個人事業主から法人化なども含め、会社を設立する際は、設立資金のほかにも税金について事前に確認しておく必要があります。本記事では、会社設立にともなって発生する税金について現役公認会計士が解説いたします。
まず、会社を設立するのにも税金を払う必要があります。
会社設立時には、その事業内容などを記した「定款(ていかん)」を作成しなければなりません。定款は登記前に公証役場にて認証を行う必要があり、その際に特定文書にかかる印紙税として4万円がかかります。
しかし、電子証明書の作成や申請ソフトのインストールといった諸準備を行っておけば、オンラインで電子定款を作成して認証を受けることができるので、この印紙代については不要になります。代行業者やオンライン会計ソフトなどで電子定款作成サービスを行っているところもあるので活用を検討しても良いでしょう。
次に、会社設立の登記にかかる登録免許税です。設立する会社形態と資本金によって異なります。
株式会社:資本金の額の0.7%ですが、最低金額は15万円からとなっているので、例えば資本金100万円の場合でも7000円ではなく15万円となります。
合同会社:株式会社と同様こちらも資本金の額の0.7%ですが、最低金額は6万円からです。
会社を設立した後は、その利益に応じて、または利益に関わらず所定の税金を納める必要があります。
法人に対して課税されるのが法人税です。会社の利益に対して課税され、決算月の翌日から2ヶ月以内に納める必要があります。
なお、法人税の税率については、法人の区分に応じて定められていますが、資本金1億円以下の普通法人の場合は、年間所得800万円以下かそれ以上かで分けられます。
法人の課税対象の所得は益金から損金を差し引いて求めます。会計上では費用となるものでも、税法上はそうならないものもあるので、決算並びに所得計算については専門家に依頼して求めることをおすすめします。
法人の所在地がある市区町村に法人住民税を納める必要があります。個人への住民税と同じように、法人税額に応じて課税される「法人税割」と、税額に関わらず課税される「均等割」から構成されます。
決算が赤字で利益がない場合でも「均等割」については必ず支払う必要があるので注意しましょう。
資本金1000万円得以下の法人で従業員が50人以下の場合は、道府県民税と市町村民税を合わせた金額で7万円が一般的な金額です。
次に説明する「法人事業税」と共に納税します。
法人の行っている事業に対して、都道府県が課する税金です。利益がない赤字の場合は納付する必要がありません。法人税と異なり、損金算入できる税金です。
法人住民税と法人事業税は地方税なので、自治体によって内容が異なる場合があります。会社がある自治体に確認しましょう。
法人の消費税については、以下の要件に当てはまる場合は免除されます。
会社設立時に売上高が1000万円を超えたとしても、設立時に資本金が1000万円未満の場合は、原則として2年間の消費税免除があります。消費税を支払う場合は、法人税と同様事業年度終了の翌日から2ヶ月以内に納める必要があります。
厳密にいうと、会社に課される税金ではありませんが、代表者の役員報酬や従業員の給与に応じて所得税を源泉徴収し、税務署に納める必要があります。
また、住民税については、前年の所得から算出された税金を特別徴収で給与から天引きして各市町村へ納める必要があります。
また、以下の社会保険については、会社を設立した場合は基本的に加入必須です。
労働者からの天引きだけでなく、会社側での負担もあるほか、会社が赤字でも支払う義務があります。
以下は、必要に応じて納める税金です。
会社設立時、またその後も様々な税金が課税されます。しかし、個人事業主で事業を行うよりも、会社設立をすることによって反対に節税になる場合もあります。会社を設立する際は、自身でも事前に勉強して知識を深めておくほか、費用や税金について相談できる専門家を見つけておくと心強いでしょう。