毎年1~3月は確定申告の時期。毎月の源泉徴収と年末調整で納税はOK!と思っている方でも、確定申告の対象だったり、申告しないと還付金がもらえないというケースがあります。
今回は一般的な会社員向けに確定申告の対象者について解説します。
確定申告は、大きく分けると以下の2つに分かれます。
・必ずしなければならない人→所得税を申告納税 ・申告することで税金が戻ってくる人→納め過ぎた税金を還付申告
所得税を追加で支払う申告納税は、しないと脱税になってしまいます。2021年は2月16日から3月15日の間に必ず済ませましょう。
ただし、払いすぎた分を取り戻すための還付申告はしなくても何も言われません。日本の所得税法は「申告納税制度」を採用しているため、還付についても納税者自ら申告しない、国は多く治めている分には何も言わないのです……!
それでは、具体的に確定申告を期限内におこなわなくてはいけない対象者を見ていきましょう。
国税庁のサイトでは、サラリーマン(給与所得者)でも確定申告をしなければならない人として以下の事例を挙げています。
この事例に当てはまる人たちは、必ず確定申告しなくてはいけません。
副業や転売などで収入を得たりしている場合が該当します。
昔からよくあるのが不動産収入ですが、最近ですとメルカリなどで売買をしていたり、個人でハンドメイド商品を販売していたり、同人誌を作ったりしている人で、売上が年間20万円を超える人なども該当します。
いわゆるダブルワークの人です。メインの給与をいただく勤務先以外にも、企業やアルバイトなどで働く人が該当します。
高年収でなくても、例えば持ち株、ストックオプション売却によって、その年のみ収入が高くなることがあります。この場合は年末調整は行われませんので、確定申告の必要があります。
家族経営の企業に良くあるパターンです。
この場合は、源泉徴収がされていないので、確定申告によってその年の所得をハッキリさせる必要があります。
在日外国公館から支払を受ける給与など、国外で支払を受ける給与は源泉徴収の対象外です。また、国内でも個人に雇用されている場合は源泉徴収の必要がありません。
例えば、ドラマの話ですが「逃げるは恥だが役に立つ」では、主人公は家事使用人として雇用関係にあるので、もし内縁の妻という扱いでなかった場合、厳密に言うと確定申告の必要があったという解釈も成り立ちます。
それでは次に、還付申告について見ていきましょう。
還付申告には2つのメリットがあります。
・納めすぎている所得税を返してもらう
・翌年の住民税と社会保険料の減額
確定申告の義務はないけれど、確定申告をしないと損なので、以下のケースに当てはまる人は、税務署に相談してみましょう。
退職した後、年内に新しい転職先に就職しないケースです。
毎月行われていた源泉徴収から所得税は引かれていますので、納税は完了しています。しかし、あくまで年末までの給与があったという前提で源泉徴収されています。つまり払いすぎなのです。
年度の途中で退職したままだと、年末調整を受けることができません。確定申告をすることで払いすぎた税金を取り戻しましょう。
住宅ローン減税、住宅ローン控除という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
返済期間10年以上の住宅ローンを借り入れて住宅を新築、あるいは増改築(バリアフリー改修工事や省エネ改修工事、多世帯同居改修工事など)をした場合は、
居住を開始した年から原則として10年間「住宅借入金等特別控除」または「特定増改築等住宅借入金等特別控除」を受けられるというものです。
これは、2年目以降は、会社の年末調整に組み込むことができるのですが、最初の1回目は確定申告の必要があります。
住宅の中でも、「認定長期優良住宅」「認定低炭素住宅」の要件を満たしている場合には、住宅ローン控除を受ける場合にも控除額が増額されるという仕組みがあります。
どちらが有利になるかは、税理士さんに確認した方が良いでしょう。
災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けたには、所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。
要件は次の通りです。
(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3) 害虫などの生物による異常な災害
(4) 盗難
(5) 横領
出典:国税庁 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
また、保険をかけていて、災害保険金や損害賠償金を受け取った場合は、その金額はマイナスされます。
自己啓発や資格取得の勉強をしている方はチェックしたい控除です。
遠方からの通勤費や、出張・転勤などの旅費、また、職務に必要な研修や資格と取得する場合の費用(弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費)、単身赴任の帰宅費用などについて、自費負担していた金額が基準(給与所得控除の半額)を超える場合は、控除の対象となります。
自分と生計を一にする配偶者・親族のために支払った医療費が基準を超える場合に、超えた分の所得控除を行うことができます。
よく10万円と言われていますが、正確には「総所得金額等×5%」か「10万円」のいずれか低いほうが医療費控除の目安となります。
ふるさと納税のほか、日本赤十字社や認定NPOなどの地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、寄付を行った場合は所得控除を受けることができます。
控除したい金額がふるさと納税のみで、ワンストップ特例を使っている場合は不要です。しかし、他にも医療費控除や副業などの申告があって、確定申告を行う場合は、ふるさと納税も併せて確定申告の必要があります。
なお、政治活動に関する寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金及び公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除ではなく、税額控除の選択も可能です。
詳しくは税務署に確認しましょう。
上場株式の配当金は、確定申告をする場合には、申告分離課税か総合課税を選択しなければなりません。
もともと配当所得は源泉徴収されているため、申告不要を選択することができます。しかし、もし別の株式で売却損がある時は、配当利益がある別の株式の配当所得から差し引いて申告することで、所得を少なく抑えることができます。
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
忘れていた!と思っても、義務ではないのでゆっくりすることもできるわけです。
しかし、遅くても4月までには申告を済ませておくことをおすすめします。
というのも、払いすぎた所得税は申告が終われば帰ってきますが、還付申告のもう1つのメリットである、その年の住民税や健康保険の減額計算が複雑になるだけでなく、場合によっては遡及できないことがあるからです。
還付申告を混み合う税務署で行いたくないという場合は、1月から2月中旬、申告後~4月までの期間で行うべきでしょう。