10種類ある所得の1つである譲渡所得ですが、どういったものが譲渡所得になるのでしょうか。また譲渡所得には、長期譲渡所得と短期譲渡所得がありますが、どう違うのでしょうか。不動産に関してはどう変わるのでしょうか。今回は譲渡所得の定義と長期譲渡所得と短期譲渡所得の違いについて解説していきます。
参考:国税庁のHP
不動産の売買を事業として行う個人にとっての土地や建物及び株式の売買を事業として行う個人にとっての株式は棚卸資産です。また、山林の譲渡による所得は山林所得です。
以下では、多くの人が経験することになる、土地や建物の譲渡について見ていきましょう、
収入金額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
参考:国税庁のHP
建物の減価償却費については、建物の減価償却費相当額=取得価額×0.9×償却率× 経過年数という算式にて求めます。
譲渡所得は長期譲渡所得及び短期譲渡所得に分かれます。
長期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える土地建物を、また、短期譲渡所得は譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の土地建物をそれぞれ譲渡したことによる所得をいいます。
土地や建物を譲渡した場合の特別控除額は次のようになっています。
国税庁のHPより。一部改
特にこの中で重要なのが、(ロ) マイホームを譲渡した場合です。上記のように 3,000万円を控除できます。また、(ホ) 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合の1,000万円の控除は長期譲渡所得のときだけです。
(1) 長期譲渡所得
課税長期譲渡所得金額×15%
(2) 短期譲渡所得
課税短期譲渡所得金額×30%
(注) 平成25年から令和19年までは、上記以外に、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を申告・納付することになります。
a)長期譲渡のメリット
1.上記したように、平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合に1,000万円の控除が受けられるのは長期譲渡の場合だけです。
また、長期譲渡にて利益が出た場合、一定の条件を満たせば、2.10年超所有軽減税率の特例、又は、3.特定居住用財産の買換え特例の対象になります。
2.10年超所有軽減税率の特例
所有期間が10年を超えている不動産の譲渡益については所得税の税率が軽減されます。
課税譲渡所得が6,000万円以下の部分:10%
課税譲渡所得が6,000万円超の部分:15%
3.特定居住用財産の買換え特例
譲渡した年の1月1日で、家屋と土地の所有期間がともに10年超の場合については課税の繰り延べを受けられます。
・譲渡代金が買換え代金以下の時
譲渡益の課税が繰り延べられます。
・譲渡代金が買換え代金超の時
買換え代金相当額に関する課税は繰り延べられ、譲渡代金と買換え代金との差額に長期譲渡の所得税がかかります。
b)長期譲渡のデメリット
長期に不動産を保有すると基本的に不動産の価格は下がることが多いのが大きなデメリットです。更に、不動産の保有には安くない維持費がかかることもデメリットです。
逆に短期譲渡の最大のメリットは不動産の価格は短期売買の方が高い場合が多い事が挙げられます。また保有が短ければその分維持費も安く済みます。
デメリットとして上記の税金優遇が受けられないことが挙げられます。
以上、譲渡所得の定義及び不動産の譲渡に関するメリット及びデメリットを見て来ました。様々な状況が考えられるので、状況に合わせて最も得になるように、譲渡を行いたいところです。