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マザーズ上場を果たしたBranding Engineer CFOに聞いた!会社が成長するために管理部に求められる考え方とは?

HUPRO 編集部
マザーズ上場を果たしたBranding Engineer CFOに聞いた!会社が成長するために管理部に求められる考え方とは?

これまでコンサルティング会社や会計事務所、ベンチャー企業を経て管理部を中心にスキルを磨いてきた谷邊 紘史氏。現在は株式会社Branding Engineer のCFOとして活躍し、2020年にはマザーズ上場も果たしました。そんな谷邊氏に今まで勤めた会社での経験や現職の組織づくりにおける工夫、管理部の仕事で求められる考え方など、HUPRO編集部がお話を伺いました。

【ご経歴】

2007年 神戸大学経営学部 卒業
2007年 株式会社日本経営 入社
2013年 税理士法人OCパートナーズ 入社
2016年 株式会社BuySell Technologies 入社
2018年 株式会社Branding Engineer 入社
2019年 株式会社Branding Engineer 取締役CFO就任(現任)
2020年 株式会社Branding Engineer マザーズ上場

ハードワークの中で得た学び

―大学時代はどのように過ごされていたのでしょうか?

大学に入学したときは会計士になろうと考えていました。もともと、入学した大学が会計士を多く輩出している大学で、入学したときに先輩から会計士の仕事についてのガイダンスも行われている環境でした。そこで、会計士は収入がいいとか、夏休みが1ヶ月取れるとか、そういった話を聞かされて。(笑)

だから自分も自然に会計士を目指そうと考えて、専門学校にも通い簿記も大学時代に1級まで取得しました。ただ、会計士を目指す中で会計士として働いている方の話を聞く機会が増えていったのですが、そこで監査などの業務はどうも自分に合わないという直感があり、そこから別の進路を考えるようになりました。

―新卒で就職されたのはどういった企業だったのでしょうか?

大学卒業後は新卒として大阪にある会計事務所母体のコンサルティング会社に就職しました。医療業界専門のコンサルティングを行っているところで、そこで税務顧問といった税理士の仕事もやっている部署に配属されました。

業務の内容は、経営計画の策定や再生支援業務、税金の申告や節税対策などが中心でした。その他にも、事業継承や生命保険を使った節税のアドバイスも行いました。基本的にはお客様のところに訪問して、困っていることを聞いて、会社のリソースを使って解決策を提供するという仕事でした。そこでは6年ほど勤めました。

―税務の仕事をする中で税理士資格の取得も考えたのでしょうか?

資格取得については、実際にお客様が必要とするサービスを提供できるのであれば、資格は必ずしも必要としないという考えで、私自身もあまり必要性を感じませんでした。

といっても、その会社では一般的な税理士の約3倍の売上を残さなければいけないというノルマがあり、ときには朝7時から夜11時まで働くなど激務だったので、実際は資格の勉強する時間がなかったという実情もあります。かなりハードワークでしたが、当時23歳24歳で、その年齢では普通は担当できないような規模の案件も任せてもらえたことはとてもよい経験になったと思います。

―その他にも学びはありましたか?

この会社での最も大きな学びは、「お客様のために出来ることは妥協せず行う」ということです。上司からも会社からも、そういった仕事に対する姿勢やマインドは常に教わっていました。あとは個人の能力開発については人に頼らないということでしょうか。その会社は、必要な知識は自分で身につけるというスタンスで、聞けば教えてくれますが基本的には自分で勉強するというのがベースでした。

そのため、当時は常に勉強していましたね。お客様は全国にいたので、飛行機や新幹線で移動する時間が多かったのですが、その時間は常に必要なインプットに当てていました。この考え方や仕事に対する姿勢は今でも役立っています。

スタートアップ企業の税務に携わる

―次は会計事務所に転職されたそうですが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

前職6年間働いてそのまま会社に残れば、ポジションも上がり次はより難しい案件に着手したり、後輩を育てていったりという段階に差し掛かっていました。それも良いとは思ったのですが、同時に自分一人でどれだけできるのか試してみたいという気持ちもありました。

