個人事業主やフリーランスの方は自分で納税額を計算して納税しなければなりません。しかし、自分で納税額を計算できない人も多いはずです。そんなときは青色申告会を活用しましょう。青色申告会は個人事業主やフリーランスの方の納税をサポートしてくれる団体です。この記事ではそんな青色申告会について詳しく解説します。
日本の所得税制は、納税者が自ら税法に従って所得金額と税額を正しく計算し納税するという申告納税制度が採用されています。納税額を確定するためには、確定申告を行わなければなりません。
確定申告とは、1月1日から12月31日までに得た所得金額を算出し、所得税を確定させて申告した上で、過不足分の所得税を納付または還付する制度です。国民の義務である納税を正しく行うためにも、個人事業主やフリーランスの方は必ず対応しなければなりません。
1年間に生じた所得金額を正しく計算し申告するためには、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておかなければなりません。一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いを受けることができます。
このように、一定水準の記帳をし、その貴重に基づいて正しい申告をする人には特典が受けられます。青色申告では、日々の取引を所定の帳簿に記帳し、簿記に基づいて正しい申告をすることで、様々な税制上のメリットを受けることができるというわけです。これが青色申告制度となります。青色申告を活用して納税するためには、事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
青色申告をする最大のメリットは、最高65万円の青色申告特別控除が受けられることです正規の簿記の原則(一般的には複式簿記を言います)により記帳した帳簿
記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を申告書に添付して税務申告を行うことで、この控除を受けることができます。所得額を抑えることができれば、住民税や国民健康保険料も抑えることができるので、トータルでの節税効果は絶大です。その他にも、赤字を3年間繰り越しにできたり、家族への給与を必要経費にできたり、30万円未満の固定資産を全額経費に計上できたりと、事業を運営する上でさまざまな節税メリットがあります。
個人事業主やフリーランスの方が青色申告を活用するためには、きちんと正規の簿記の原則に基づいて記帳を行わなければなりません。しかし、すべての個人事業主やフリーランスの方が会計や簿記に明るいわけではありません。青色申告は原則として複式簿記で記帳しなければならないので、簿記の知識が乏しい人は帳簿が難しく感じるはずです。そこで、個人事業主やフリーランスの方が青色申告による特典を受けやすくするために活動をしているのが青色申告会ということになります。
「青色申告会」とは、個人で事業を営むすべての方が行わなければならない、記帳・帳簿の作成から決算書作成、申告までを分かりやすくサポートする小規模事業者(個人事業主、フリーランス)で組織された納税者団体です。
青色申告会は正しい申告・納税を勧め、公平な税制の創設、社会保障制度の改善を要望し、税制改正史上数々の成果をあげてきました。青色申告会は、青色申告をおこなう個人事業主を会員として結成されており、会員からの会費によって運営されています。
各役員は会員から選ばれ、ボランティアとして青色申告会の運営に携わっています。すでに会発足から70年が経過しており、全国には約4,200の青色申告会があり、会員数は約109万人にものぼっています。
全国各地の青色申告会は、会員の中から選ばれた役員を中心に自主的・民主的に運営されています。青色申告会の活動はその会ごとに特徴をもっており、後継者専従者や若手経営者を中心とした青年部や、配偶者専従者を中心とした女性部が組織されるなど、多彩な活動が展開されています。
全国各地の税務署ごとに組織されているので、指導を受けるために遠方まで足を運ぶ必要はありません。自分の住んでいる地域の場合、所在地がどこにあるのか調べてみるとよいでしょう。
青色申告会は全国にあり、その会ごとに特徴ある活動が行われていますが、記帳指導、税制改正運動、会計ソフトの格安販売などの事業活動が代表的です。以下ではその詳細を解説していきます。
記帳指導の体制は各会様々ですが、会員が一人前の青色申告者となれるように、基礎から、記帳・決算・申告まで丁寧に指導しています。青色申告会の基本姿勢は、「会員さんが毎日の帳簿を自分でつけて、決算書や申告書を自分で正しく作成できるようになっていただくために指導する」ということです。したがって、何もかも青色申告会にお任せということではなく、会員が勉強しようという意欲を持って、努カをして納税ができるようになるという姿勢が求められます。
経費の分類や記帳の仕方、青色申告で複式簿記を行う際の仕訳や記帳、試算表の作成方法など、その人その人の状況に合わせて、初歩からわかりやすくアドバイスしてくれます。もちろん、パソコンでの記帳もOKで、e-Taxの相談にも乗ってくれます。確定申告で困ったことがあれば、なんでも相談できる窓口です。
開業したばかりでお金を払って税理士に相談する余裕がなかったり、どの税理士事務所に相談すればいいか分からない時は、青色申告会で相談してみることがおすすめです。確定申告は間違った知識で申告すると、追徴課税で余計に税金を支払わなければならなくなる場合もあるので、分からないことは税理士に相談して正しい知識で申告しましょう。
青色申告会では、個人事業者の立場から公正で公平な税制の創設を目指して、会結成以来、税制改正運動を行っています。「青色申告特別控除」「青色事業専従者給与」をはじめ、青色申告会の運動によってできた税制は数多くあります。小規模事業者やフリーランスの方が住みやすい社会環境の実現に向けて、強力に運動が推進されています。
ブルーリターンAは、青色申告会の50年にわたる指導実績をもとに、勘定科目の設定や取引の入力方式に独自のアイディアを盛り込んだ個人事業者に最適なパソコン用会計ソフトです。青色申告会の会員となると、この会計ソフトを格安で購入でき、それを使って青色申告ができるようになります。
このように、青色申告会は、主に個人事業主やフリーランスの方の税務面をサポートしてくれる団体ですが、サポートしてくれるのは税務だけではありません。
日本政策金融公庫などの低利で有利な融資制度を紹介してくれたり、金融相談会を実施したりしているところもあります。ほかにも、無料の経営セミナーを開催や不動産に関する悩み相談窓口など、地域によって提供するサービスは異なるものの大きな差はなく、事業全体のサポートも行われています
個人事業主やフリーランスの方のなかには、会計や簿記に明るいわけではない人が多くいると思います。税理士を雇えば、税理士が代わりに税務申告を行ってくれますが、税理士を雇うのにもお金がかかりますから、そのような出費はできないという人も多いのではないでしょうか。
青色申告をすれば、多くの恩恵が受けられるにも関わらず、税理士を雇うお金がないせいで青色申告ができないとすれば、それはとても損をしていることになります。したがって、そんなときは青色申告会を積極的に活用しましょう。青色申告会の会員となれば、自分で青色申告ができるようになるための多くのサポートが用意されています。