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簿記2級は意味ない?そんなことはありません!

HUPRO 編集部
簿記2級は意味ない?そんなことはありません!

「簿記2級取得は意味があるのだろうか?」
「時間とお金をかけても不合格だったらどうしよう…」

簿記2級の勉強中に悩んでしまう方も多いと思います。

特に最近難しくなったと言われ、なおさらそう感じるかもしれません。
さらに、一部では「簿記2級は意味ない」と言う人もいます。

しかし、決して意味のないことはありませんし、簿記2級の取得をきっかけに新しいキャリアを拓いている人もたくさんいます。

そこで今回は、簿記2級の資格取得について、なぜ「意味ない」と言われることがあるのか。その理由とあわせて、簿記2級の取得メリットもあわせてご紹介していきます。

簿記2級が「意味ない」と言われるのはなぜ?

まずは簿記2級について「意味ない」と言われる理由を実例から探ってみましょう。そのほとんどは誤解であることがわかるはずです。

理由①:取得者数が多いから

簿記検定2級は、実受験者数が毎年15万人前後。とても多くの人が受験しています。2020年12月からは毎日受験できるネット試験も始まりましたので、より受験者数が増えることでしょう。

合格率は試験によって異なりますが、ここ数年は3万人前後の合格者数を毎年輩出しています。取得者数が増え続けているため、簿記2級単体ではアピールポイントになりにくいのでは?と考えて「意味がない」という人も多くいます。

理由②:簡単だと思われているから

日商簿記検定は、おそらく社会人であれば誰でも知っているくらい有名な資格です。受験資格がなく、高校生でも取得する人も多くいます。

そのため、資格のことを知らない人が簡単だと誤解する傾向があり、そうした方が「意味ない」という主張をしているというのも理由の一つにあります。

理由③:資格よりも経験が大事だから

簿記2級は、経理・財務系の部門へのパスポートというような捉えられ方をされています。

しかし、経理職に就いている人でも、簿記2級を持っていない人はたくさんいます。資格は関係なしにバリバリ働いて活躍している人もいます。

確かに、簿記資格を取得したからといって、実務をずっとこなしてきた人と同レベルのことができるわけではありません。

そうした方を引き合いに出して「簿記2級なんてなくても」「わざわざ取得する意味ない」と勘違いする人も多いのです。

確かに、経理や財務は経験がなくても異動する場合はあります。そして、現在多くの企業では、資格よりも経験を重視する傾向は否めません。

しかし、いつまでもそのローテーションが回ってくるのを待っていて良いのでしょうか?

理由④:専門家に任せれば良いから

簿記検定は民間資格です。そのため、税理士や弁護士のように、資格を使って独立開業することはできません。このことから取得しても意味ないと言われることもあります。

また、経理自体をアウトソースする会社も増えてきました。そうなると経理職自体が社内に不要と考える人もいます。

しかし、お金にまつわることを全部外注して、それで経営判断ができるのでしょうか?作業はともかくとして、自分たちで数値を管理していないと、経営戦略を立てることも困難ですし、監査にも対応できません。

理由⑤:いずれAIに取って代わられるから

経理職はAIに代替される可能性の高い職業といわれています。簿記なんていずれ自動化されるという論調も出てきました。

しかし、経理の仕事において作業はAIに代替できても判断できる人は必ず必要となります。
AIに代替できる部分はあれど、上流部分まで全て置き換えることはできません。

そして、AIを使いこなすためには、AIがどのような作業を行っているのかを知る必要があります。

簿記2級を取得するメリット

簿記2級を「意味ない」という様々なパターンについて見てきました。次は「意味がある」=メリットについて見ていきましょう。

就職・転職が有利になる

メリット①:就職・転職が有利になる

経理職の求人は倍率が高いです。場合によっては100倍だったりすることも珍しくありません。そんな中、「簿記2級」を必須条件としている会社が多くあります

簿記2級がないと、まずはスタート地点に立てないということです。
未経験でも20代なら、簿記2級だけでも経理職の転職市場価値を高めることができます。

30代以上の場合でも、可能性は高まります。年齢不問の会計事務所などで短期間働いて実務経験を積むことで、より有利に転職活動をおこなうことができるでしょう。

また、経理職の志望動機などで良く「コツコツと真面目に業務に取り組む」といったことを言いますが、簿記2級について勉強して取得したことで、その主張を裏付けることもできます。

