多くの企業がダイバーシティを推進することに力を入れています。しかし、さまざまな課題に直面して苦労している企業も多いです。ダイバーシティを実現するためには、解決するべき問題がいくつかあります。今回は企業がダイバーシティに取り組む際に直面する課題について解説していきます。
ダイバーシティとは、日本語にすれば多様性のことです。多様な価値観や属性を受け入れて、個々の力を生かして付加価値を生み出すことを目指します。企業には、年齢や性別、国籍の異なる社員が在籍しています。それぞれ価値観や発想などは異なっているでしょう。その違いを受け入れて、それぞれの力を引き出すことができれば、大きな価値が生まれます。
日本でも多くの人がすでにダイバーシティを知っています。また、それを推進する価値についても認識している人は多いです。ただし、現状として、実際に取り組みを実施している会社はそれほど多くありません。また、取り組みを始めてみたものの、実際に効果が出ているのかよくわからないと思っている人も多いです。意味や意義を理解していても、それを会社の成長へ生かすことができていないのです。
ダイバーシティの推進が上手くいかないのは、さまざまな課題が生じるからです。どういった課題が存在するのかそれぞれ紹介しましょう。
多様な人材を受け入れるということは、それだけあつれきや誤解が生じやすい環境になるといえます。自分とは異なる価値観の社員が増えることでコミュニケーションが上手く取れなかったり、協力して仕事に取り組めなかったりするのです。その結果、さまざまなトラブルが起きてしまい、結果的にチームとしての生産性やパフォーマンスが低下することがあります。
多様な人材を受け入れるには、多様な価値観を受け入れる体制が整っていなければいけません。自分とは異なる価値観を認めない人間が上司やリーダーという立場にいるとハラスメントが発生する可能性があります。単に多様な人材を採用することだけでは駄目なのです。そのことを理解していないとハラスメントが発生するリスクが高まります。
たとえば、多様な発想を生かすために外国人を積極的に採用したとします。そして、社員の共通語を英語にしてコミュニケーションを取らせようとした場合、問題が発生する可能性が高いです。それぞれの社員が高い英語力を有しているとは限らないからです。多様な人材を受け入れても、コミュニケーションが円滑に取れるような対策をしていないと失敗する可能性があります。
ダイバーシティの推進を果たすためには課題を解決しなければいけません。そのための方法について紹介しましょう。
多様な働き方を認める場合には、それぞれの社員を正当に評価できるような制度を整えなければいけません。そうしないと働き方によって待遇に差が生じる可能性があり、社員が離れてしまう可能性があるからです。たとえば、事情があって在宅勤務や短時間勤務をしている社員がいたとしても、ほかの働き方をしている人と待遇に差がつかないような評価制度を用意するとよいでしょう。
毎日、決まった時間にオフィスへ行って働くことを当たり前としている会社は多いです。しかし、これではさまざまな事情を抱えた人を受け入れることができません。そこで、もっと柔軟な働き方を認めるための体制を整えることが必要です。そうすれば、家族の介護をしながら働いたり、遠方に住んでいる人が仕事をしたりすることができます。その結果、多様な人材を受け入れられるようになるでしょう。
マネジメントする立場の人間がダイバーシティに関してきちんと理解していることは大切です。そこで、管理職の人間に研修を受けさせるとよいでしょう。そうすれば多様性を認めるために何をするべきなのかを理解したうえで人材管理ができるようになります。
どのような制度や環境を整えればいいのか悩んでいるならば、コンサルティングサービスを利用しましょう。環境や仕組みを整えるための具体的なサポートを受けることができます。
実際にダイバーシティを取り入れて成功した事例はたくさんあります。いくつかの事例を紹介しましょう。
とある製作所では、ベトナムの大学と連携をして、ベトナム人を若手技術者として採用するという試みを実施しています。ベトナムの大学で希望者に対して日本語を教える仕組みを整えて、学校を卒業したあとには日本で働いてもらうのです。これによって、若手技術者が不足している問題を解決できます。
とある運輸会社は慢性的な人手不足に悩まされていました。そこで、女性や外国人、LGBTに配慮した環境を整えることで、女性社員などを増やすことに成功して人材不足の問題を解決しました。
定年を過ぎても働きたいという高齢者の希望を叶えるためにワークシェアリングを実施している会社があります。同じ業務を曜日によって違う人が担当する方式を採用しているのです。これによって、多くの高齢者に働く機会を与えていて、労働力として上手く活用することに成功しています。
ダイバーシティを推進する際にはさまざまな問題に直面することがあります。この記事を参考にしてしっかりと対策しましょう。多様性を取り入れることで会社を成長させるための原動力にできます。