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転職したら確定申告が必要なの?ケース別に解説

HUPRO 編集部
転職したら確定申告が必要なの?ケース別に解説

毎年、1月から「確定申告」という言葉を聞くことが多くなります。会社に勤務しているときは毎年の年末調整で申告は終わっていますが、転職をしていた場合はどうでしょうか。もし自分が確定申告が必要だった場合、ちゃんとしておきたいですよね。今回は転職にまつわる確定申告についてケース別に解説します。

転職したら年末調整じゃなくて確定申告が必要ってホント?

転職した年に確定申告が必要になるかどうかは、転職した先の会社で年末調整をしたかどうかによります。
ケース別に詳しく見ていきましょう。

転職先で年末調整をした場合

確定申告の必要はありません。
転職した時期が、次の会社で年末調整を行う前であれば、転職先の会社で年末調整の対象になるため、基本的に確定申告は不要です。

確定申告の要件を見ると「給与を2か所以上から受けている」というものがありますが、これはダブルワークなどの場合であり、転職の場合は当てはまりません。

給与所得以外の一定の所得がない場合は、退職時にもらった前職の源泉徴収表を転職先に提出することで、その年の転職前後の所得はまとめて年末調整されます。給与以外の所得がなければ、年末調整でその年の所得税の納税が完了するので、確定申告は不要なのです。

年末調整を受けたかどうか分からないという方は、前の会社から退職後に受け取る「源泉徴収票」を見てみましょう。
「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」に金額が記載されている場合は年末調整済みです。
何も書いていない場合は、年末調整がまだ済んでいませんので、次項の解説を確認してください。

ただし、 医療費控除、はじめて住宅ローン控除を受ける場合や、ふるさと納税など、年末調整で対応できない控除がある場合は、転職とは関係なく確定申告を行わないと還付金が受け取れません。 ご注意ください。

転職先で年末調整を受けられない場合

確定申告をした方が良いでしょう。

今まで勤務していた会社を年の途中で退職しても、次の会社の年末調整が行われる時点で次の会社に入社していない場合、新しい勤務先での「年末調整」はありません。

例えば、以下のような方が当てはまります。

・転職先の入社時期が12月半ば以降
(年末調整の時期は、一般的に11月下旬から12月上旬頃となっていますのでそれ以降)
・転職先の入社が翌年の1月以降
・転職先が年末時点で決まっていない

他にも、入社時期は年末調整前であっても、以下のようなケースで、前職の年末調整を転職先でしてもらえなかったパターンも考えられます。

・締日の関係で年内には転職先から給与の支払いがない
・転職がギリギリで、前職の源泉徴収票の発行が間に合わない
・前の会社から源泉徴収票をもらい忘れた
・前の会社の源泉徴収票発行手続きが遅く、転職先での年末調整が受けられなかった

これらのケースに当てはまる場合は、退職した会社で発行された「源泉徴収票」をもとに、翌年の2月16日から実施される確定申告をした方が良いでしょう。

なぜ確定申告をした方が良いの?

「した方が良い」というのは、これまで毎月の給与や賞与で源泉徴収されてきた所得税の金額は、1年間の給与・賞与収入がある前提で多めに計算されている金額だから です。

1年間きっちり勤務した場合であっても、多くの方は年末調整で還付金を受け取ってきたのではないでしょうか。そのような方が、年の途中で退職してその後の給与収入がない場合は、所得税を払いすぎている可能性が高いです。

国税庁は、税金を払いすぎている場合にはお知らせしてくれません。
還付金は自分で申告することによって初めて戻ってくる のです。今までは、会社が所得の申告を年末調整という形で行ってくれたのですが、年末調整が行われない場合は自分で申告しないとお金は戻ってきません。

確定申告のうち、申告納付については翌年の2月16日~3月15日までという期間ですが、
払いすぎた税金を還付してもらう還付申告については、退職した翌年以降5年以内 となっています。
転職後に気がついた場合でも、期限内であればぜひ確定申告を。

給与の年間収入金額が2千万円を超える場合

転職にかかわらず確定申告が必要です。
給与の年間収入金額が2千万円を超える場合は、そもそも年末調整の対象外です。
そのため転職の有無にかかわらず、確定申告が義務づけられています。
この場合は、申告納税となりますので、必ず翌年の2月16日~3月15日までの期間に行いましょう。申告と同時に納税が必要です。

副業など、会社以外で収入がある場合

副業など、会社以外で収入がある場合

副業収入が20万円を超える時は転職にかかわらず確定申告が必要です。
折しも副業ブームのため、複数の会社に勤務している方も多いでしょう。
この場合は、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える時に、確定申告が必要です。

(仮に、本業と副業がそれぞれ給与収入であり、それぞれの会社で年末調整をしていても、「従たる給与」が20万円を超える場合は確定申告の対象となる場合があります。ご注意下さい)

20万円というと、月に17000円弱。国税庁では、以下のような内容でも「副収入」と位置づけていますので、メルカリなどをたくさん利用している人は要注意です。

1 衣服・雑貨・家電などの資産の売却による所得
2 自家用車などの貸付けによる所得
3 ホームページの作成やベビーシッターなどの役務の提供による所得
4 仮想通貨の売却等による所得
5 競馬などの公営競技の払戻金による所得
出典:国税庁WEBサイト:副収入などがある方の確定申告

なお、この後に解説する、医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)などの適用を受ける場合は、20万円以下の所得も含めて確定申告を行いますので、ご注意ください。

一時所得が50万円以上ある場合

転職にかかわらず確定申告が必要です。
一時所得とは働いて得たのではない、臨時的・偶発的な所得を差します。例えば、保険の解約返戻金や報酬金、競馬などの公営ギャンブルの払戻金などにより得た「一時的な」利益のことです。
一時所得が年間50万円以上あった場合は、年末調整をしていても確定申告が必要になります。
退職時にそれまでかけていた保険を解約したりした場合などにはご注意下さい。

また、コロナ禍における「Go To トラベル」「Go To Eatキャンペーン」、さらに「マイナポイント」や「ふるさと納税」における高額返戻品 についても一時所得の対象となるという見解が出されました。
これらのプランを使っていた方も合計金額については注意しておきましょう。

出典:日本経済新聞「Go Toのお得分、実は課税対象 思わぬ負担も」

医療費控除・雑損控除・初年度の住宅ローン控除・ふるさと納税の寄付金控除などを受けたい場合

転職にかかわらず確定申告が必要です。
控除を受けたい方は、確定申告をするようにしましょう。
ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用する予定で退職してしまった方も、確定申告をすれば税金の控除を受けられます。
控除がある場合は必ず確定申告しておくことが、節税のポイントです。

退職金の確定申告はどうなるの?

基本的には確定申告不要ですが、場合によって必要なときも

退職金を受給した場合の確定申告についてはどうなるのでしょうか。
退職金は「退職所得」として源泉分離課税になるのが原則です。退職時に会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、会社が退職金分の納税手続きをしてくれます。
つまり、受け取っている退職金はすでに申告済みのはずです。

しかし、この手続きを忘れていたり、外資系の会社の場合は手続きが異なることがあります。退職金がある場合は退職時にしっかり確認しておきましょう。

この記事を書いたライター

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