特に職歴をアピールできない新卒の就職活動では、資格がものを言うでしょう。新卒の場合は、できれば簿記1級まで取得すると、より説得力が増します。

メリット②:会計の基礎概念がわかるようになる

最近ではIT系が人気ですが。プログラム言語というのは日進月歩で新しい言語が生み出されている。勉強しても数年後には廃れていると言うことも珍しくありません。

しかし、簿記の概念は世界共通ですでに完成されており、これからも変わることはありません。会計基準や税制は改正されますが、簿記の考え方は変わらないのです。

簿記検定の勉強で得た知識は、一生使うことができます。

メリット③:企業の業績判断ができる

就職・転職先を選ぶときに、ネームバリューや提供商品・サービスよりももっと大事なことがあります。それは、経営成績や財務状況です。

簿記2級の勉強をすることで、財務諸表を読めるようになります。そうすると、企業の良し悪しを、自分の目で判断できるようになるのです。

株式投資などを始めるとき、企業ののチェックが必要になります。やはりここでも簿記の知識が使われるのです。

簿記を活用し決算書が読めるようになると、この数字が何を意味するのか、これからどうなっていきそうか、というのがだんだん見えてくるようになります。

特に公表されている上場企業の財務諸表は連結ベースのものが主流です。簿記2級は範囲の改定があって連結決算も加わりましたので、その知識を使って読めるようになるのです。

就職・転職先だけでなく、株式投資などでも使える知識を得ることができます。

メリット④:数字で説明できるようになる

簿記2級で重要なことは、お金の流れがわかるようになるということです。

例えば、商品1つあたりの売上から原価や経費を引いた利益がどのくらいなのか。損益分岐点はどこになるのか。
こうしたことを具体的に語れるようになるので、マネジメント志向が身につきます。

特に理系でシステム開発などをしている方で、簿記の概念が身についていると大変に重宝されますよ。

メリット⑤:経理の実務に活きる

簿記2級は難易度が上がったと言われていますが、それは名ばかり資格ではなく、実務に役立つ資格へと脱却しようという商工会議所の姿勢の表れです。

そのため、税効果会計や連結会計、クレジットカード決済などが試験範囲の改定で新たに2級に加わりました。実務でも強く求められる論点が加わったのです。

経理部門では内容を把握しているため、資格取得者は重宝がられます。近年難しくなった分、簿記2級の価値が上がっていると言えるでしょう。

メリット⑥:さらなる資格取得のベースになる

簿記2級で会計に関する知識を身につけることができたら、それはさまざまな資格・スキルの基礎にすることができます。

例えば、簿記1級・税理士・公認会計士…といった、より難易度の高い資格の取得へのステップになるでしょう。

他分野では、中小企業診断士・証券アナリスト・基本情報技術者試験・応用情報技術者試験などでも財務諸表を読めることは強いです。

財務・会計は苦手な人が多い分野なので、簿記2級の内容を理解していることで、他の人よりも一歩リードすることになります。

メリット⑦:確定申告が自力でできる

最近では、副業解禁の流れが加速。名だたる大企業も続々と副業解禁のニュースが毎日のように流れています。

それに呼応するように、多くの個人がYouTubeやブログ、メルカリでの販売やポイントサイトの活用などをはじめているのではないでしょうか。

副業については、「何円売上げて、何円費用を使ったの?」「これは経費で落とせるの?」といった、これまでは経理担当者がやっていた仕事を自分で判断して作業、帳簿をつけて、利益に応じた税金を計算し、確定申告・納税する義務が生じます。

もちろん、税理士さんにお願いすればやってくれますが、確定申告だけでも3万円~程度かかるのが目安なので、ご自身でされたいと思うのではないでしょうか。

こんな時に簿記2級の知識があれば、帳簿をどのようにつけるかにはじまり、国税庁が確定申告に要求している内容も簡単に読み取れます。

簿記2級を「意味ある」ものにするためには?

簿記2級が実際の仕事で役立つのは、簿記2級について勉強したことで得られる知識を活かすときです。

この記事を読まれている方は、簿記2級を活かして就職・転職を考えている方が多いと思います。

しかし、簿記2級は持っているだけで一部の人が指摘するよう「意味ない」ものになってしまうかもしれません。

単なる資格ホルダーとしてではなく、簿記2級を「意味ある」ものとして、どう活かすつもりなのか、資格取得をしようと思った理由や目的を明確にしておくことで、自ずと就職・転職への道も開けるでしょう。

この記事を書いたライター

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