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人事担当者が悩む人事考課のコト②コメント編

HUPRO 編集部
人事担当者が悩む人事考課のコト②コメント編

新人マネージャーが考課、特にコメントに困っていることはどの組織でも存在します。このお困りごとの駆け込み寺となるのは当然人事。でも人事担当とは言え、部下はいないし、考課したこともないし、いったい何を支援したらよいか…なんていう状況もよくある話です。ここでは人事担当者が「困っている従業員」の支援に困らないように、人事考課における「コメント」に注目して解説します。

人事考課でのコメントとは

民間企業マネージャー職の半数以上が部下の育成やモジベーションを高めることに苦戦し、悩んでいるようです。コミュニケーション、対話が必要なこの悩みは当然のごとく考課にも紐づきます。ミーティングはもとより考課に際してのコメントを書く行為にも大きく影響し、コメント作成で行き詰る人も多いのではないでしょうか。人事考課における「コメント」とは一般的に次の3種類があります。

・フィードバックコメント
・自己評価コメント
・考課項目コメント
以下でそれぞれ解説します。

フィードバックコメント

期末や中間考課時に考課者が被考課者の行動や実績に対して行うコメントで、人事考課の中で一般的にコメントというとこれを指します。コメントするにあたり以下のような注意点があります。

内容は具体的に

設定した目標に対して、改善すべき行動やプロセスは何かを具体的に上げて、次期以降への影響等を説明します。考課者と被考課者間で認識にズレがある場合、可能な限り修正していきます。

ではどうする?を明確に

被考課者は改善すべき行動やプロセスは何かを提示されても、考課者が何を改善してほしいと考えているかがわからない場合が多く、結果として行動変容に至らないケースが多く見られます。改善や課題達成のためにどういったアクションをこの後起こすかをすり合わせて明確にコメントしましょう。

現実的に

高いハードルを与えて士気を高めるのもマネージメント手法の一つですが、その被考課者の現行レベルにそぐわない目標や改善を求めても未達スパイラル状態が続くのが目に見えています。その被考課者が実現可能な要望値となっていることで、気持ち的な余裕を持てるよう、コメントしましょう。達成したその後の展開も見通せる余白を作り、気付きを与えます。

誰もが納得できる

考課者個人の主観が反映されていては公平な考課にはなりません。残念ながら日本の組織の多くが未だにそういう状態にあります。フィードバックは客観的事実の共有があって、そのうえで考課者としてのコメントやアドバイスを上積みしていきます。客観的事実とは当事者(考課者と被考課者)以外の人が聞いても「あぁ、そうだよね」と納得できる事実(実績等)を指します。

遣う言葉

「叱咤激励して、士気を上げようと思った。励ましているつもりだったが、相手には叱責に受け止められた」というのは未だに多く見られる残念な考課場面です。後述の「自己評価コメント」でも記載しますが、相手(被考課者)がどう捉えるかを想像してコメントの言葉を遣いましょう。

自己評価コメント

被考課者が自分の行動や実績に対して振り返りを行う際のコメント、いわゆる自己評価です。上記フィードバックを受ける前に被考課者も自分を自分で評価し、考課者に判断してもらいます。自己評価でのポイントは以下の通りです。

前向きに表現

日本人は自分に対して過小評価をする傾向にあります。へりくだりが美徳とされる文化があり、自分を良く魅せようとしたり、自分だけ突出することに罪悪感を持つようですが、非常にもったいないことです。自分の利益に関わることであり、自慢したからといって周りに迷惑がかかることはほぼありません。人事考課は定量的に測れる数字以外の部分も表現できる機会です。そのタームで自分がどれだけ努力したか、どういうプロセスを踏んで、どう利益につなげられそうなのか、周りをどうフォローできたか等々、仮に具体的な実績が上がらなかったとしてもそこからどう挽回して来期につなげていくかを前向きに表現してくことが大切です。

具体的に、わかりやすく

「具体的に記載」というと「利益額が前年比○○%上がった」とか「既存顧客からの紹介クライアント数が前月から○○件増加」等の数値を記載しがちです。もちろんそれは必要です。が組織としてほしい(評価に値する)情報は「なぜそれだけ増やすことができたのか」といったコンピテンシーにつながる情報や手法です。「利益額が前年比○○%上がった。△△を継続して行ったことによる結果と考察する」等々、良い結果の背景としてどのようなアクションをしたかが重要で、それを簡潔に記載できると相手(考課者)が考課しやすくなります。

考課項目コメント

目標設定時に行うもので期初や期末に行う考課項目への自己ミッションの記述です。企業が求める項目に沿って自分はどういう貢献ができるのか、できそうなのか、を記載します。考課査定がしやすいように5W2H等を使用してより具体的に分かりやすく定めます。考課項目で気を付けたいポイントは上記の「自己評価でのポイント」と同様です。

