えるぼし認定とは、女性活躍推進法に基づき女性活躍を推進する企業におくられる認定制度です。女性の就職・転職活動にあたって、そこで働く女性が活躍できる企業であることは重要なチェックポイント。そこで今回は「えるぼし認定」がついている企業は何がどう優れているのかを具体的に説明していきます。
えるぼし認定とは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(一般的に「女性活躍推進法」と言われます)に基づく一定基準を満たし、女性の活躍推進に関する状況などが優良な企業を認定する制度です。
えるぼしの「L(える)」には、Lady(女性)、Labour(働く、取り組む)、Lead(手本)など、社会において多くの女性たちが星のように輝けるよう「エール」という意味が込められています。
えるぼし認定を受けている企業は、えるぼしの認定マークを商品や広告、WEBサイトなどにつけることができるため「女性が能力を発揮しやすい企業」として、ダイバーシティに積極的で先進的というアピールが可能です。
また、えるぼし認定を受けた企業は、ワーク・ライフ・バランスを推進する企業として、公共調達や低金利融資において優遇を受けることができます。
2020年10月末現在で、1160の企業がえるぼし認定、5つの企業がプラチナえるぼし認定を受けています。具体的な企業名なども厚生労働省のページから検索できますので、チェックしてみると良いでしょう。
出典:女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)|厚生労働省WEBサイト
えるぼし認定は実は1つではなく、4段階あります。
えるぼし3段階と、プラチナえるぼし認定です。
えるぼしの認定については、上記の5つの基準のうちいくつを満たしているかによって星の数が変わります。プラチナ→星の数が多い順に、より厳しい基準をクリアしていることになります。
※企業数は2020年10月末現在
2020年6月に新たにスタートしたのが「プラチナえるぼし」です。
えるぼし認定企業のうち、一般事業主行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良である等の一定の要件を満たした場合に認定されるもので、全国ではまだ5企業(2020年10月末現在)のみとなっています。
えるぼし認定の評価項目基準は年度ごとに変更されていますが、基本的には以下の5つの項目から成り立っています。
男女別の採用における競争倍率(応募者数/採用者数)が同程度であることと、正社員に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値以上となることが求められます。
採用において女性が不利になることを防ぐための基準です。
「女性労働者の平均継続勤務年数」÷「男性労働者の平均継続勤務年数」の比率、もしくは) 「女性労働者の継続雇用割合」÷「男性労働者の継続雇用割合」の比率が所定の割合以上になることが求められます。
男女の勤続年数に著しく差がある場合は、結婚・出産や育児との両立が難しい環境であったり、女性が長く働きづらい状況であることが予測できるからです。
雇用管理区分ごとの労働者の法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数の平均が、直近の事業年度の各月ごとに全て45時間未満であること。
この基準は男女差がありません。「働き方改革」により最も進んでいる項目です。
直近の事業年度において、管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値以上、もしくは管理職に昇進した男女の比率が問われます。
管理職に占める女性の割合とともに、女性が男性に比べての昇級のしにくくなっているかどうかを見る指標です。
もともと管理職が少ない業種においては、この比率調整のために女性が出世しやすくなっているというケースもあります。
女性の非正社員から正社員への転換や、退職者の再雇用、30歳以上の女性の正社員としての採用など、多様化する個人のキャリアに対応できる仕組をつくり、その実績があることが求められます。
例えば、以前は出産で退職を余儀なくされた女性社員が、正社員として再雇用されるといったケースが該当します。
えるぼし認定企業は「女性の活躍推進企業データベース」にてその活動内容や、正社員や管理職の男女比率などの掲載を行っています。
また「くるみん認定」や「イクメンアワード」など、働きやすい環境に対して厚生労働省が表彰する制度についても企業名から検索ができるだけでなく、企業データ一覧をCSVデータでダウンロードすることも可能です。是非チェックしてみましょう。
・女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画
・採用者に占める女性の割合
・採用における男女別の競争倍率又は競争倍率の男女比
・労働者に占める女性労働者の割合
・平均勤続年数又は採用10年前後の継続雇用率
・育児休業取得率
・月平均残業時間
・年次有給休暇取得率
・係長級にある者に占める女性労働者の割合
・女性管理職の割合
・役員に占める女性の割合
・男女別の職種又は雇用形態の転換実績
出典:女性活躍推進企業認定「えるぼし」認定|厚生労働省WEBサイト[](m)
一度えるぼし認定された企業でも、法令に違反した場合や、基準に満たなくなってしまった場合にはえるぼし認定が取り消される場合があります。
また、事業主が申し出ることで認定を辞退することも可能です。
なお、法令違反などによりえるぼし認定を取り消された場合には、取り消しから3年経過するまで再認定されることできません。(認定を自ら辞退した事業主は、再度基準を満たすことで随時認定を受けられます)
法律や制度が整ってきても、実際にそれらが企業内で適用されているかどうかは入社してみないとわからないこともあります。「えるぼし認定」については、認定基準や企業名が公表されているため、認定されていない企業より「女性活用」に積極的であり、その実績もあると見ることができるでしょう。
女性活用はなかなか聞きづらいことだけに、えるぼし認定から転職先の姿勢をチェックするという活用方法も含め、企業について比較検討する際にご活用してみてください。