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『世の中の人に良い影響を与えたい』大手税理士法人で得た経験から、独立に至るまで アンパサンド税理士法人代表 山田 典正氏のキャリアに迫る!

HUPRO 編集部
『世の中の人に良い影響を与えたい』大手税理士法人で得た経験から、独立に至るまで アンパサンド税理士法人代表 山田 典正氏のキャリアに迫る!

「人に良い影響を与えたい」明確な目的のもとキャリアを展開してきた、山田 典正氏。アクタス税理士法人での経験の後、個人で事務所を独立開業。現在は約10名のスタッフが所属する、アンパサンド税理士法人/アンパサンド株式会社代表も務めています。山田氏にとって「人に良い影響を与える」とは?HUPRO編集部がお話を伺いました!

【ご経歴】

2008年1月 アクタス税理士法人へ入社
2015年1月 山田典正税理士事務所 設立
2018年年1月 アンパサンド税理士事務所へ社名変更
2019年年10月 組織変更 アンパサンド税理士法人へ

税理士になることより、常にその先を見ていた

ーなぜ税理士になろうと思われたのですか?

簡単に経緯からお話しさせていただくと、学生時代は税理士になろうとは考えていませんでした。母が税理士、父が公認会計士ではある家庭で育ちましたがそれを継ごうとかは考えていませんでした。実家の事務所で両親の仕事を見てはいましたが、事務作業という印象が強く、当時自分のありたい姿とのギャップを感じていました。

学生時代は音楽に打ち込んでいたのですが、プロの方と比較するとそこに割く熱量や気持ちは伴っていなかったので生業にしようとは考えていませんでした。また普通にサラリーマンをやるようなイメージもつきませんでした。

そんな風に悩んでいる時、税理士である母親と話す機会が偶然にもあり、その時に「税理士の仕事は単に税務をやるだけでなく、人の人生のあらゆる相談に乗ることが本質である」と言う事を聞いて、自分の中で何か共感することがあり税理士を目指すことにしました。自分の中では人生をかけて「人に良い影響を与えたい」という思いと目的がありました。

ー「人に良い影響を与えるとは」具体的にどういうことですか?

良い影響とは自分の発した言葉や行動で、人の人生のきっかけやプラスになることです。さらにその良い影響というものが、深く一人一人に届くものだと良いなと思っています。そこが税理士という仕事の本質と結びついてピンときたのかもしれないです。

深く一人一人の人生に根ざした価値提供という思いと目的の先に、税理士という仕事が手段としてありました。そういった意味では特段税理士の仕事にこだわりがあるわけではありません。今でも自身の価値観の発信や、情報の提供をSNSを通じて行っています。昨年に実はプロフィールから敢えて税理士という肩書きを除いてみました。それは本来の目的とはあまり関係がないからです。

ー資格取得の勉強はどのように進めましたか?

大学卒業後には、資格取得のための専門学校に通っていました。学費は両親の援助を受けていましたが、生活費はなんとかしようと派遣のコールセンターの仕事をして授業が始まる9月前までにお金を貯めました。勉強を始めていく中で、資格の勉強はやることが明確なのでメリハリをつけて、過ごしていました。その後は初年度で、3科目(簿記論・財務諸表論・消費税法)を受験して2科目合格。2年目は2科目(法人税法・相続税法)を受験しましたが、結果は両方とも不合格でした。

しかし3年目になった時、前進している感覚が欲しいなと思ったんです。税理士試験の勉強はもちろん大事ではあったんですが、成長を感じ辛くなったんですよね。初年度はインプットも多く、進んでいる感覚はあるものの、2年、3年と過ぎると新しい分野の学習もほぼないので、成長をするために何より実務をしたいという思いが強くなりました。そのため2科目持ちの状態で大手の税理士法人に就職しました。その後最後の5科目を合格するのも含めて7年間の時間を要しました。

ー試験勉強で辛かったことはなんですか?

大きく分けて2つあります。
1つ目は暗記です。もともと暗記が大の苦手で。。暗記を乗り切るためには隙間時間でぶつぶつつぶやいて暗唱を繰り返しました。他に比べて特殊なことはしてないです。世間一般の税理士受験生の皆さんと同じじゃないでしょうか?

2つ目は仕事をしながらの勉強です。ここは人生の中でも一番頑張ったなと思います。何より会社での仕事をしながら、土日返上で勉強することは体力的にきついこともありましたが『気合い』で乗り切りました。(笑)

ー仕事しながらだと余計大変ですよね?

仕事しながらの勉強は大変でしたが、悪いことばかりではなかったです。それは実務をイメージしながら勉強とリンクさせることができたからです。元々、実家の会計事務所の手伝いもしていたのでイメージはあったのですが、それ以上に仕事を通じての学びが資格の勉強に活きているという感覚が強かったです。特に最後の科目の相続税法は5年ぶりに3ヶ月程の勉強で受かることができましたが、実務の経験が本当に活きました。

大手税理士法人で学んだことが、今でも力になっている

ー大手税理士法人ではどのような経験をされたのですか?