人事考課コメントでの人事担当者の役割

上記で言っているのはあくまで考課者と被考課者がコメントしあう際の注意点です。もちろん人事担当はこのやり取りを把握する責任がありますが、それ以上に重要な役割があります。それはそれぞれのコメントに対しての添削をすることです。考課者、特に一次考課者は現場マネージャークラス等がなることが多い為、ともすると自部署や自分のチームの成績が先行してしまい、組織全体として必ずしも良い方向に向かっているとは限りません。ここを軌道修正するのが人事担当者の役割です。目標設定時は被考課者を含めたすべての内容を把握していることが理想形です。以下はとある人材会社従業員が設定した期初目標に対して、人事担当者が添削コメントした実例です。

単な修正のみが必要な設定に対してのコメント

簡単な修正のみが必要な設定に対してのコメント

業務管理部 Sさんの目標設定
売上・現金払い・銀行入出金状況を当日中に入力し収支を確認する。月途中で予算オーバーした勘定を課長に報告し、経費を抑えて 各月を予算内に収める。
→(人事添削コメント)「月途中で予算オーバーした勘定を課長に報告し」につきまして、「いつ (具体的に)・どのような方法で」報告するのか記載されますと、より良い目標となります。

開発部 Kさんの目標設定
日々の生産計画を達成する為9時までに人員配置計画をし、昼休み後に中間達成度を確認し、修正が必要か判断し対応する。 終業時、目標達成できているか確認し、翌日の人員配置、残業の要不要の対応をする。
→(人事添削コメント)「中間達成度を確認」「目標達成できているか確認」につきまして、「誰 に・どのように」確認するのか追記されますと良い目標となります。

開発部 Aさんの目標設定
普段は当たり前と感じているメンテナンス方法を実施日に他の作業者と意見を出しあい変えてみる。固定観念にとらわれず、時には全く違う部署の人の意見を聞いてみる。月に改善提案を1件以上やまびこに専用用紙に記載し提出する。
→(人事添削コメント)「時には」という部分について、具体的にどれくらいの頻度を指すのか記載されますと、より具体的な目標となります。

人材支援事業部 Tさんの目標設定
身だしなみ(服装、靴、髪型、爪、シャツ)は家を出る前、会社に入る前、訪問前に整える。部下が出来ていないときは瞬時に指摘する。
→(人事添削コメント)具体的にそれぞれを「どのように」整えるのかまで記載されますと、より良い目標となります。

軌道修正が必要な設定に対してのコメント

人材支援事業部 Kさんの目標設定
1案件に対してのバッファーを常に1つ以上用意する。
→(人事添削コメント)「常に1つ以上用意する」とございますが、そのためにご自身が「いつ・何を・どのように」取り組まれるのかが不明確です。「そのために~」という表現で、日々の行動を追記される事を推奨致します。 例えば、「そのために、毎週月曜に1時間、バッファー確保のために○○する時間を設ける」など記載であると、より良い目標となります。

業務管理部Tさんの目標設定
勤怠集計表の確認が取れ請求書が発行されたら、各担当者にその旨を遅滞なくメールで伝える。
→(人事添削コメント)「遅滞なく」とございますが、具体的に「いつまで」を指すのか記載されますと、より良い目標となります。 例えば、「請求書が発行された日のうちにメールで伝える。」など記載される事を推奨します。

飲食店事業部Dさんの目標設定
お客様との受け答えは相手の目を見て必ず話し、オーダー等復唱を徹底しやさしく丁寧な言葉づかいをする。会話以外などは 立ち振る舞いなど雑にならないよう、常日頃からたえずお客様に見られている意識で行動する。そのために、毎日の朝礼での挨拶・営業用語の復唱を徹底し、週に一度全員でお辞儀の仕方・声のトーン等確認しあい意見を述べる。
→(人事添削コメント)「お辞儀の仕方・声のトーン等確認しあい意見を述べる。」とございますが、「等」という 表現は目標達成基準を曖昧にする表現となりますので、具体的に考えられるものがある場合、全てまたは絞って記載される事を推奨致します。 例えば、「お辞儀の仕方・声のトーン・オーダーを受けた時の立ち振る舞いについて、全員の前で1人ずつ実践し、全員で確認し意見を述べ合う。」など記載されますと、より良い目標となります。

途中で確認(まとめ)

考課において重要な要素は振り返りです。ただし、定められた期間によっては何を目標にしたか分からなくなるほど長い考課期間もあります。それを打破するためにあるのが中間フィードバックです。中間に実施するフィードバックこそ、考課を最大限に活かす方法でもあります。考課は達成させるためにあります。期末にふたを開けてみて「あぁ、ダメだったね、次何とかしよう」ではなく、期の途中で必要な修正を加え、より達成に近づくのであれば、期中に振り返ることは決して時間の無駄ではありません。振り返られる内容が近々のものであればあるほどリアルタイム度が高い為、コメント内容は濃くなり、被考課者へより確実に反映します。

この記事を書いたライター

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