税理士として働いていても、独立していない限りはサラリーマンと同じように職場に対する不満を感じることも多いものです。では、税理士はどのような転職理由で転職を決意するのでしょうか。また、転職先の面接では、どのように転職理由を述べるのでしょう。今回は税理士の転職理由について解説していきます。
税理士法人の設立が認可されて15年ほどたちました。今では税理士法人の存在は、一般社会にも定着しているといえるでしょう。そんな税理士法人が、近年では売り手市場にあるといわれています。つまり、多くの税理士法人が積極的に税理士の確保に動いているのです。
これには理由があります。まず1つめは、税理士法人が増加していることです。税理士法人は歴史が浅いですが、それでも平成26年には2,688社だったものが、平成29年には3,561社と、増加の一途をたどっています。この状況は、税理士法人同士において税理士の取り合いが起こっているといえるのです。また、相続税法改正やマイナンバーの導入によって税理士の仕事量は増加しています。
ところが近年、税理士を目指している人の数が大幅に減少しています。数年ほど前までは不況によって企業が倒産することも多く、税理士の数が過剰になっていたのですが、今は特に若い世代による税理士離れが問題となっています。このように、税理士の仕事が増えているのにも関わらず、税理士になりたいという人が減少していることにより、売り手市場が続いているのです。
税理士の本音の転職理由で多いものは、勤務している事務所の将来が不安だというものです。日本社会は高齢化を迎えており、当然のことながら税理士も高齢化が進んでいます。勤務している職場の上層部がどんどん高齢化し、事務所の将来やキャリアについて不安を感じてしまう人は少なくありません。また、もっと若い年代の職員とともに働いて、活気ある事務所で働きたいという人も多いです。
また、小規模の事務所に勤務している場合、ひとりあたりが携わる業務内容が多すぎるというのも転職理由として挙げられます。税理士の仕事は税理士にしかできないため、確定申告の時期などは激務になりがちです。そのため、残業が続く毎日から抜け出したいという転職理由によって、転職を決意するのです。
応募先の企業に対して転職理由を伝える際、転職の動機などについてよく考えてみる必要があります。漠然とした転職理由を伝えても、面接官の評価はもらえないでしょう。明確な転職理由を導き出すために、以下のポイントを再確認してみてください。
応募先の求人情報やホームページなどに掲載されえている情報をもとにして、その職場独自の取り組みなどをよく確認しましょう。そして、どうしてその応募先で働きたいと思うのかを導き出していくのです。志望理由を考える時と同じように、転職理由を明確にするには。まずは応募先のリサーチが欠かせません。多くの情報を得たうえで「私は○○という理由によって、応募しました」と簡潔に言えるように準備しておきましょう。
自分がこれまで培ってきた税理士の経験をもとに、どのようなスキルがあるのかを振り返って確認してみましょう。そうすると、どうして職場を変えたいと思ったのか、その転職理由が見えてくることがあります。前職ではどういった業務に携わり、その経験によりどのようなスキルを身につけたのか、これらを簡潔に伝えることができれば自己分析にも役立ちます。
税理士で転職をしたいと思った理由は、おそらく給与面や休日面などの待遇、人間関係などのネガティブな理由であることがほとんどです。しかし、応募先の企業に対してこのままの気持ちを伝えてしまうと「うちに入社しても、また同じように不満をもってすぐに退職するのではないか」と思われてしまいます。できるだけポジティブな言い回しで、転職理由を面接官に伝えられるように考えてみましょう。
転職理由がうまくまとまらないという場合は、ひとりで悩んでばかりいないで、転職エージェントを活用してみてはいかがでしょうか。転職のプロといえる専任のキャリアカウンセラーさんがついてくれるので、ともに転職理由についての整理をしてくれます。中には履歴書や職務経歴、そして面接対策まで手厚くサポートしてくれるところもあります。気になる転職サイトがあれば、いくつか登録をして、利用しながら自分に合ったものを選んでいきましょう。
税理士もサラリーマンと同じように職場に不満を抱き、転職を考えます。今であれば、税理士法人は売り手市場と言われているので、思い切って転職をしてもいいでしょう。ただし、自分の中で転職理由をはっきりとさせて、応募先にもポジティブな転職理由を伝える必要があります。そのため、ぜひ1度、じっくりと自分自身と向き合う時間をとってみてください。
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