自分はアクタス税理士法人に入社をしました。入社してからは、法人の顧問業務を中心に仕事をしました。入社後すぐに20億から30億の年商をあげている企業もメインで担当していました。他にも個人の確定申告からSPCなど幅広く関わらせていただきました。最初の2年間はものすごく大変だったのを覚えています。

顧問先は、一人のプロとして自分を頼ってくるので、「知りませんわかりません」が通じません。税務相談に乗っているとわからない単語もどんどん出てきて、その都度時間を使って調べるというのを2年間継続していました。だからこそ、3年目はわからないことはもちろん出てはくるのですが、自信を持って「わからないので調べます」を伝えられるようになりました。

自分のできる範囲とできない範囲の分別がつき、明確に判断できるようになってきたんです。また最後の方は組織のマネジメント、後輩の育成を担うなどもやらせていただき、今の代表という仕事に活きているなと感じます。

ー大手税理士法人の経験で得られたものは何ですか?

ここで得られたのは、さまざまな経験です。大手の税理士法人であるために、顧問先の規模も大きく、やりがいもありました。しかしそれ以上にここでは仕事の判断軸を培ったと思っています。税理士事務所は千差万別です。その事務所ごとにやり方や方法、解釈が違うことは結構起こります。自分のいた税理士法人では法律を遵守した判断軸を大事に、明確な情報をキャッチして税務相談に応じるというのが適切に行われていました。そのフローや判断軸を学べたことは独立後の今でも役立っています。また優秀で人柄も良く尊敬できる先輩方が多く、その環境に身をおけたことはとても貴重な経験になりました。

最初から決めていた独立 迷いはなかった

ーなぜ独立をしたのでしょうか?

独立をした一番大きな理由としては、自分の実現したいものを1から生み出せると考えるからです。自分の実現したい「人に良い影響を与える」は確かに大手の税理士法人で一部できました。

しかし税務の範囲を超えた提案というのがなかなか難しかったのです。やはり顧問先の事業であったり、本質的な悩みは何であるのか?など税務以外の相談に乗り、深く入り込んで一人一人に良い影響を与えるには、独立という手段が最適だと考えました。

独立をすれば多くの責任が伴いますが、同時に自分の目指したいものを1から作りあげることが可能です。そういった意味でも実はアクタス税理士法人に入る前から決めていたことではあったのです。

ー独立後はどんな働き方をされていたか?

最初の半年は新しいサービスのインプットです。税金はお金を払うことを手伝うサービスですが、逆にお金を調達する仕事が出来ないかと考え、融資などの資金調達支援、補助金の申請など、コンサルティングサービスをゼロから着手しました。

このインプットを通じて、独立後初年度はコンサルティングサービスで実績を上げることが出来ました。自分にしかできない価値提供を大事にしたかったので、弊社のサービスはプロダクトアウトの理論で作り上げています。多く売って儲けたいなら、マーケットインに乗っ取り作成するのが良いでしょう。

しかしそれは本来の目的とはズレるんです。儲けたいわけでなく、良い影響を与えたいんです。そのために時間はかかりますが、自分にしかできないこと、そして必要なサービス作りをしたいという思いがあります。年々弊社のサービスは形を変えて行っていると思います。

ー独立後の苦労はありましたか?

一番の苦労は採用でした。自分の実現したい目標や目的に共感できる方を探すのがものすごく大変で、採用に至っても離職率も当初は高かったのは事実です。個々人の能力ではなく、そこにかける価値観や目的が一致しないと仕事は苦しいものになると思っています。

そんな状況をどう乗り越えたかというと、一昨年前からSNSを通じた価値観の発信を行うようになりました。自分の考えや思いを色んな方に知っていただきたくてやっていました。その取り組みが功を奏し、SNSを通じて採用した方が今のメンバーにはいます。

また自分の価値観や目的に賛同してくれるだけではなく、それぞれが能動的に仕事に取り組み、人のために動こうという価値感を持っています。採用は困難も多く苦労しましたが、今では自慢できるメンバーに恵まれています。

今後の展望とメッセージ

ーこの先山田さんはどんな事を実現したいですか?

まず会社組織としては「良い事務所」を作りたいと持っています。社会に向けて良い影響を与えるために、メンバーが力を発揮できる環境を作りたいと思っています。それは単に規模の話ではなく、実現したいことにチャレンジできることが大事だと思います。そのために専門性を高めることはもちろん、働きやすさの面も含めてトータルで取り組んでいきたいです。

次に個人としては、3:3:3:1=税理士実務:マネジメント:発信:インプットの割合で活動できる自分でありたいと思っています。

最初にもお話した通り、税理士は手段でありこれが全てではありません。自分の目的である「人に良い影響を与える」を実現するために、今はまだ税理士実務に時間を割いていますが、それを会社のメンバーに信頼して任せ、それ以外の活動にも注力できるような自分になりたいと思っています。

ー税理士を目指す方々へ一言お願い致します‼︎

税理士になることはゴールではありませんし、それ自体は目的ではありませんその先に自分が何を大事に人生を歩みたいのか?を大切にして欲しいと思います。ただその中でも税理士は視野を広げる上では、とても良い立場だと思います。

私自身も税理士を通じて多くの顧客と関わり、社会の情勢を学ぶことができました。また会計事務所や税理士法人は千差万別でそれぞれの特徴があることからより一層自分の価値観や自分の考えを反映させやすい職種であると思います。

自分の実現したい目標と目的を明確に、その先の手段として税理士になること、独立をすることはとても有益だと思いますので、受験生の方やこれから目指される方には頑張って欲しいです。

-本日はお時間いただきありがとうございました。

今回お話を伺った山田典正さんの
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この記事を書いたライター

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