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コロナ禍で便利なテイクアウト。会計処理は消費税に注意!

岡山 由佳
コロナ禍で便利なテイクアウト。会計処理は消費税に注意!

新型コロナウイルス感染症防止のために、利用が増加するテイクアウト。会社がテイクアウトを利用する場合は、消費税率に注意をしながら会計処理を行う必要があります。
今回はテイクアウトに係る会計処理の方法と、会計処理に注意をする必要を生じさせた軽減税率制度について詳しく解説していきます。

テイクアウトに必要な会計処理とは

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の策として、これまで外食を行っていた機会を、テイクアウトを利用することに置き換える会社が増加しています。
外食をテイクアウトに切り替えるということは、同じ飲食に係る支出でありながら、支払うべき消費税の税率が異なり、その消費税の区分経理が必要です。
支払うべき消費税の税率が異なることは、令和元年10月1日より開始された軽減税率制度の導入に起因します。

テイクアウトに係る消費税率

従業員のために開催をされる忘年会や新年会に係る飲食費は、福利厚生費として会社は経費計上をすることが出来ます。
福利厚生費として会社が経費計上をすることが出来るという点においては、それが社外の飲食店で開催をされる外食を利用したものと、社内で開催をされるテイクアウトを行った飲食物を用いて行われるものに相違はありません。
しかし、外食とテイクアウトでは、外食に係る消費税率は10%、テイクアウトに係る消費税率は8%、更にはテイクアウトで酒類を購入した場合の消費税率は10%と消費税率が異なります。

福利厚生費については下記コラムもご参照ください。

8%の取引はここに注意!

消費税率が8%となる取引は、テイクアウトを含む軽減税率の対象となる取引のみならず、令和元年10月1日以前に支払いを開始したリース料の支払い等も、従前の税率を引継ぎ消費税率が8%の取引となります。
同じ消費税率8%の取引であっても、軽減税率の対象となり8%の取引に該当するものと、従前の税率を引き継いで消費税率が8%の取引に該当をするものとは区分経理をする必要があります。

区分経理は何故必要?

外食や酒類の消費税率は10%、テイクアウトの食品の消費税率は8%と異なるため、これらは明確に区分をして経理をしなくてはなりません。この区分経理は正確な会社の消費税申告のために必要となります。
会社が支払うべき消費税は、原則として収入のうち預かった消費税額から、費用のうち支払った消費税額を差し引いて算出がされます。
例えば税込11,000円の外食費を支払った場合、正しい消費税率である10%の取引として会計処理を行った場合の消費税額は1,000円ですが、誤った消費税率である8%の取引として会計処理を行った場合の消費税額は814円であり、186円少なく消費税を支払ったという認識をしてしまいます。
186円少なく消費税を支払ったという認識をするということは、支払うべき消費税額が186円多く算出されることとなり、誤った消費税額を申告及び納付をしてしまいます。
また会社が作成すべき消費税の申告書も消費税率を区分して記載するよう要請をされた書式となっているため、これに対応すべく区分経理は必要となります。

消費税の基本的な知識については下記コラムもご参照ください。

軽減税率制度

消費税及び地方消費税の税率は、令和元年10月1日に、それまでの8%から10%に引き上げられました。
また、これと同時に、10%への税率引き上げに伴い、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に、消費税の軽減税率制度が実施されています。

参考:国税庁 軽減税率制度の概要

軽減税率については下記コラムもご参照ください。

軽減税率の対象となる飲食料品

軽減税率の対象となる飲食料品とは、酒類を除く食品表示法に規定する食品をいい、一定の一体資産を含みます。
なお、外食やケータリング等は軽減税率の対象には含まれません。

飲食料品とは

飲食料品とは、一般に人の飲用又は食用に供するものをいいます。例えば工業用の塩や農業用の種苗としての芋は、軽減税率の対象となる飲食料品に含まれません。

外食とは

飲食店営業等の事業を営む者が飲食に用いられる設備がある場所において行う食事の提供をいいます。

ケータリング等とは

相手方の注文に応じて指定された場所で調理、給仕等を行うものをいいます。例えば社内の忘年会や新年会を社内で行うために、調理師を呼び社内で調理、料理の提供や配膳がされた場合には、軽減税率の対象に含まれません。

一体資産とは

おもちゃ付きのお菓子等、食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産で、その一体となっている資産に係る価格のみが提示されているものをいいます。税抜価額が 1 万円以下であって、かつ食品の価額の占める割合が 2/3 以上の場合に限り、全体が軽減税率の対象となります。
例えば税抜価格1,500円のおもちゃ付きのお菓子で、金額のうち1,200円がおもちゃに相当すると考えられる場合は、軽減税率の対象に含まれません。

参考:国税庁 軽減税率の対象となる品目

まとめ

上記のように、軽減税率制度の導入によりテイクアウトに係る会計処理は外食とは異なる消費税率を用いて処理を行うことに注意が必要です。
全ての取引を消費税率10%のものとして一律に処理をしてしまわないようにしましょう。

この記事を書いたライター

大学在学中より会計業界に携わり10年超の会計事務所、税理士法人での実務経験を経て独立。各業種の会計業務に関するフォローのみならず、ライターとして税務、労務、経理の話題を中心に、書籍やWebサイトに数多くの寄稿を行う等の様々な活躍をしている。
カテゴリ:コラム・学び

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