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会計事務所の人間関係が悪化しやすい理由とは?

岡山 由佳
会計事務所の人間関係が悪化しやすい理由とは?

会計事務所の退職理由のなかでも多くの割合を占める人間関係。どこの業界でも人間関係を理由に退職する人は多いですが、会計事務所には会計事務所特有の人間関係が悪化しやすい環境があります。
今回は会計事務所で勤務する人が人間関係に悩みやすい理由と、その解決方法について解説していきます。

会計事務所が人間関係に悩みやすい理由

所長の人柄が社内風土に大きく影響する

会計事務所の9割は従業員数が5人以下の零細会計事務所であるといわれています。この従業員数の少なさから、所長と直接的に接する機会が多く、また所長の人柄が色濃く社内風土に影響を及ぼします。

ずっと寄り添い仕事をしていきたいと感じるような、素晴らしい人柄の所長に出会うことが出来れば、とても過ごしやすい職場となりますが、そうでない場合その職場で仕事を続けることが難しくなってしまいます。

例えば所長が職員に対して処理要員であり代替が利く人であるという意識があり、人件費は必要最低限の支出で充分であるという考え方のもとでは、昇給や福利厚生に期待を持つことが出来ず、職員は処遇に不満を持ちやすくなります。

そして昇給や福利厚生に期待を持つことが出来ない職場において、それが分かっている先輩職員は必要以上の働きや残業をしてまで仕事をこなそうとしなくなります。激務に追われている他の職員の手助けをしても意味が無いと考えるようになります。

そのことから激務に追われている助けを求めたい新入職員にとっては、相談しにくい先輩職員であると感じ、人間関係に悩むことになってしまいます。
そのような先輩職員を発生させてしまうのは先輩職員個人の人柄によるものではなく、所長の職員や人件費に対する考え方に起因し、このように所長の人柄は社内風土に大きく影響するといえます。

勤続年数の差が激しい

会計事務所は使用する会計ソフトや業務フローが異なるものの、税法に基づいた処理や手続きを行うべき仕事であるため、会計事務所毎の仕事内容は大差ありません。よって資格の取得や経験を積むことで比較的転職がしやすい業種であるといえます。

このように転職がしやすい業種であることから、新入職員が中堅職員となる頃には資格や勤続年数を得て転職をしてしまい、人員構成が新入職員とベテラン職員の二極化が発生している会計事務所が多くあります。

ベテラン社員が勤続年数や年齢を重ねた人徳者であれば、新入職員にとって安心の出来る職場となりますが、そうでない場合は身近な相談相手となる中堅職員が不在であることにより相談相手がいなくなってしまいます。またベテラン社員の人柄によっては新入職員に重圧をかけたり、若輩者には耳を傾けない等のベテラン社員そのものが悩みの種になることもあります。

このことから勤続年数の差が激しい会計事務所では、人間関係に悩みやすいといえます。

勤続年数の差が激しい

所内作業が多い

会計事務所の仕事は顧客を訪問することもありますが、多くの職員の仕事は領収書整理やデータ入力等の所内作業が中心となります。

同じ空間で同じ人と毎日のように作業を行っていると、どうしても他の人の粗は見つけてしまうものです。その粗が自身にとって許容出来るものであれば問題ないですが、許容できない粗、例えば自身が激務に追われている中で、手伝ってもくれず悠長に私用のインターネットサーフィンをしている等といったことが頻繁に起これば、不満は募る一方でしょう。

また特定の人に対して不満が募ると、顔も見たくないと感じますが、所内作業を担当している以上、その人とは連日顔を合わせなくてはなりません。
このように所内作業が多いことによって、人の粗を見つけやすく、更には合わないと感じる人と連日同じ場所にいなくてはならないことから、人間関係に悩みやすいといえます。

配置転換が無い

人間関係に悩む人への会社が出来る対応として、悩む社員と悩む原因となっている社員を仕事上で関わらないように一方の社員若しくは両者を他部署に異動をさせる配置転換があります。

しかし会計事務所の多くは零細会計事務所であることから、部署そのものが存在せず、配置転換を行うことが出来ない場合が殆どです。
つまり人間関係に悩んでも、その相手と関わらずに仕事をすることは零細会計事務所では不可能であるといっても過言ではありません。

人間関係に悩んだら?

職場に対して不満が全く無い、ということは少ないでしょう。給与が低い、残業時間が多い、求められる仕事スキルが高すぎる等、様々な不満が存在します。
しかし人間関係の不満、悩みはこれらの不満と比較をすると厄介な問題であることが多いです。

上司に相談をしても解決に至らない、解決になるどころか人間関係の悩みがある方が悪い等と叱責されることや、相談をしたことで評価が下がる場合もあります。
叱責をされれば客観的には人間関係の悩みを与えている側が悪事をはたらいていても、人間関係の悩みを抱える側が自身の捉え方の問題ではないか、責任は自身にあるのではないかと必要の無いコンプレックスを抱え、精神的に追い詰められていく可能性があります。

また評価が下がれば、その回復をすることは困難であり、職場に勤務し続けることが難しくなる可能性があります。
このように人間関係の悩みを持ち続けて同じ職場にいることは得策ではありません。適切な人間関係が構築出来るような会計事務所に転職を検討することをお勧め致します。

まとめ

このように会計事務所には人間関係に悩みやすい理由があります。そしてその解決方法のひとつとして転職を検討することが有効です。

そして職場の雰囲気や人間関係が良好である会計事務所を探すには、エージェントの利用がお勧めです。是非ご参考になさってください。

この記事を書いたライター

大学在学中より会計業界に携わり10年超の会計事務所、税理士法人での実務経験を経て独立。各業種の会計業務に関するフォローのみならず、ライターとして税務、労務、経理の話題を中心に、書籍やWebサイトに数多くの寄稿を行う等の様々な活躍をしている。
カテゴリ:コラム・学び

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