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法人成りとは?内容とメリットについて解説します!

HUPRO 編集部
法人成りとは?内容とメリットについて解説します!

個人事業主のまま、事業の売上が増えていくと、それに伴い税金や保険の支払いも増加。節税を考えるのであれば、ある程度のところで法人成りをした方が良いかも知れません。さらに、法人成りすることで、事業拡大における信頼など、節税以外のメリットも得られます。本記事では、こうした法人成りのメリットについて解説します。

法人成りとは

法人成りとは、それまで個人事業としておこなっているものを、会社を設立して会社事業にすることです。業務内容としては変わらなくても、法務局に会社設立の届出を行い、事業を引き継いで行うことを差します。社長のみの1人の会社として法人成りすることもできます。
会社を設立するという手続きは、法人成りであっても通常の会社設立と変わりませんが、個人事業からの事業だけでなく、資産や負債を引き継いで行うというのが法人成りの特徴です。
すでに個人事業が軌道に乗っている状態で事業を引き継ぐことができれば、一から会社を節利するよりも有利な事業展開ができます。
従来は最低資本金(株式会社であれば1000万円)や、役員人数(取締役3名+監査役1名)といった法律がありましたが、平成18年にそれらの期性が撤廃・緩和され、資本金1円、取締役1人以上で株式会社を設立することができるようになったため、法人成りのハードルが下がり、個人事業主で堅調に事業を育ててきた次のステップアップとして法人成りをする人が多くなっています。

法人成りのメリット

それでは、法人成りのメリットについて解説していきましょう。税務面のメリットに注目されがちですが、実はいろいろな面でのメリットがあるのです。

(1)税制上の優遇

個人事業で収益が上がるようになったら、法人成りしたほうが、税制上のメリットを受けやすくなります。
法人成りを考えるきっかけとなるのは、まず所得税についてでしょう。個人事業のままですと、最低税率5%からはじまり、最高税率が45%という累進課税ですが、法人税の税率は最低税率、15%であるものの、最高税率は23.2%となっており、事業規模が大きくなればなるほど節税できるのです。

出典:国税庁 タックスアンサー No.5759 法人税の税率

そのほかにも、個人事業ではできない他の所得との損益通算が行うことができ、資本金1000万円以下であれば、最初の2年は、消費税は免税事業者を選択することもできます。
また、自宅を社宅扱いにすることや、経費計上の幅も広がるので、利益を圧縮してその分節税することが可能です。

逆に、法人化することで、設立費用や税理士顧問料、社会保険料や厚生年金など、今までにはかかっていないお金がかかりますし、収益が上がらない場合でも法人住民税を支払わなければならないといったようなこともありますが、それらを差し引いても法人成りするメリットが得らえるようであれば、法人成りを考える時期に来ているといえます。

法人成りする目安としては年間利益(売上ではありません)500万円~といわれていますが、一度試算してみるもの良いでしょう。

(2)賠償範囲が限定される

個人事業主の場合は、個人資産=事業資産なので、もし大きな損失を出した場合は、詩的財産を処分しても補てんに充てる必要があり、最悪の場合は自己破産に追い込まれます。
しかし法人の場合は、会社の借り入れ金に対して経営者が保証人になっている場合を除き、損失の補てんはあくまで出資金の範囲にとどまります。これは法人と経営者というのは別人格として切り離されているからです。

(3)対外的な信頼度アップ

個人事業と法人の代表取締役社長では、同じ事業をやっていても対外的な信頼度が異なります。大企業などは法人相手にしか取引をしないところもあるので、新たな取引先の開拓にも有利になることも。

(4)決算時期を自由に設定可能

個人事業の主の場合は1~12月までの収支を3月までの確定申告で報告して納税するというのが義務付けられていますが、法人の場合は、決算月を自由に設定できます。事業の閑散期に決算を行うことで、業務のリソースを効率的に振り分けることができるのです。

(5)円滑な事業拡大が可能

個人事業のままでは、事業拡大を行った時に人を雇用し、組織化することについて支障が生じます。法人成りして業務管理を適切に行い、人を雇用することで、業務を部下に任せて経営に集中でき、さらなる業務拡大を目指すことができるようになります。

(6)事業買収や合併をスムーズに

将来的に、他の事業を買収したり、逆に自分の事業を売却したりすることを考えているのであれば、法人成りをしておくべきです。個人事業のままですと、そもそも手続きについて煩雑なだけでなく、買収先への信頼性も得ることができません。

(7)経営者死亡によるリスク回避

もし、経営者に不幸があった場合は、個人事業のままだと預金口座も個人名義のため凍結されてしまいます。事業どころではなく、営業停止してしまうのです。
法人成りしておけば、個人の預金口座と事業用口座はあくまで別なので、そのまま事業を継続することができます。

まとめ

同じ事業でも、個人事業で行う場合と、法人成りする場合では、異なる点が多々あります。実際に法人成りを検討する場合は、個人事業としてある程度売り上げがあがってきたことで節税を考えることがそのきっかけであることが多いでしょうが、事業の内容やかかる経費によって実際のメリットを受けられるかどうかは変わってきます。
法人成りを検討する場合は、専門家である税理士や会計士などに相談し、一度シミュレーションしてみるのが良いでしょう。

当コラム内では、法人化についての記事を他にも公開しています。併せてぜひご一読ください。

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