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日商簿記2級とは?試験内容・日程を詳しく解説します!

HUPRO 編集部
日商簿記2級とは?試験内容・日程を詳しく解説します!

就職や転職の際に人気の資格である日商簿記は、資格を保持していると就職・転職を有利に進められます。特に、日商簿記2級は企業規模に関わらず一通り簿記一巡の手続きを理解していることの証となる資格です。それでは、日商簿記2級はどのような試験内容なのでしょうか?この記事では日商簿記2級の試験内容を詳解します。

日商簿記2級とは

日商簿記2級は、高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ、適切な処理や分析を行うために求められるレベルの難易度となるので、高度な簿記の知識が必要となる試験です。

この数年で、簿記2級の試験範囲は大きく改訂され、出題範囲は大きく変化しました。特に2015年からの3年間に大幅な改訂が行われています。この時に、簿記1級の試験範囲だった内容の一部が簿記2級に追加されるなど、試験範囲の改訂が行われました。

リース取引、連結会計、圧縮記帳、外貨建取引、製造業を含む会社の決算処理、税効果会計、クレジット売掛金などの論点が、1級の試験範囲から2級の試験範囲となりました。その結果、日商簿記2級の試験は従来よりも大きく難化しています。
特に、日商簿記2級では、連結会計の論点において受験生によって得点差が開きやすくなっています。

2021年からネット試験が実施

2021年からはネット試験が実施されるようになりました。

その結果、年に3回しか受験機会のなかった日商簿記2級試験の受験機会は大幅に増えることとなり、また、ネット試験となったことで誰でも気軽に受験することができるようになっています。

ネット試験となったことによって受験者が増えることが予想されますが、近年、日商簿記2級の試験難易度が高くなっている傾向にあることを考えると、ネット試験となったからといって、その試験難易度が下がるわけではありません。

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簿記検定の種類

日本の主な簿記検定としては、日商簿記検定と全経簿記能力検定があります。また、高校生向けの検定としては全商簿記検定もあります。

上記の3種類の検定試験のうち、最もオーソドックスかつ知名度が高いのは日商簿記検定です。受験対策の講座やテキストなども充実しているので、取り組みやすいというメリットもあります。

仕事の募集要項などで、採用の条件として簿記1級や2級が必須と記載されたり言われたりしますが、その場合の簿記とは日商簿記検定のことを指すのが一般的です。

1級・3級との違い

日商簿記検定は初級、3級、2級、1級の4種類に分かれており、1級が最も難易度が高いです。日商簿記2級は、企業規模に関わらず、経理業務で必要となる知識を一定程度有していることの証となることから人気があります。

3級の試験科目は商業簿記のみとなっており、簿記を初めて学ぶ人でも十分合格可能な難易度です。就職・転職で重視されるのは3級以上の取得なので、取得する価値はあります。

1級は、日商簿記検定の中でも最高の難易度の資格です。試験科目は、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4種類となっています。

日商簿記2級の試験内容

試験日程

簿記2級の試験は、年に3回実施されています。毎年2月・6月・11月が試験日です。
例えば、2020年度は以下の試験日程でした。

簿記2級は毎年2・6・11月が試験日

出典:商工会議所の検定試験WEBサイト:2020年度試験日程カレンダー

日商簿記検定2級の試験日は例年日曜日です。日商簿記は全国の各会場で一斉に行われる統一試験で、どの会場も同じスケジュールで実施されます。

最新の日程については、商工会議所の検定試験WEBサイトで確認してください。
商工会議所の検定試験WEBサイト

試験時間

簿記2級の試験時間は、90分です。以前は120分でしたが、第158回簿記検定試験から、試験時間が変更されています。

従来、日商簿記2級は紙面でのテストのみ実施されていましたが、新型コロナウイルスによって受験者が集まって試験を受験することができない状況が続いている状況を受けて、
簿記2級の試験では大問5題を90分で解答しなければなりません。

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申込期間・申込場所

日商簿記検定は、かなりメジャーな資格ではありますが、英検やTOEICのように書店などでの申し込みは受け付けていません。
受験申込期間および受験申込場所は、各地の商工会議所、試験施行機関によって異なりますので、試験日の約2カ月前を目途に、受験希望地の商工会議所等にお問い合わせください

出典:商工会議所の検定試験 商工会議所検索

また、すべての商工会議所が簿記検定試験を実施しているわけではないので注意が必要です。

申し込みは、商工会議所の窓口が原則ですが、商工会議所によっては、郵送やこちらの「検定管理システム」にてWEB申し込みができる場合も。ネットの決済もクレジットカードやコンビニ払いも使えて便利ですので、導入されている地域の方にはおすすめです。

申し込み方法がわからない場合は「商工会議所検定情報ダイヤル(0357778600)」で確認ができます。

出題範囲

2級の出題範囲は商業簿記と工業簿記となります。

「商業簿記」は、「購買活動や販売活動など、企業外部との取引を記録・計算する技能で、企業を取り巻く関係者(経営管理者・取引先・出資者等)に対し、適切、かつ正確な報告(決算書作成)を行うためのもの」です。2級の商業簿記においては、株式会社(中小企業)を対象とした記帳方法を学びます。

「工業簿記」は、製造業を対象とした記帳方法を学びます。「企業内部での部門別や製品別の材料・燃料・人力などの資源の投入を記録・計算するためのもの」です。製造業とは、いわゆるメーカーのことを言い、たとえば、ある取引先から材料を仕入れてきて、自社工場で組み立てや塗装といった加工を施して製品を完成させ、完成した製品をお客さんに販売する業種をいいます。

