税理士試験を突破して、実務経験を積んだらすぐに税理士と名乗ることができるわけではありません。税理士として登録する必要があります。税理士登録のためには、必要書類を提出する必要があります。この記事では、税理士登録に必要となる書類がどのようなものなのかわかりやすく解説していきます。
次に示す書類は、税理士登録を受けようとする全申請者が提出を要する書類等です。
なお、これらの書類等以外にも、その他必要に応じて提出しなければならない書類があります。
税理士試験を突破して、2年間の実務経験を積めば、税理士として登録することができます。税理士法第1条では、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図る」として、税理士の使命が定められています。
税理士は、「他人の求めに応じ、租税に関し、1.税務代理、2.税務署類の作成、3. 税務相談、を行なうことを業とする」という税理士業務が定められており、これは無償独占業務と呼ばれる業務です。有償としてはもちろん、無償であっても、税理士業務を行えるのは税理士登録をしている者に限られ、これに違反した場合には、税理士法52条にもとづいて処分されることになります。
このように、税理士には職業法上で強い権限が与えられています。したがって、税理士は税理士会に入会することで、その使命を全うしなければならないことになっています。税理士となる資格を有する者であることと、税理士として登録していることは全く異なることで、税理士となるためには、税理士名簿に登録しなければなりません。
税理士となる資格を有する者が、税理士となるためには、日本税理士会連合会に備える税理士名簿に、財務省令で定めるところにより、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他の事項に登録を受けなければなりません(税理士法第18条)。
税理士登録を受けようとする者は、日本税理士会連合会所定の税理士登録申請書に必要事項を記入し、登録を受けようとする税理士事務所又は税理士法人の所属事務所の所在地を含む区域に設立されている税理士会を経由して、書類を日本税理士会連合会に提出します。
税理士登録の申請をする場合、税理士法第24条7号「税理士の信用又は品位を害するおそれがある者」に該当する疑いがあることから、税理士登録を申請する前に完納することが必要です。登録申請書を提出してから、登録が決定するまでには、おおよそ2月〜3月の期間を要しますが、この登録が決定されるまでの間は、税理士として名乗ることは許されていません。そのため、税理士業務、税理士業務の受託、又は予約は行ってはならないことになっています。また、名刺、挨拶状等の印刷物等及びインターネットホームページ(SNSを含む)等に税理士の名称、及び税理士と誤認されるような表現は使用しないこととされています。こうした行為は、税理士法第52条(税理士業務の制限)または第53条(名称の使用制限)違反となる虞があるため十分注意しなければなりません。
税理士会に書類が申請されると、その後、税理士会における調査が行われます。登録申請書の正本を税理士会の支部等に回付し、支部等の登録調査員による登録調査(面接調査を含む)を行い、登録調査員からの調査結果を踏まえ、税理士会の登録調査委員会にて登録調査を行い、登録の適当、不適当を判断したうえで、日本税理士会連合会に申請書を進達します。最終的に、申請書の進達を受けた日本税理士会連合会は、登録調査部会で改めて調査を行い、その調査結果を登録審査会に付議して、登録審査会において登録の適否が決定されることになります。
税理士として登録を受けない限り、税理士と名乗ることは原則としてできません。税理士登録が完了していないのにも関わらず、税理士と名乗った場合には、税理士法に違反する虞があるため注意が必要です。税理士には強い権限が与えられていることから、税理士の権限が乱用されるようになれば、その社会的影響は計り知れません。したがって、登録が完了しない限り、たとえ税理士試験を突破して、税理士として登録する資格があっても、税理士と名乗ることはできません。
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