法人は申告の方法として青色申告を選択することで、非常に沢山のメリットを享受することが出来ます。メリットが多いことから選択の余地無く法人設立必要書類として案内をしている会計事務所がある程です。
今回は法人が青色申告を適用するメリット、また青色申告が取り消される場合等について解説していきます。
法人の申告には青色申告と白色申告があります。
青色申告によって申告書を提出しようとする事業年度開始の日の前日までに青色申告書の承認の申請を行った場合には青色申告が適用され、申請を行わなかった場合には白色申告が適用されます。
新設法人の場合は設立の日以後3月を経過した日と当該事業年度終了の日のうちいずれか早い日の前日までに提出を行うことで、設立年度から青色申告を適用することが出来ます。
法人税の計算にあたり、青色申告を行う法人のみに適用をされる優遇措置があります。
今回は優遇措置のうち、代表的なものをご紹介致します。
確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前9年以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、その各事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入することが出来ます。
平成28年度の税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10年とされています。
つまり赤字が生じた場合に、翌年度以降に発生をする黒字と相殺をすることが出来、黒字年度の法人税を少なくすることが出来るというものです。
繰越控除の詳細は下記コラムをご参照ください。
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青色申告書による確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻して法人税額の還付を請求することが出来ます。
つまり赤字が生じた場合で前年が黒字である場合、前年の黒字によって納付をした法人税の一部について還付を受けることが出来るというものです。
繰戻還付の詳細は下記コラムをご参照ください。
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青色申告書を提出する中小企業者等が取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から令和4年3月31日までの間に取得等して事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することが出来ます。
つまり30万円未満である資産を取得した場合に、減価償却を必要とせずに、その購入額全額を取得した年度に経費として計上をすることが出来ます。
青色申告書を提出する法人で特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律に規定する認定導入事業者に該当するものが、令和2年8月31日から令和4年3月31 日までの期間内に、新品の認定特定高度情報通信技術活用設備の取得又は製作若しくは建設をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度において、その認定特定高度情報通信技術活用設備の取得価額の30%相当額の特別償却とその取得価額の合計額の15%相当額の税額控除との選択適用が認められます。
つまり5Gに係る設備を取得した場合、取得価額の30%は減価償却を必要とせずに、その購入額全額を取得した年度に経費として計上をすることが出来、更には取得価額の15%の法人税額の減額を受けることが出来ます。
青色申告を適用するためには、青色申告書の承認の申請を行う必要があり、その申請は原則として受理されますが、下記の事項に該当をした場合には取り消されます。また取り消された場合は、上記のメリットを受けることが出来なくなります。
税務調査に当たり帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず調査対象者である法人がその提示を拒否した場合等には青色申告の承認が取り消されます。
帳簿書類の備付け等について法人が税務署長の指示に従わない場合等には青色申告の承認が取り消されます。
無申告のために所得金額の決定をした場合又は所得金額の更正をした場合において、その事業年度の当該決定又は更正後の所得金額のうち隠ぺい又は仮装の事実に基づく所得金額が、当該更正所得金額の50%に相当する金額を超える場合等には青色申告の承認が取り消されます。
2事業年度連続して期限内に申告書の提出がない場合には青色申告の承認が取り消されます。
2重帳簿を作成する等の方法により計画的に取引の一部を正規の帳簿に記載していない等の事情がある場合には青色申告の承認が取り消されます。
青色申告を法人が適用することのメリットは、欠損金の繰戻控除、繰戻還付、及び各種の税額控除等の特例を利用することが出来ることにあります。
このことにより、多くの法人が青色申告を選択し、法人の設立に必要な書類と併せてあらかじめ青色申告書の承認の申請書を提出する場合が多いです。
このメリットを受け続けるためには青色申告の承認が取り消される場合の事項に該当をしないことが必要です。特に2事業年度連続して期限内に申告書の提出がない場合、は記帳や申告に不慣れな法人ですと該当しやすい事項となっています。
青色申告の優遇措置のどれを受けることが出来るか分からない、期限内に申告をすることが難しい等の、不安なことがございましたら、弊社でご紹介しております専門家に是非ご相談ください。