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仮受金と前受金の違いとは?受け取った後の処理はどうする?徹底解説‼︎

岡山 由佳
仮受金と前受金の違いとは?受け取った後の処理はどうする?徹底解説‼︎

仮受金と前受金は表記上の見た目が似ていることから、混同をしがちな勘定科目のひとつです。どちらも負債にあたり、入金があった場合の仕訳の計上に使用される勘定科目ですが、仮受金と前受金は性質の異なるものであり、明確に区分をして使用する必要があります。
今回は仮受金と前受金の違いについて解説していきます。

仮受金と前受金はどちらも負債の勘定科目

仮受金と前受金は、どちらも将来的に財やサービスを引き渡す義務がある負債に該当をします。
負債は仕訳において発生時に貸方に記載をされ、解消時に借方に記載をされ、貸借対照表上の右側に表示がされます。
しかし同じ負債でありながらも、仮受金と前受金は正確に区分をして仕訳の計上及び貸借対照表の作成を行う必要があります。

負債については下記コラムをご参照ください。
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仮受金とは

仮受金とは

仮受金とはその入金の理由が不明であったり、ふさわしい勘定科目が決定することが出来ない場合に一時的にその入金を計上するための勘定科目です。

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仮受金は期末まで残さない

一時的にその入金を計上するための勘定科目である、という点が仮受金を勘定科目として選択するポイントであり、一般的にはその仮受金の残高が期末まで残っていることはふさわしくないとされています。
仮受金が期末まで残高があるということは、その入金の理由が不明である等、取引が不明瞭のままの状態で決算を迎えるということになります。
取引が不明瞭な入金がある、その内容が決算を迎えても尚、わからないというのは事業内部の財務的な管理が正しく行われていないことが危惧され、その仮受金の残高に係るもののみならず、その事業者が作成をする財務諸表の信頼性が損なわれてしまうためです。

例えば仮受金の期末の残高が1,000万円、売上が10万円の財務諸表を見たら税務署はどう考えるでしょうか。
この仮受金は売上に該当をし、本来は売上が1,010万円であるかもしれないと予測がされます。
売上が1,010万円であるところを10万円と申告しているのであれば、売上を少なくした利益の過少申告による法人税や所得税の脱税や、売上に係る消費税の脱税が行われていることが懸念されます。
その懸念を確認するためには税務調査を行う必要があり、本当にそれが売上に該当をするものであれば、事業者は修正申告と延滞税等のペナルティを受けなくてはなりません。
また売上に該当をしなくても、事業者は税務署の問い合わせに応える必要があります。

このように、仮受金を期末まで残高を残すことはふさわしくなく、期中に解消をすることが望ましいです。

仮受金の仕訳

仮受金の仕訳方法についてご紹介致します。
例えば預金に100万円の入金があり、この入金の内容が不明である場合には、その入金時に下記の仕訳を行います。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
普通預金 1,000,000円 仮受金 1,000,000円

この入金の内容が、持続化給付金等の補助金であったことが判明した場合には、その判明時に下記の仕訳を行います。

 
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
仮受金 1,000,000円 雑収入 1,000,000円

前受金とは

前受金とは

前受金とは、販売する商品やサービスの代金の一部または全部を前もって受け取った場合にその入金を計上するための勘定科目です。仮受金がその取引が不明瞭であることに対して、前受金はその取引内容が明瞭にされているものです。
よって、仮受金のように期末まで残高を残していても、何ら問題とされない勘定科目です。

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前受金の仕訳

前受金の仕訳方法についてご紹介致します。
例えば預金に100万円の入金があり、この入金の内容が翌月に引き渡す商品の前受である場合には、その入金時に下記の仕訳を行います。

 
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
普通預金 1,000,000円 前受金 1,000,000円

この入金に対して、翌月に商品を引き渡し売上が発生した場合には、その発生時に下記の仕訳を行います。

 
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
前受金 1,000,000円 売上 1,000,000円

前受金と前受収益の違い

前受金と非常に見た目の似ている勘定科目で、前受収益というものがあります。
前受収益とは、販売するサービスの代金の一部または全部を前もって受け取ることは前受金と同様ですが、その代金は提供するサービスの内容が明確で、継続する場合にその入金を計上するための勘定科目です。
例えば一回の売上に対してその商品の販売を行う前に、その商品の代金を受け取った場合は、その入金を受け取った時点では前受金として計上をします。
一方で継続的に駐車場を貸出すサービスをしており、翌月分の駐車場代を当月中に受け取った場合は、当月中に受け取った入金を入金時点では前受収益として計上をします。
このように継続性の有無により前受金は前受収益とは異なる勘定科目となっています。

まとめ

上記のように、仮受金と前受金はその入金の内容により異なるものになっています。また前受金については前受収益とも明確に区分をして計上を行う必要があります。
勘定科目の選択及び会計処理の方法について、HUPROのコラムでは様々なものをご紹介しております。
ご参考になさってください。

この記事を書いたライター

大学在学中より会計業界に携わり10年超の会計事務所、税理士法人での実務経験を経て独立。各業種の会計業務に関するフォローのみならず、ライターとして税務、労務、経理の話題を中心に、書籍やWebサイトに数多くの寄稿を行う等の様々な活躍をしている。
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