税金は法人税、所得税、消費税、贈与税、固定資産税、酒税、など様々な種類がありますが、税理士にとって重要な業務の一つとなるのが相続税です。ここでは、そもそも相続税とは何か、仕組みと共にどんな人が税理士にお願いするべきか、税理士に何を確認しておけば良いかなどを解説していきます。
相続税とは亡くなった人から相続や遺産などにより取得した財産の合計額が、基礎控除額を超える場合に支払うべき税金です。相続や遺産は現金だけでなく、建物や土地も含まれます。建物や土地の時価評価は、建物の場合は固定資産税評価額、土地の場合は路線価を元に評価します。
相続税は下記の4ステップによりまずは課税遺産総額を算出します。
課税遺産総額を算出した後、下記の4ステップにより実際の相続税を計算していきます。
相続税の税率は法定相続人の取得する財産に応じて変動し、1,000万円以下は10%、6億円超は55%など細かく分かれています。
相続税には基礎控除が設定されており、この基礎控除が大きいことが特徴的な税金です。相続税の基礎控除は下記の計算式で計算されます。
相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人とは、民法で定められた相続人のことを指しますが、具体的には配偶者や子供の事を指し、いない場合には両親、孫など順位が厳格に定められています。ここで、例えば父、母、子供二人の一般的な4人家族の事を考えてみましょう。不幸にも父が亡くなってしまった場合、法定相続人は母、子供二人の3人となります。相続税の基礎控除は下記のとおりです。
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×3名=4,800万円
ここで、父の残した遺産総額が4,800万円未満であれば、課税遺産総額が発生しないため相続税はかかりません。つまり、申告の必要もなく税理士にお願いする必要もありません。単に遺産を配分するだけで事足ります。
一方、相続税の基礎控除を超える多額の遺産がある場合や、遺産が株式や不動産、動産など現金以外の物が多い場合などは、税理士に相談するのも一つの手でしょう。もちろん、相続税の基礎控除を超えてしまっていても、財産が現金のみで計算が楽な場合、遺産の配分に揉め事が起こらない場合などは、自分で申告することも可能です。自分で申告する場合は後に税務調査が入った場合の対策や加算税が課されないようある程度正確に計算する必要があることに注意が必要です。
業務の複雑性や金額、地域によっても様々ですが、下記のような相場感となります。
相続税の申告を税理士にお願いする場合のメリットとして、追徴課税の防止、税務調査対策、節税対策、などがありますので、上記の税理士の費用相場とメリデメを比較して検討してみてはいかがでしょうか。
相続税の申告期限は法人税や所得税と異なり、被相続人の死亡を知った日の翌日から10カ月以内とされています。相続人の数が多い場合や遺産総額が多い場合、家族が海外に行っているなどなかなか集まれない場合などを考慮して比較的長いスケジュールが引かれています。一方、相続税も申告と同時に納付も必要であるため、それまでに各相続人の財産価値を算出し実際の納付額を計算し、申告書も作成するとなるとそこまで悠長なことも言ってられません。それでも期限に間に合わなかった場合はどうなるのでしょうか。
相続税の申告期限に間に合わなかった場合、①相続税の軽減特例が使用できない場合がある、②追徴課税の不利益があります。追徴課税には延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税とあり、無駄な税金を支払うことのないよう、相続の問題が発生した際は早めにスケジュールを立てて動いていく事が何よりも重要です。申告スケジュールは原則10カ月で特別な場合を除き延長することはできません。特別な場合とは、相続人の異動や遺言書が新たに見つかった場合、相続人の人数に含まれていた胎児が生まれた場合など極めて限定的な場合に限られます。
相続税と混合しがちなものとして、資産税や遺産税が挙げられます。これらの違いについては他コラムで詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
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