そんなときに、同世代の経営者の会計事務所が大阪から東京に進出するという話を聞いて、一度チャレンジしてみたいと考えるようになり、転職を決意しました。
転職したのは、クライアントをスタートアップ企業に絞って会社設立の手続きや資金調達の支援をするという、創業して4年ぐらいの小さい会計事務所でした。

前職は、クライアントの会社規模が大きく様々な業務を対応する中、社内に専門的な知識を持っている人がいて、分からないことでも周りに聞けば何とかなるという状況でした。でも、自分の専門性を磨いていける感覚が弱く、何か自分も特定の領域で力をつけて働きたいと思いました。
そこで、転職先の会計事務所はクライアントの対象をスタートアップ企業に絞っていたので、ここで自分の武器となるスキルや経験をつけていこうと考えました。

―そこではたくさんのスタートアップ企業を見ていたのですね。

はい、実際に多くのスタートアップ企業をクライアントに持ち、かなり近しい立場でたくさんの経営者と一緒に仕事をしてきました。また、起業というものが自分にとって近しい存在にもなりました。
もちろん大変な面もたくさん見てきたので、正直自分で起業しようとは思わなかったですけどね。

―上手くいくスタートアップ企業の特徴は?

順調に事業を伸ばす会社の経営者は、やはり過去どんな環境でも結果を残してきた人が多かった印象です。信頼を重ね続けることで自ずと紹介でも事業が広がっていきます。あと、やはり働く人がどういう人なのかという点はすごく大事だなと思いました。

事業が伸びているからと言って無理に人を採用しても、働く人の質が低下していくので、数年経過すると結果的に事業が上手くいかなくなってしまいます。当時のそういった状況を見てきた経験は、現職において採用をかなり重視しているところにも繋がっていると思います。

未上場のベンチャー企業で経理業務と上場準備を経験

―次のご転職の経緯について教えてください。

仕事を続けていく中で、税務のことだけに関わっていくと先細りしてしまうのではないかという考えが生まれました。しかし、だからといってこの先もスタートアップ企業の立ち上げに関わっていくことや、もう一度大きな会計事務所に戻って税務を深掘りしていくというイメージもできませんでした。
そこで、より幅広く様々な知識や経験を吸収したいと思い、一度事業会社に行こうと考えるようになりました。

そこで、選択肢として出てきたのが、未上場のベンチャー企業でした。面接で、当時の代表と管理部管掌役員の方とお話させていただいて、この人たちとなら楽しくやりがいをもって働けて、自分自身の力も付けられると感じて選びました。

あまり大きな会社に行くと、経理でも決まった狭い領域しかできない可能性がありますが、そうではなく会社全体を理解できる環境を望んでいました。また一般の事業会社がどういうものかを学びたいという気持ちもありました。
会社の規模やフェーズが自分のイメージにもぴったりで、入社したときは、経理部長の補佐という立場で、財務担当がいなかったので、経理と財務の両方を担当していました。

―実際に事業会社で働いてみて、どのように感じられましたか?

今までは会計事務所という立場で、クライアントから出てきた数字を見てアドバイスをするというのが基本的なスタンスでした。今度はこちらが数字を作る側ということで、数字を作る上での改善点や、こちらが正しいと思っているものでも外部から見ればよりよい方法があるなど、様々な発見がありました。でも、会計事務所での経験はとても生きていたと思います。

―その会社は上場を目指していたのですか?

実は内定の段階では上場の話は決まっていなかったのですが、内定が出て入社するまでの間に上場を目指すことが決まったということで、入社してからは上場準備への対応を行うことになりました。

その後、管理管掌役員や内部監査室長といった上場準備に必要なポジションの方々が採用され、その方々がこれまで各業界で実績を残してきた経験豊富なメンバーだったので、非常に恵まれた環境で上場準備に関わることができました。私は経理を中心に上場準備に関わるあらゆる業務を色々な方に教わりながら経験できました。

―上場準備で苦労されたことは?

