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コロナ融資は印紙税が非課税!特別貸付の消費貸借に関する契約書

岡山 由佳
コロナ融資は印紙税が非課税!特別貸付の消費貸借に関する契約書

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて資金が不足した場合に行われる「コロナ融資」。この融資は他の借入金よりも有利な条件で受けられるメリットの他に、契約書の印紙税が非課税とされています。
今回はコロナに関連する特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税措置について解説していきます。

特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税

新型コロナウイルス感染症によりその経営に影響を受けた事業者に対して行う金銭の特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書について、印紙税を非課税とすることとされました。

出典:国税庁 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置

印紙税とは

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書等の特定の文書に課税される税金です。

出典:国税庁 印紙税

印紙税の税額

金銭消費貸借契約書は、通常では契約金額によって下記の印紙税の納付が必要です。

・1万円未満…非課税
・10万円以下…200円
・10万円を超え50万円以下…400円
・50万円を超え100万円以下…1千円
・100万円を超え500万円以下…2千円
・500万円を超え1千万円以下…1万円
・1千万円を超え5千万円以下…2万円
・5千万円を超え1億円以下…6万円
・1億円を超え5億円以下…10万円
・5億円を超え10億円以下…20万円
・10億円を超え50億円以下…40万円
・50億円を超えるもの…60万円
・契約金額の記載のないもの…200円

印紙税の納付方法

金銭消費貸借契約書をはじめとする課税文書の作成者は、原則として、課税文書に課されるべき印紙税相当額の収入印紙を課税文書に貼り付ける方法により印紙税を納付します。
一般的には事業者が金銭の貸付ける場合には、この印紙代を事業者が負担をし、貸付を受ける金額の総額から手数料等と共に差し引かれて、その残額が事業者の通帳に入金をされます。

印紙税については下記コラムもご参照ください。

対象事業者

新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置によりその経営に影響を受けた事業者が対象となります。
例えば、事業者又はその親族、従業員等が新型コロナウイルス感染症に感染したことによる影響のほか、イベント開催又は外出等の自粛要請、入国制限、賃料の支払猶予要請等の各種措置による影響等により、収入の減少又は売掛債権の固定化等その経営の状況が悪化した事業者をいいます。
この対象事業者を特定事業者といいます。

対象となる消費貸借契約書

公的貸付機関等又は金融機関が他の金銭の貸付けの条件に比べ特別に有利な条件で行う金銭の貸付けに際して作成される消費貸借契約書が非課税の対象となります。

公的貸付機関とは

下記の8つの機関が公的貸付機関として認められています。

① 地方公共団体
② 株式会社日本政策金融公庫
③ 沖縄振興開発金融公庫
④ 独立行政法人中小企業基盤整備機構
⑤ 独立行政法人福祉医療機構
⑥ 預託等貸付金融機関
⑦ 転貸者
⑧ 指定金融機関
⑨ 融資機関

金融機関とは

金融機関とは、銀行、信用金庫、信用協同組合等の民間金融機関をいいます。具体的には下記の15つの機関が金融機関として認められています。

①銀行
②信用金庫
③信用協同組合
④労働金庫
⑤信用金庫連合会
⑥協同組合連合会
⑦労働金庫連合会
⑧農業協同組合
⑨農業協同組合連合会
⑩漁業協同組合
⑪漁業協同組合連合会
⑫水産加工業協同組合
⑬水産加工業協同組合連合会
⑭農林中央金庫
⑮株式会社商工組合中央金庫

有利な条件とは

他の金銭の貸付の条件に比べ特別に有利な条件とは、利率、据置期間、貸付限度額、償還期間、貸付金の返済方法、貸付金の使途、担保の提供、借換えの可否、保証料率のいずれかにおいて有利となっているかで判断を行います。

消費貸借契約書とは

印紙税が非課税とされる一定の金融機関が行う金銭の貸付けに係る消費貸借契約書とは、下記の全ての要件を満たす金銭の貸付けに関して作成される消費貸借
契約書で、令和3年1月31日までに作成されるものです。

① 金銭の貸付けを受ける人が特定事業者であること
② 金銭の貸付けを行う人が、銀行、信用金庫など一定の金融機関であること
③ 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置によりその経営に影響を受けたことを条件として行う金銭の貸付けであること
④ 他の金銭の貸付けの条件に比し特別に有利な条件で行う金銭の貸付けであること
⑤ 特定事業者に対する特別貸付けであることが消費貸借契約書において明らかにされていること

既に印紙税を納付している場合

印紙税が非課税となる消費貸借契約書について、既に印紙税を納付している場合には、印紙税過誤納確認申請書を税務署に提出し、税務署長の過誤納確認を受けることにより、その納付された印紙税額に相当する金額の還付を受けることが出来ます。

印紙税還付の手続き

過誤納確認申請手続の際は、印紙税過誤納確認申請書の提出とともに、非課税となる契約書の原本を提示又は過誤納となった事実を金融機関等又は一定の金融機関が証明した書類の原本を提出する必要があります。
印紙税過誤納確認申請書は国税庁のホームページよりダウンロードをすることが出来ます。
この還付手続きの期限は、過誤納となっている消費貸借契約書を作成した日等から5年以内です。

出典:国税庁 印紙税過誤納[確認申請・充当請求]手続

まとめ

上記のように、いわゆる「コロナ融資」に対する印紙税は非課税とされています。
この制度が定められる前の令和2年4月29日以前の借入で納付をしてしまった場合、誤って納付をしてしまった場合は、印紙税還付の手続きを行い、損のないようにしましょう。

この記事を書いたライター

大学在学中より会計業界に携わり10年超の会計事務所、税理士法人での実務経験を経て独立。各業種の会計業務に関するフォローのみならず、ライターとして税務、労務、経理の話題を中心に、書籍やWebサイトに数多くの寄稿を行う等の様々な活躍をしている。
カテゴリ:コラム・学び

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