税理士試験では、簿記論は必修科目のため避けて通ることができません。初学者の方には、この簿記論がどのようなものか、どうやって勉強するのがよいかわからない方も多いと思います。この記事では、簿記と簿記論の違いや難易度、合格率など、受験生が抱く疑問を徹底的に解説していきます。
簿記論とは、帳簿に記録し集計するためのルールです。
簿記は、企業の日々の活動を帳簿に数字で記録したものです。
この記録をみれば、企業の状況を数字で客観的に把握することができます。
少しわかりづらいかもしれませんので、例を出したいと思います。
家計簿をイメージしてみてください。
家計簿は、収入と日々の支出とを記録したものです。
それで、家計の状態を知ることができるわけです。
家計簿の企業版が簿記と考えてみてください。
簿記論とは、どのように帳簿に記録しそれを集計するかのルールなのです。
また簿記論は、他の試験科目である財務諸表論や各税法系科目の理解に不可欠となります。
しっかりと学習しましょう。
・出題数 大問3題
・試験時間 2時間
・配点 第1問 25点 第2問 25点 第3問 50点 合計100点
例年大問3題でほぼ計算問題のみの出題です。試験時間は2時間で100点満点です。
試験時間の割に問題数が多く、中には難易度の非常に高い問題もあるため、全問全てを解答するのは難しいでしょう。
そのため、「解ける問題」「解けない問題」の見極めが必要になります。
出題者は第一に計算能力の有無を見たいのだと思います。
しかし時間内に必要最低限の解答できるか、つまり事務処理能力の有無も見ているのでしょう。
簿記論の出題範囲ですが、複式簿記の原理、その記帳・計算及び帳簿組織、商業簿記のほか工業簿記を含みます。ただし、原価計算は除かれます。
ちなみに日商簿記1級の学習者経験者の場合、範囲の90パーセントを学習済みです。
簿記論の合格率の推移
合格率は、12パーセント台~18パーセント台で推移しています。
合格最低点は満点の60パーセントになっています。
しかし例年大きく合格率がぶれないところから、事実上相対評価の試験といえるでしょう。
簿記論は他の科目と比べ、学習範囲が広くボリュームがあるため、難易度に関しては、難しい科目といえるでしょう。
同じ必修科目である財務諸表論と簿記論とは、論点の重なりあいが多いので、同時に学習するのが効率的です。
簿記論で全ての問題に解答することは非常に困難です。
税理士試験などの難関試験は、必ず解ける問題と解けない問題の両方が出題されます。
それは、基本的に「落とす」ための試験だからです。みんなが解ける問題しか出題されなかったら、試験として成立しなくなってしまいます。
みんなが正解できる問題は、自分も正解できなければなりません。
逆にみんなが不正解になる問題は、自分も不正解で構わないのです。
「解ける問題」と「解けない問題」を見極める能力をつけるためには、過去問を解くときに正答率を参考にしましょう。
簿記論の試験で求められるのは、とにかく早くて正確な計算能能力です。
先に書いたように簿記論は出題のほとんどが計算問題のため暗記に頼ることができません。
ここが同じ必修科目でありながら暗記科目である財務諸表論と大きく異なるところです。
そのため普段の勉強方法も演習が中心になるでしょう。とにかく手を動かして計算しまくるということが大切です。
テキストを繰り返し読んでいるだけでは、実力はつかないでしょう。
合格者が解ける問題をケアレスミスで落とせば、それは致命傷になりかねません。
普段過去問を解くときや、模擬試験を通じて自分のクセを把握するようにしてください。
ケアレスミスの多い人には、必ずクセがあります。
・時間がなくなると問題文を読み飛ばす。
・最後の方になると集中力がなくなり計算ミスをする。
など。
普段過去問を解くときや、模擬試験を通じて自分のクセを把握するようにしてください。そして、ミスの原因をつかみその対策をきちんとしてください。
いかがでしたでしょうか。
簿記論は確かに難しい試験です。
しかし、必修科目のため避けて通れません。またその他の試験科目を理解するための基礎となるものです。
条件はみんな同じですし、対策をきっちり行えば恐れることは何もありません。
税理士試験のスタートの一歩となる簿記論をマスターして、税理士試験を是非突破してください。