を判断することが出来ずに雑費としている可能性があり、その経理担当者の会計能力が低い、更には正しい処理が行えていない、不正な処理を行っているのではないかという懸念が生じやすくなります。
懸念が生じる財務諸表を提出する事業者には、税務署からは税務調査が行われやすく、また金融機関からは融資をしぶる傾向にあります。
対税務署、対金融機関からの観点からも、適正な勘定科目を選択がされていると考え得る財務諸表を作成することが必要です。
下記に該当をする場合は、雑費ではなく他の勘定科目が相応しい場合があります。
・毎月同じ内容や金額の支出がある場合
・金額が他の勘定科目よりも多額である場合
・費用全体から鑑みて雑費の割合が多い場合
雑費を仕訳の勘定科目として使い過ぎると、その仕訳により作成された会計帳簿、財務諸表の信頼性が失われ、経営判断や投資判断のつきにくい会計帳簿、財務諸表となってしまいます。
出来る限り、雑費ではない勘定科目を選択をして仕訳の計上を行えるようにしましょう。
勘定科目を選択にお困りの際は、HUPROのコラムやHUPROでご紹介しております専門家を、是非ご利用ください。