その会社の事業的にどうしても日常で営業マンが現金を扱うということがありました。しかし、上場においてその点が監査法人や証券会社から問題視されました。
たとえば、営業所に一千万円規模のお金が置いてある状況や、営業マンが現金のやり取りを間違えるといったミスもどうしても発生してしまいます。
そこで、経理として事業部にも協力してもらいながら、現金管理を正確に把握できるようにガバナンスの強化を行いました。

上場準備責任者としてBranding Engineerへ

―その後、現職に転職されますが、今度はどのようなきっかけがあったのでしょうか。

当時その会社で上場準備に取り組んでいたのですが、様々な事情があって上場が延期になってしまいました。そこで、今後は上場準備を責任者としてやり遂げたいという気持ちが生まれ転職を決意しました。

数ある上場を目指す会社の中で、実際に上場を実現できるのは本当に一握りです。経営状況も変化しますし、バイアウトといった形になることもあります。しかし、そんな困難な上場というものを責任者として達成したいと思い、現在のBranding Engineerに入社を決意しました。

前職では、入社時にすでに各ポジションに優秀な人がいたこともあって、自分は経理担当者として各メンバーとコミュニケーションを取っていきながら、ぼんやりと会社の全体像を掴むことはできました。しかし、やはり責任者として全体感を持った上で関わったほうが、自分としてはより充実した仕事になるのではないかと感じました。

そこで現職は、上場準備責任者である管理本部長として入社し、それから1年後にCFOに就任しました。その後、株式会社Branding Engineerは2020年7月にマザーズ市場に上場することができました。

―新しく管理部を立ち上げる上で苦労したのはどのような点でしょうか?

ベンチャーの場合、管理部の仕事で役割がはっきり割り振られているのではなく、管理業務全体を見なければいけないという場合が多いです。例えば、普段経理を任されているけど労務が忙しそうなときには労務の仕事をやるといったような状態で会社が回っています。それほど問題にならないことも多いですが、結果として、業務が非常に曖昧になってしまうこともあり、それをひとつずつ整理していくというのが大変でした。

管理部の仕事で求められるものとは

―管理部で活躍できる人の共通点は?

管理部が業務で直接対応するのは取引先ではなく主に社員ということになります。そういった点で何となく曖昧にできたり、甘えが生まれたりということが起きがちなのですが、そこで改善ができ、会社として何をしなければならないか考えられる能力が必要です。また、自分がどこまでやるべきかを判断する思考力や相手にも納得してもらえるコミュニケーション能力も必要になります。

管理部の業務は、ある程度は既存のやり方を続けていても上手くできてしまうことがあります。しかしだからこそ、そのやり方が正しいのか常に考える必要があります。

また、管理部の仕事に関して、各部署から色々なオーダーが来ます。さらに部署によっても考え方やカラーが異なっていたりします。それに対して、何が本当に求められていて、何がどう違うのかといった点を単に調べるだけでなく、自分で考えて答えを出し、その上で必要であれば各部署に折衝することが求められます。つまり、それらの仕事をスムーズに行うために、管理部の人間は会社のことを一番理解していなければならないということになります。

そして、この理解には様々な部分があり、自分の会社はどのような事業を行っているかということはもちろん、それに対して代表はどう考えているか、それぞれの事業部長はどんな考えを持っているかなど多岐に渡っています。それを理解した上で初めて会社全体としての正しい方向性や、正しい答えが出せます。
事業部からは部分最適の案が上がってくるので、それを全体最適にしていくのが管理部の仕事だと思います。

―現在のBranding Engineerの管理部の強みについて教えてください。

私が入社してからの間、管理部では急激な環境の変化もありましたが、固定概念を持たずに仕事に取り組めているのは強みだと思います。特に会社が急成長している場合には、その成長に合わせて各々が自分の役割を広げていくことも重要ですが、いまの管理部にはそれが実現できていると感じています。

