消費税の課税事業者は、前事業年度の消費税の年税額によって中間納付が必要な場合があります。
中間納付をすることを怠ってしまうと延滞税等のペナルティがあるため、中間納付の有無には留意をしたいところです。
今回は、消費税の中間納付の有無の判定や中間納付の回数、納税額について解説していきます。
消費税の課税期間は原則として1年とされていますが、中間納付制度が設けられています。
中間納付とは、一定の課税事業者に対して進行年度分に該当をする消費税額を前払いで分割払いをすることを国が求めるものです。
分割払いとなることで、消費税を納税すべき事業者は1年に1回の多額の消費税を納めることよりも、金銭的な負担感が少なくすることが出来ると共に、国は確実な消費税の徴収を行うことが出来るという点でメリットがあります。
課税事業者については下記コラムもご参照ください
中間納付が必要な課税事業者は、個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度の消費税の年税額が48万円を超える事業者です。
この年税額には消費税の国税部分のみが該当をし、消費税の地方税部分は48万円の判定に含みません。
前年及び前事業年度の消費税の年税額が48万円を超える事業者は中間納付の必要がありますが、中間納付すべき回数と納税額は、その前年及び前事業年度の消費税額によって下記のように異なります。
中間納付すべき回数は年1回であり、直前の課税期間の確定消費税額の6/12が納付すべき金額です。
各中間納付の対象となる課税期間の末日の翌日から2ヶ月以内が納付期限です。
例えば前事業年度の消費税の年税額が50万円である法人の会計期間が4月1日から3月31日である場合には、当事業年度の11月30日までに25万円を消費税の中間納付額として納める必要があります。
中間納付すべき回数は年3回であり、直前の課税期間の確定消費税額の3/12が1回あたりに納付すべき金額です。
各中間納付の対象となる課税期間の末日の翌日から2ヶ月以内が納付期限です。
例えば前事業年度の消費税の年税額が800万円である法人の会計期間が4月1日から3月31日である場合には、当事業年度の8月31日、11月30日、2月28日までにそれぞれ200万円を消費税の中間納付額として納める必要があります。
中間納付すべき回数は年11回であり、直前の課税期間の確定消費税額の1/12が1回あたりに納付すべき金額です。
個人事業者の場合は、1月から3月分を5月31日までに、4月から11月分を中間対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内に納める必要があります。
法人の場合は、その課税期間開始後の1ヶ月分をその課税期間開始日から2ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に、以後の10ヶ月分を中間申告対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内に納める必要があります。消費税の確定申告の期限の延長特例の適用を受けている法人の場合は、その課税期間開始後の2ヶ月分はその課税期間開始日から3ヶ月を経過した日から2ヶ月以内となり、以後9ヶ月分は中間申告対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内が納付期限になります。
消費税の年税額が48万円以下の課税事業者は、中間納付を行う必要はありませんが、任意で行うことが出来ます。
任意に中間申告書を提出する旨を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出した場合には、この届出書を提出した日以後にその末日が最初に到来する6ヶ月の中間申告対象期間から、自主的に中間納付をすることが出来ます。
中間納付の額は、直前の課税期間の確定消費税額の6/12の額です。
この中間申告書を提出する旨を記載した届出書を提出した以後に納付を行わなかった場合には、任意の中間申告制度の適用をやめようとする旨を記載した届出書の提出があったものとみなされます。
中間申告による納付税額がある場合には、確定申告の際にその納付税額が控除され、控除しきれない場合には還付されます。出典:国税庁 中間申告の方法
中間納付で納付すべき回数や納付すべき金額の判定は、前事業年度の消費税の年税額に基づいたものであるため、進行年度分の消費税額とは関係がありません。
よって確定申告で決定をされる進行年度分の消費税よりも、中間納付をした消費税額が上回ることがあり、上回ったものは還付されます。
消費税の中間納付を期限内に行わなかった場合には、納付の日までの延滞税を本税と併せて納付をする必要があります。
延滞税は利息に相当をする税金であり、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは原則として年7.3%、2ヶ月を経過する日以降は原則として年14.6%が必要となります。
納期限から日が経つほど延滞税の負担は重くなるため、中間納付をしていないことを気が付いた場合には、出来るだけ早く納付を行うことが望ましいです。
延滞税については下記コラムもご参照ください。
上記のように、消費税の中間納付は直前の課税期間の確定消費税額により、その有無や回数、納税額が異なります。
課税期間の確定消費税額を確認し、中間納付が行えるように資金繰りの際には留意をするようにしましょう。