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簿記1級合格で税理士試験の科目は免除される?

HUPRO 編集部
簿記1級合格で税理士試験の科目は免除される?

税理士試験には「簿記論」という科目があります。そのためか、税理士試験を受ける際に、簿記1級に合格していると科目が免除される?という質問が寄せられることがあります。結論から言うと、簿記1級で免除される税理士試験の科目はありません。本記事では税理士試験と簿記1級の関係とともに免除要件について解説します。

簿記1級は税理士試験の受験資格の1つ

簿記1級は税理士試験の免除要件ではなく、受験資格の1つです。具体的に税理士試験の科目と受験資格を見てみましょう。

税理士試験の科目

税理士試験は、以下の科目のうち必修2科目、選択必修1科目、選択2科目の計5科目の合格が必要です。

・会計学に属する科目:簿記論、財務諸表論
・税法に属する科目:所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税 のうち受験者の選択する3科目(所得税法または法人税法のいずれか1科目は必ず選択)

このうち会計学に属する必修科目である「簿記論」が、簿記1級取得で免除になるのか?と質問を受けることがあります。

確かに、簿記1級(この場合は日商簿記検定1級を指す)は、簿記検定の中でも最高峰で、とても難しい資格です。しかし、税理士試験には、簿記検定1級合格で免除になる科目はありません。

税理士試験の各科目の概要についてはこちらのコラムで詳しく紹介しています。
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税理士試験の受験資格

ただし、簿記1級合格をすることで、税理士試験の受験資格基準を満たすことができます。
税理士試験の受験資格は以下の通りです。

■学識による受験資格
・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
・大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
・一定の専修学校の専門課程を修了した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
・司法試験合格者
・公認会計士試験の短答式試験に合格した者

■資格による受験資格
・日商簿記検定1級合格者
・全経簿記検定上級合格者

■職歴による受験資格
・法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
・銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者

出典:国税庁 税理士試験受験資格の概要

学識・資格・職歴のいずれかを満たしていれば税理士試験を受験できます。
そのため、大学で法学部や経済学部だった人や、すでに税理士事務所で働いているなど、など学歴や職歴を満たす場合は、簿記1級は必ずしも必要ではありません。

ただし、どれも満たしていない人が税理士試験を受験する場合は、日商簿記1級または全経簿記上級に合格するのが一番近道といえます。

税理士試験の科目免除が得られる方法

簿記1級ではありませんが、税理士試験の科目免除が得られる方法は以下の3つです。

・司法試験または公認会計士試験に合格する
・大学院への進学
・国税従事者における免除

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簿記1級と税理士試験の「簿記論」はどちらが難しい?

混同されがちな簿記1級と税理士試験の「簿記論」ですが、果たしてどちらが難しいのでしょうか?
両方とも勉強時間については、500時間~1,000時間といわれています。 出題範囲も80%くらいは重複しているものも多いのです。

商業簿記は簿記論、工業簿記は簿記1級が難しい

簿記1級の試験の目的は、あくまで以下のレベルに沿う人材を輩出することにあります。

「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル」出典:日本商工会議所 簿記1級のレベル

簿記1級では、商業簿記・工業簿記ともにまんべんなく出題されるのが特徴です。メーカー勤務などで原価計算について日常的に携わっている場合は、概念もつかみやすく今後も必要であるため簿記1級がものをいうでしょう。

日商簿記検定1級の勉強をすることで、税理士試験の簿記論と財務諸表論の基礎が7~8割習得できると言われています。
また、税理士試験に合格できなくても、簿記1級の資格は就職・転職には有利ということで、簿記1級を税理士試験の手始めに受験する人が多いのです。

しかし、税理士試験ではどちらかというと商業簿記がメインです。そのため商業簿記ではかなり複雑で難しい難問が多く、全問回答が難しいほどのレベルです。ただし、原価計算や管理会計などは範囲に含まれていません。

簿記1級は税理士試験合格に必ずしも必要ではない

資格が得られるということもあり、簿記1級を税理士試験の登竜門として捉える方も多くいます。しかし、これまで述べてきたように試験範囲や傾向が異なっているため、相性が合わないと簿記1級でつまずいてしまうこともなくはありません。

受験資格を得るために、どうしても簿記1級が必要という場合でない限りは、自分の得意不得意によって簿記1級を飛ばし、税理士試験の科目合格を狙うというルートもあります。

まとめ

今回は、簿記1級によって税理士試験の科目免除があるのか?について解説しました。

結論、科目免除はありませんが、簿記1級の取得によって税理士試験の受験資格を得られたり、税理士試験の勉強に直結したり、就職や転職の際に活かせるなど、とても有効な資格であることは間違いありません。

これから税理士試験を目指そうと考えている方は、ご自身のキャリアについて十分に考えた上で、簿記1級を受けるのか検討してみてください。

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