また、管理部の仕事として、単に調べただけで深く考えていないような業務は無くすようにして、必要であれば外部専門家に相談できる環境も整えています。そうすることで、自分で判断できる領域を増やしていくことも重要だと思います。

また、同時にワークフローも徹底しています。きちんとしたルールの整備や業務効率化を図っています。
例えば、個人間のチャットは禁止しています。これはとても便利ですが、その反面、それ以外の人には何が起きているのか分からないという欠点もあります。ある議論に対して一部の人同士で会話をして結論が出ても、それが正しい答えであるとは言えません。そのため、業務に関わるものはグループチャットで行うことを徹底しています。

ほかには、ある部署で出た質問は高い確率で他部署からも起こりうるので、1つの工夫として業務に関するQ&Aを社内共有ページに載せるような形を取っています。情報については一元化を徹底して、新入社員が入ってからもなるべくゼロベースからの質問が来ないような形を取っています。

―現在の管理部の組織体制について教えてください。

現在は経理が4人、労務が3人、法務が1人、総務が3人、有資格者は会計士が経理に1人、あとは経営企画の部署があり、そこが採用業務を担当しています。

―管理部の採用時に重視しているポイントはなんでしょうか?

ひとつはコミュニケーション能力です。弊社の管理部の場合、基本的には他部署からお願いされるというよりも、基本的には管理部が自ら状況を判断してそこから各部署に対して発信していく形を取っています。
つまり、管理部主導で進んでいくため、他部署との交渉や依頼は必然的に起き、そのときにはコミュニケーションを円滑に進める能力が求められます。

あとは、将来へのイメージですね。管理部の仕事は毎日変わらない日常業務のイメージがありますが、そのままのずっと仕事を続けていてもどうしても先細りしてしまいます。そのため、新しく一緒に働くメンバーには将来どうなりたいかということは必ず聞くようにしています。今の仕事に対してどのようなイメージを持っているか、その答えによっても考える力があるかどうか分かります。

―上場準備も含めて、これまでの仕事で心が折れるような経験はなかったですか?

実は仕事であまり「心が折れる」といったような経験はないです。その理由としては、まず新卒で勤めた会社やその後転職した事務所での業務が結構ハードワークで、そこで鍛えられたということが一つあります。

また、大変だということは分かっていて現職に入社しているので、たとえ業務の負担が大きくても、常に新しいことができていることにやりがいを持って努めることができました。
あとは、仕事はあくまでも仕事であり、自分の心や人生が左右されるわけではないという根本的な考え方も大事にしています。

―CFOの仕事において大事な考え方を教えてください。

CFOは0から1を作るわけではなく、1を100にする仕事だと思います。その過程で会社が成長するわけですが、成長に応じて、状況も求められる水準も変わってきます。その中で、会社組織全体を含めトータルで会社が上手く進むように、各意思決定が求められます。

また、管理部として会社全体のことを考えられる人を育てていき、常に会社がどうあるべきかをチームで考え、議論できる環境にいられるというのは大きなやりがいです。
そして、ときには自分が先頭に立つだけでなく、一歩引くことも大事だと思っています。もし自分がいなくても、どうしたらチームが同じパフォーマンスを発揮できるか考えながら、バトンを渡すことを心がけて仕事をしています。

また、組織の中でメンバーの納得を得られずに無理を続けると、人間の我慢には限界がありますので組織が崩壊し必ずその代償が自分に返って来ます。
でも、もともと人というのは任されたことはきちんとやるという性格を持っていると思うので、適切なコミュニケーションを取りながら実行すれば、最初は時間がかかったとしても、結果としてチーム全体で物事が円滑に進み、より大きな成果を上げることができるようになります。

―本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。

今回インタビューさせていただいた谷邊 紘史氏がCFOを務める株式会社Branding Engineerのホームページはこちら

この記事を書いたライター

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