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コロナ流行により出張が出来ない‼キャンセル料の会計処理

岡山 由佳
コロナ流行により出張が出来ない‼キャンセル料の会計処理

新型コロナウイルス感染症の影響により、GoToトラベル事業の停止、都道府県を跨ぐ移動の自粛要請等を受けて、予約をしている出張をキャンセルせざるを得なくなった事業者もいることでしょう。
今回は出張をキャンセルをするにあたり、支払うこととなったキャンセル料の会計処理について解説していきます。

出張をキャンセルせざるを得ない背景

GoToトラベル事業の一時停止

出張をキャンセルせざるを得ない理由のひとつに、GoToトラベル事業の停止が挙げられます。
GoToトラベルは宿泊を伴う、または日帰りの国内旅行の代金総額の1/2相当額を国が支援する事業です。給付額の内、70%は旅行代金の割引に、30%は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与されます。
この事業は令和2年12月28日から令和3年1月11日までの間、全国において適用を一時停止していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、新規予約、既存予約を問わず、全国において2月7日までの期間に一時停止が延長されました。

このGoToトラベル事業を利用した出張を予定していた事業者は、既に予約をしている分についてはキャンセルをしなくてはなりません。
キャンセル料は1月7日18時までにされていた本事業を適用した旅行の予約については、12月14日18時から1月17日までの間は無料ですが、この期間外のキャンセルは有料となります。

出典:GoToトラベル

都道府県を跨ぐ移動の自粛要請

上記に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響により都道府県によっては、都道府県を跨ぐ移動の自粛が要請されている場合があります。
移動が自粛要請がされている都道府県からの出発をする出張や、自粛要請がされている都道府県への出張は、急を要さない限りは控えるべきとされています。

これらに該当をする出張を予定していた事業者も、既に予約をしている分についてはキャンセルをしなくてはなりません。
キャンセル料は旅行会社や交通機関、出張宿泊先等により取り扱いが異なりますが、キャンセル料が有料となる可能性が高いです。

キャンセル料の会計処理

勘定科目

キャンセル料を仕訳にて計上を行う場合は、支払手数料を使用します。事業を行うための出張に対するキャンセル料であるため、事業上の経費に計上をすることが認められます。
例えば、キャンセル料1,000円を現金で支払う場合には、下記のように仕訳を行います。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
支払手数料 1,000円 現金 1,000円

消費税の取り扱い

キャンセル料の消費税の取り扱いは、そのキャンセル料の性質によって異なります。下記の内容のどのキャンセル料に該当をするか判断を行い、適正な会計処理を行う必要があります。判断が不明の場合は、請求書に消費税の取り扱いについてどのように記載されているのか等が判断材料のひとつになります。

解約に伴う事務手数料としてのキャンセル料

解約手続などの事務を行う役務の提供の対価であることから課税の対象となります。
消費税法上の課税の対象とは、消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び外国貨物の引取りです。
事業者が事業として行う取引とは、事業者は個人事業者と法人をいい、事業として行う取引とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うことをいいます。
対価を得て行う取引とは、物品の販売等をして反対給付を受けることをいいます。
資産の譲渡等とは、事業として有償で行われる商品や製品などの販売、資産の貸付け及びサービスの提供をいいます。
外国貨物の引取りについては、保税地域から引き取られる外国貨物が課税対象となります。
例えば、航空運賃のキャンセル料等で、解約等の時期に関係なく一定額を受け取ることとされている部分の金額は、解約等に伴う事務手数料に該当し課税の対象になります。
航空会社が事業として解約を行うというサービスの提供を行うことに対して、支払いを行うという対価があるためです。

逸失利益に対する損害賠償金としてのキャンセル料

本来得ることができたであろう利益がなくなったことの補填金であることから、資産の譲渡等の対価に該当しないため課税の対象となりません。
例えば、航空運賃のキャンセル料などで、搭乗区間や解約等の時期等により金額の異なるものは、逸失利益等に対する損害賠償金に該当するので課税の対象となりません.

全額について事務手数料に相当する部分と損害賠償金に相当する部分を区分することなく一括して受領しているキャンセル料

ゴルフ場の予約をキャンセルした際に受領するキャンセル料等で、事業者がその全額について事務手数料に相当する部分と損害賠償金に相当する部分を区分することなく一括して受領しているときは、その全額を不課税として取り扱うこととされています。

出典:国税庁 キャンセル料

消費税の知識については下記コラムもご参照ください。

まとめ

上記のように、新型コロナウイルス感染症の影響により出張を控えるべき事態となった際の、その出張に係る交通機関や宿泊施設等のキャンセルにおけるキャンセル料を支払った場合は、支払手数料として会計処理を行います。またこの支払手数料に対する消費税の課税の判定は、そのキャンセル料の性質によって異なります。是非会計処理のご参考になさってください。

この記事を書いたライター

大学在学中より会計業界に携わり10年超の会計事務所、税理士法人での実務経験を経て独立。各業種の会計業務に関するフォローのみならず、ライターとして税務、労務、経理の話題を中心に、書籍やWebサイトに数多くの寄稿を行う等の様々な活躍をしている。
カテゴリ:コラム・学び

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