2020年12月18日(金)、令和2年度の税理士試験結果が発表されました。
合格された皆様、本当におめでとうございます。
今年の税理士試験結果の特徴としては大きく3点、①コロナ禍での受験控え鮮明、②3年ぶりに20%超の合格率、③40歳以上受験者と女性の合格率上昇が挙げられます。
それでは、令和2年度の税理士試験結果について、国税庁WEBサイトの発表をもとに、全体・受験者の属性・科目別の傾向を解説いたします。
令和3年度の試験結果は下記より
2020年(令和2年度)第70回税理士試験結果は、受験者数26,673人、合格者数5,402人、合格率20.3%です。
2020年における税理士試験の科目別の受験者数・合格者数・合格率は以下の通りです。
簿記論 | 10,757人/2,429人/22.6% |
財務諸表論 | 8,568人/1,630人/19.0% |
所得税法 | 1,437人/173人/12.0% |
法人税法 | 3,658人/588人/16.1% |
相続税法 | 2,499人/264人/10.6% |
消費税法 | 6,261人/782人/12.5% |
酒税法 | 446人/62人/13.9% |
国税徴収法 | 1,629人/198人/12.2% |
住民税 | 381人/69人/18.1% |
事業税 | 335人/44人/13.1% |
固定資産税 | 874人/118人/13.5% |
出典:国税庁WEBサイト 令和2年度(第70回)税理士試験結果
大学卒 | 20,166人/3,896人/19.3% |
大学在学中 | 1,143人/373人/32.6% |
短大・旧専卒 | 676人/117人/17.3% |
専門学校卒 | 2,409人/405人/16.8% |
高校・旧中卒 | 1,912人/456人/23.8% |
その他 | 367人/155人/42.2% |
41歳以上 | 10,105人/1,334人/13.2% |
36~40歳 | 4,343人/832人/19.2% |
31~35歳 | 4,619人/1,002人/21.7% |
26~30歳 | 3,890人/977人/25.1% |
25歳以下 | 3,716人/1,257人/33.8% |
過去の税理士試験の受験者数の推移は以下の通りです。
2020年 | 26,673人 |
2019年 | 29,779人 |
2018年 | 30,850人 |
2017年 | 32,974人 |
2016年 | 35,589人 |
2015年 | 38,175人 |
税理士試験の受験者数は、年々減り続けています。
昨年ついに3万人を割ってしまったのですが、2020年は2019年より約3000名減の26,673名でした。
25,000名の壁が目の前に見えている状況です。
また、実際に受験する人数も減少傾向にあります。2020年は試験申込者35,135名から約1万名が受験しなかったことになり、例年は80~81%の受験率は75.9%に落ち込みました。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、より確実に合格ラインに近い人が受験に臨み、「記念受験」的な人は受験を控えたのではないかと思われます。
過去の税理士試験の合格者数・合格率の推移は以下の通りです。
2020年 | 5,402人/20.3% |
2019年 | 5,388人/18.1% |
2018年 | 4,716人/15.3% |
2017年 | 6,634人/20.1% |
2016年 | 5,638人/15.8% |
2015年 | 6,902人/18.1% |
2020年の税理士試験の受験者数が少なく、より確実性の高い人のみが受験したことは、合格者数5,402名(5科目+科目合格)にも見て取れます。
昨年よりも3,000人ほど受験者数が少なかったのですが、合格者数は昨年よりも多く、合格率も18.1%→20.3%と2%以上もアップしているのです。
2017年から3年ぶりに20%超の合格率となりました。
ただし、5科目全て合格した方は648名。2015年からみると2018年の672名を下回り、ここ数年では一番少ない人数となっています。
つまり、税理士登録される方は今年は例年より少ないため、コロナ禍においても税理士資格の希少価値は高いといえるのではないでしょうか。
※男性数は、令和2年度(第70回)税理士試験結果より(全体数ー女性数)を計算
2020年は、合格者の性別による差が大きく開いた年でもありました。
税理士試験の全体の割合からすると、女性の受験者は25%程度なのですが、合格率を見ると、男性に比べると毎年2%程度高いのが特徴です。
2020年は全体合格率20.3%と、ここ数年にない合格率の高さでしたが、女性だけ抽出すると23%。男性だけで見た合格率19.3%からすると約4%も高くなっています。
税理士試験の合格率を牽引しているのは、女性であるともいえるでしょう。
令和2年度(第70回)税理士試験結果表(学歴別・年齢別)
出典:国税庁WEBサイト 令和2年度(第70回)税理士試験結果
令和元年度(第69回)税理士試験結果表(学歴別・年齢別)
出典:国税庁WEBサイト 令和元年度(第69回)税理士試験結果
学歴・年齢別に見ると、全体の傾向として、大学卒の合格者数割合が多いのは例年通りです。
また、大学在学中に税理士試験勉強をはじめる方が多く、合格率も昨年に比べると32.9%→32.6%とほぼ横ばいの傾向にあります。特に25歳以下の合格者率は例年30%以上ありますが、本年は33.8%でした。税理士試験については、会計士試験と同様に、できるだけ年齢の若いうちに受験勉強をはじめるのが良いというのは定説といえるでしょう。
しかし、2020年で特筆すべきは41歳以上の躍進です。
5科目合格者数こそ268名→247名と減少していますが、科目合格者数は1032名→1087名と躍進、全体の合格率も11.5%→13.2%と約2%も上昇しています。
コロナ禍における不確かな状況の中、難易度の国家資格である税理士試験にチャレンジすることでキャリアチェンジを図ろうという姿勢の表れではないでしょうか。
平成27年以降の科目別合格率をグラフにしてみました。
2020年の科目別の合格率は、2019年・2018年に比べるとばらつきが見られ、簿記論の22.6%を筆頭に、財務諸表論が19.6%、税理士試験受験者が最初に受験する、いわゆる「簿財」・会計学科目の合格率が高かったのが特徴です。
全体の合格率を押し上げる要因にもなりました。
その分、税法科目の合格率が低くなっているのが今年の傾向です。
昨年に引き続き、住民税の合格率が高く18.1%でしたが、昨年の19.0%に比べると0.9%のマイナスになりました。
相続税法は昨年も11.9%で合格率が最も低い科目でしたが、さらに本年は10.6%と、1.3%も合格率が下がった結果になっています。
受験者への発表方法は、以下の通りです。通知書が届かない人は2021年1月5日(火)以降に国税審議会税理士分科会事務局宛((代)03-3581-4161)に照会してください。
2020年(令和2年度)第70回税理士試験を受験された皆様、本当にお疲れ様でした。
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