法人住民税とは、法人が地方自治体に納付する税金です。法人が所在している都道府県及び市区町村に納付します。法人住民税には法人税割と均等割の2種類があり、それぞれ別に計算されます。
今回は、法人住民税とは何か、法人税割と均等割を算出する方法について解説していきます。
法人住民税とは、法人が地方自治体に納付する税金です。法人が所在している都道府県及び市区町村に納付する地方税になります。公的な地方自治体のサービスを法人でも享受しているという観点から、法人がある地方自治体に法人住民税を納付する必要があります。
法人住民税には法人税割と均等割の2種類があり、それぞれ別に計算されます。所得から算出した法人税額に住民税率を掛けた法人税割と、法人の資本金・従業員数ごとに各地方自治体で定められている均等割の合計が法人住民税です。
また、法人住民税は市町村民税と道府県民税に分かれており、税率や納付先が異なります。
ただし、法人の事業所が東京23区だけにあるときは、一括で都民税です。
法人税割は、法人税額に対して掛かる税金です。法人税割の税率は、それぞれの地方自治体によって決定されています。資本金や儲けによって税率を変更している場合や税率を固定している場合があります。
複数の地方自治体に事業所や事務所があるときは、従業員数などを考慮して、それぞれの地方自治体ごとに法人税額を分けて、それぞれの地方自治体に納付する法人税割を計算します。
均等割とは、資本金や従業員数に応じて納付する法人住民税です。均等割は地方自治体ごとに異なっており、資本金や従業員数が多いほど均等割りの金額も多くなります。
赤字決算になった場合でも、法人住民税は支払う必要があります。法人税割の金額は所得に応じて算出されますが、均等割の金額は所得とは関係ないからです。一方、所得に応じて算出される法人税・法人事業税は、赤字決算の場合に支払う必要はありません。
法人住民税の均等割は、以下のような場合に免除されます。
地方自治体により条件を満たすことで法人住民税の均等割が減免される可能性があります。上記に該当する法人の場合には、各地方自治体に均等割の減免対象となるのか確認しておきましょう。
法人住民税は、法人税割と均等割の合計です。計算式にすると以下のようになります。
法人税割と均等割は、課税標準が異なるので別に計算する必要があります。法人税割の課税標準は法人税額ですが、均等割課税標準は従業員数と資本金です。法人住民税の法人税割と均等割を算出する方法と具体例をご紹介します。
法人税割の計算式は以下の通りです。
法人税割の税率は、都道府県及び市区町村で定められています。
単独法人の法人税割を算出する方法をご紹介します。
上記のような場合は、次のように算出します。
法人県民税は、100万円に5%を掛けた5万円になります。
法人市民税は、100万円に12%を掛けた12万円になります。
法人住民税は、5万円と12万円をトータルした17万円になります。
分割法人のときは次のように算出します。
今回のケースは、100人の全体の従業員数に対して、10人の事業所の人数とします。
法人県民税は、100万円に10/100を掛けてさらに5%を掛けた5千円になります。
法人市民税は、100万円に10/100を掛けてさらに12%を掛けた1.2万円になります。
法人住民税は、5千円と1.2万円をトータルした1.7万円になります。
分割法人のときは、人数に応じて算出するようになるので、全体の従業員数と実際の人数が大切になります。
分割法人のときは、事業所がある地方自治体ごとに算出するので、事業所があるところによっては全体の法人住民税のトータル額が単独法人のときの法人住民税のトータル額よりも大きくなることもあったり、小さくなったりするときもあります。不均一課税の税率は1億円以下の資本金額かつ年2,000万円以下の分割前の課税標準になる法人税額の法人が適用になり、超過税率はこの他の法人が適用になります。なお、実際に法人住民税を申告するときは、必ず最新の税率をチェックしてください。
均等割に関しては、従業員数と資本金などの額によって税額がすでに決定しているので、法人税割のように算出する必要はありません。なお、その年度が12ヶ月間でない法人を設立した事業年度などのようなときは、月割りで算出します。
このときには、判断する基準が資本金などであるということに注意する必要があります。資本金などの額としては、資本準備金などが資本金以外にも含まれます。また、資本金などの額が、資本準備金と資本金のトータルよりも少ないときは、資本準備金と資本金のトータル額で判定するようになることにも注意しましょう。