配点基準・合格基準

簿記2級の試験は大問が5つ出題され、配点は各問20点ずつとなります。日商簿記2級で問われる試験内容は、大きく分けると商業簿記工業簿記に分けることができます。商業簿記が100点満点中の60%、工業簿記が40%出題されます。100点満点中70点以上が合格基準です。

難易度

日商簿記試験を実施している日本商工会議所のホームページでは、日商簿記2級の難易度を「経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。
高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル」と定義しています。

日商簿記検定2級は、受験生の上位何%が合格といった相対試験ではありません。70点を獲得することができれば、誰でも合格することができる絶対試験です。そのため、各回の試験の難易度によって、その合格率にばらつきがあります。

難易度が高い試験回もあれば、比較的何度が低い試験会もあります。近年の傾向として、概ね日商簿記2級は、30%程度の合格率となっています。日商簿記3級の合格率がおよそ40%程度となるので、日商簿記2級は比較的難易度の高い試験であるということがわかります。

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簿記2級の試験日当日に気を付けたいこと

簿記2級の試験は90分。集合時間は13:30です。試験会場への来場は時間厳守としてください。当日午前中は簿記1級と3級の試験が行われていますので、余り早く到着しても会場に入ることはできません。集合時間の30分前くらいを目安にしましょう。

試験当日は以下のものを必ず持参してください。

・受験票
・筆記用具(HBまたはBの黒鉛筆・シャープペンシル、消しゴムのみ)
・電卓(関数電卓・プログラム機能は除く)またはそろばん
※プリンター内蔵、メロディー音の出るもの、携帯コンピュータ(電子手帳を含む)、携帯電話等は使用できません。
・身分証明書(運転免許証、パスポート、写真付きの住民基本台帳カード、個人番号カード、学生証、社員証など、原則として、第三者機関発行で氏名・生年月日・顔写真が揃って確認できるもの)
※身分証明書は本人確認に使用します。

会場によっては時計がない場合がありますので、腕時計を着けていくことをおすすめします。スマートフォンや携帯電話を時計や電卓として使用することは認められていません。

日商簿記2級:合格のための勉強法

日商簿記2級において合格の鍵を握っているのは工業簿記です。工業簿記は、商業簿記と比較すると出題範囲は狭いのですが、製造業(メーカー)などにおける聞きなれない用語が多いことや、商業簿記のように仕訳を中心とした学習でパターン化しにくく、苦手とする受験者が多くなっています。

工業簿記は日商簿記3級では出題されないため、多くの受験生が日商簿記2級ではじめて工業簿記に触れることになります。その結果、十分な勉強時間をかけることができないうちに試験日を迎えてしまい、工業簿記で得点できずに試験に落ちてしまうというパターンが非常に多いです。

日商簿記2級において、工業簿記の難易度は高くありません。むしろ、解答パターンなどはすでに確立されており、十分な時間をかけて勉強すれば、工業簿記は得点源とすることができる科目です。

近年、日商簿記2級に連結会計が試験範囲に含まれるようになったことで、商業簿記で十分に得点できない受験生が多くいます。そうした受験生が工業簿記でも得点できないと、合格点まで届くだけの得点を確保することができません。結果として、試験に落ちてしまっています。

日商簿記2級の連結会計は近年難解傾向にあり、専門学校や予備校で指導している講師も「捨て問」だと嘆くほど、問題が難しくなっていることもあります。したがって、日商簿記2級において重要なことは、工業簿記でいかに得点できるかにかかっています。

工業簿記で得点できない受験者は確実に日商簿記2級に合格することはできません。工業簿記で十分な得点を確保して、商業簿記の第3問は部分点でしのげるように勉強することが、最短で日商簿記2級に合格するための近道です。

日商簿記2級:合格のためのスケジュール

日商簿記2級に合格するためにはどれくらいの時間がかかるでしょうか?
おおよその目安として、日商簿記2級に合格するには半年程度の時間がかかると考えてスケジューリングをするのが一般的です。半年程度あれば、2021年時点の日商簿記2級の試験範囲を十分にカバーできるだけの勉強時間を確保することができます。

時間の目安としてはおよそ400時間から500時間程度の勉強時間を確保する必要があります。学習時間として教科書と問題集を使った基礎演習で半分(200時間〜250時間)、過去問題集や予想問題集などの本試験問題を解く問題演習で半分(200時間〜250時間)の時間を使うことが理想的なスケジューリングです。このスケジューリングであれば、1日2.5時間ほど勉強すれば、約半年で日商簿記2級の合格を目指すことができます。

まとめ:試験内容を把握して効率的な勉強を!

日商簿記2級は近年受験環境も整えられたことで受験しやすくなっています。しかし、従来日商簿記1級の試験範囲が2級の試験範囲に含まれるようになるなど、その難易度は高くなっているので注意が必要です。

日商簿記2級に効率的に合格するためには、受験生が避けがちな工業簿記をまずはきちんとできるようにすることが重要です。工業簿記で十分に得点できるだけの演習を積んでから、その後、商業簿記の論点をきちんとさらっていくことが重要です。

日商簿記2級試験において、商業簿記の範囲は特に難易度の高い問題が出題される傾向にあることから、過去問などを使って十分に傾向と対策を行っておく必要があります。過去問を活用することで、より効率的に出題の可能性が高い分野の勉強をするめることができます。

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