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一人当たりの担当件数から見えてくる!会計事務所の特徴とは?

岡山 由佳
担当件数からみる、会計事務所の特徴

会計事務所の比較をするにあたり、1人当たりの担当件数を知ることが挙げられます。単純に担当件数によって会計事務所の良し悪しを決めることや、担当者の作業量や給与の多寡をはかることは出来ませんが、そこから伺い知ることが出来るものもあります。今回は担当件数による会計事務所の特徴をご紹介致します。

会計事務所1人当たりの平均担当件数

会計事務所の1人当たりの平均担当件数は20から30件であるといわれています。しかし単純にこの平均と比較をすることで、その会計事務所の良し悪しを決めることや、担当者の作業量や給与の多寡をはかることは出来ません。

例えば担当件数が5件である会計事務所の職員が能力が低いという評価は一概に出来ず、その5社が全て大企業であり、会計に関わる全ての作業を一任され非常に高い顧問料や評価を得ていることもあります。

同じように担当件数が60件である会計事務所の職員の能力が高いという評価は一概に出来ず、入力作業は他の職員に任せて訪問のみの業務を行っているかもしれません。
 
このように担当件数の数の比較によって、会計事務所の良し悪しを決めることや、担当者の作業量や給与の多寡をはかることは難しいですが、担当件数を知ることで会計事務所の方針等を伺い知ることは出来ます。
下記では担当件数から見る会計事務所の特徴をご紹介致します。

担当件数の多い会計事務所の特徴

担当件数が多い会計事務所には、下記のような特徴があります。

顧客に関する作業の分業をしている

1つの顧客に対して複数の職員で応対にあたり、会計データの作成のための入力作業を行う人、入力されたデータから作成される試算表をチェックし経営分析表やコンサルティング資料を作成する人、作成された分析表やコンサルティング資料を持参して顧客を訪問する人等で分業している場合には、担当件数が多くなる傾向があります。

会計事務所全体の効率向上のために、入力作業はパート職員に、資料作成は正社員に、訪問は税理士や会計士等の有資格者に作業をさせる、といった立場によって仕事が異なる適材適所な人員配置がされています。

分業をするにあたり、その分業を行うだけの人員が必要であることから、大手の会計事務所で行われていることが多いです。

分業を行い多くの顧客を担当することのメリットは、様々な会社を担当することで、入力作業者、資料作成者であれば幾つもの処理のパターンを学ぶことが出来る、顧客訪問者であれば様々な顧客と出会うことで応対能力を身に着けることが出来ることにあります。

個人の顧客の割合が高い

法人の顧客と比較をすると、個人の顧客の方が作業量が少ない傾向にあります。これは取引規模が大きくなり利益が増大をすると個人事業主は法人成りを行った方が、税金等の面で有利なことが多く、一般的に法人の方が取引規模が大きくそれに伴い会計処理すべき仕訳数が多くなることに起因します。

このことから法人を多く担当する職員程、担当件数が少なく、個人を多く担当する職員程、担当件数が多くなる傾向にあります。
個人の顧客の割合が高い会計事務所は、1年のうち最も忙しい時期が個人の確定申告期間である2月から3月に集中し、その他の時期と確定申告期間の残業時間に大きな差があることが多いです。

個人の顧客の割合が高い

担当件数の少ない会計事務所の特徴

一方で担当件数が少ない会計事務所には、下記のような特徴があります。

顧客に関する作業を一任されている

上記のように分業せず、1つの顧客に対して職員1人が応対している場合は、担当件数が少なくなる傾向にあります。
人員を確保することが出来ず分業することが難しい零細会計事務所で行われていることが多いです。

一任されることのメリットは、入力、資料作成、顧客訪問等の顧客に関する殆どの業務を行うことで、網羅的に会計事務所の仕事について知識や経験を得ることが出来ることにあります。

法人の顧客の割合が高い

上記のように法人は個人の顧客よりも会計処理すべき仕訳数が多くなること等により、作業量が多くなり、その結果担当件数が少なくなる傾向にあります。

法人の顧客の割合が高い会計事務所は、1年のうち最も忙しい時期が個人の確定申告期間とは限らず、3月決算の申告期限である5月、9月決算の申告期限である11月等、残業が発生しやすい時期が疎らであることが多いです。

担当件数は面接で確認しよう

上記でご紹介したように、担当件数で会計事務所の良し悪しを決めることは一概に出来ませんが、その多寡によって会計事務所の特徴を知ることが出来ます。

例えばコンサルティング業務を行いたい人が、担当件数の多い会計事務所に入社をすると、最初は入力や資料作成担当者として業務にあたり、顧客と接するコンサルティング業務にはなかなか就くことが出来ない可能性があります。

同じように会計知識が浅い人が、担当件数の少ない会計事務所に入社をすると、会計知識が無いまま顧客を一任され、顧客と接する際に適切な応対が取れずに困惑してしまう可能性があります。

このように入社後の仕事内容を伺い知るために、担当件数を面接で確認をすると、自身と会計事務所のミスマッチの発生を防ぐ一助になることでしょう。

まとめ

このように担当件数は何件であるか、ということは会計事務所や職員の評価に直接繋がるものではありませんが、そこから伺い知ることが出来るものがあります。

担当件数で会計事務所の特徴を知ることが出来るため、就職や転職の際に、面接で確認したり、仲介のエージェントに相談することで、会計事務所の比較の一助になります。是非ご参考になさってください。

この記事を書いたライター

大学在学中より会計業界に携わり10年超の会計事務所、税理士法人での実務経験を経て独立。各業種の会計業務に関するフォローのみならず、ライターとして税務、労務、経理の話題を中心に、書籍やWebサイトに数多くの寄稿を行う等の様々な活躍をしている。
カテゴリ:コラム・学び

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