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目標設定ある経理部が組織を変える!?目標設定の重要性について解説します!

HUPRO 編集部
目標設定ある経理部が組織を変える!?目標設定の重要性について解説します!

目標を設定することは非常に重要なプロセスですが、一般に、経理部で目標を設定することは非常に困難です。その理由は経理部が他の部署や部門のサポート役だからです。経理部は直接的に収益を生み出すような部門ではないものの、きちんと目標を設定することで従業員の行動に良い影響を与えることが可能となります。

目標を設定すること

どんな組織で働く場合でも、目標を設定することは非常に重要です。
個人的に目標を設定することはもちろん、組織としてどのような目標を設定するかは、従業員のモチベーションに多大な影響を与えることになります。

組織のなかで目標を設定するということは一般に非常に難しいプロセスです。抽象的で理想的な目標を掲げたとしても、その目標を達成できたかどうかをチェックする手段がありません。逆に、従業員のモチベーションを下げてしまう可能性もあります。

まして、経理部のような企業のバックヤード部門は具体的な目標を組織的に設定することは非常に難しく、たとえ目標を設定したとしても有名無実なものとなりがちです。そこで以下では、経理部でどのような目標を設定したら良いかについて詳しく解説していきましょう。

なぜ目標設定が必要なのか?

それでは、なぜ目標設定が必要なのでしょうか?
目標の設定は、人間の行動に影響を与えることは科学的に実証されているものです。1968年にアメリカの心理学者であるロックは、目標の設定が人間の行動に影響を与えていることを明らかとしています。ロックの提唱した目標設定理論では、組織内で働く人間のモチベーションの違いは、目標設定の違いによってもたらされると考えます。

そして、組織内で働く本人が納得している目標については、曖昧な目標より、明確な目標のほうが、また難易度の低い目標より、難易度の高い目標のほうが、結果としての組織全体の業績は高くなるということが確認されています。

目標設定理論では、明確で具体性を持った目標は、曖昧な目標よりも高いモチベーション(動機づけ)効果を持つと考えます。何のための仕事なのか、その業務が何の意味を持っているか、を明確にした場合と、何も知らされずに業務を遂行させた場合とでは、明らかに意味を明確にした場合の方が、組織内で働く人間のモチベーションは高いということが証明されています。

単に作業として黙々と業務をこなすより、目的や意味、そしてその仕事の意義を明確に理解した方が高いモチベーションを維持することができる、というわけです。

また目標を達成することができたという成果は、通常フィードバックされ、新しい次の目標達成に向けてのサポートが行われることによって、次の目標設定の効果が高まることも証明されています。これは、目標設定に対する「フィードバックの効果」と呼ばれています。

目標設定理論はすでに経営学の分野においては古典的な理論に分類されるものであるものの、その有効性は未だに色褪せていません。経済学的には、人間の行動は与えられるインセンティブによって変えることができるとされています。

インセンティブとは、意欲を引き出すことを目的として外部から与えられる刺激のことを言います。インセンティブには様々なものがありますが、人間に対して強い意欲を引き出すものの一つに金銭があります。人間は、金銭的な報酬が与えられると、高い意欲が生まれます。

このように、目標が設定されているか、そうでないかによって、人間の行動は大きな影響を受けることになります。したがって、企業のなかで働く人々に対して、適切な目標を設定することは非常に重要な意味を持つことになります。

なぜ目標設定が必要なのか?

経理部の目標設定

それでは、経理部ではどのような目標を設定すれば良いでしょうか?
経理部は、他の部署や部門のサポート役としての役割が大きいため目標が設定しにくくなりがちです。たとえば、営業部であれば売上の金額を設定して目標としたり、取引の件数を目標としたりすることができますが、経理部では、直接的に企業の売上に貢献することが難しいことから目標の設定も難しくなってしまいます。

多くの場合、経理部の目標設定をしやすい分野としては、資金管理、物品管理、予算管理、など、経営管理に分類されるものが多いです。

資金管理

資金管理では、たとえば、売掛金の回収サイトを1日でも短く短縮することを目標としたり、逆に、買掛金の支払いサイトを1日でも長くすることを目標としたりすることが多いです。売掛金の回収サイトが長くなれば、会社の資金繰りは楽になります。支払うべきお金の支払日が遅くなるということは、組織のキャッシュフローを改善することにつながります。

支払われるべきお金の支払日を早めることも、同じように、組織のキャッシュフローを改善することにつながります。会社全体にとって、売掛金の回収や買掛金の支払いという経理部の業務は非常に重要な意味を持つものです。売掛金が回収できないということは売上債権を回収できないということであるので、会社にとっては損失に直結することになります。

一方で、買掛金の支払えなくなれば、会社の信頼を失うことになりますし、最悪の場合、会社の倒産につながります。したがって、経理部にとっては、資金管理に関して目標を設定することは非常に重要な意味をもっているということになります。

物品管理

また、物品管理も経理部の重要な業務の一つです。たとえば、会社は仕事を効率的に行うことなどを理由にPCといった資産を導入します。この場合、PCは会社の資産ということになりますから、この資産を失うわけにはいきません。したがって、会社の資産を守るための仕組み作りは経理部の仕事の重要な位置を占めるということになります。

きちんと固定資産台帳などを準備して、会社がどのような資産を保有しているのかを把握できるように準備しておかなければなりません。帳簿上の資産と実際の資産にズレが生じないように、きちんと管理することを目標として活動することも経理部の人材にとっては非常に重要です

予算管理

加えて、経理部の重要な業務の一つが予算管理です。予算管理は予算の策定から、予算の執行、予算執行の実績の確認というプロセスから成り立ちます。予算を作成するというプロセスは非常に難しいプロセスとなります。なぜなら、各部署に必要な予算を必要なだけ配分するというのはかなりの知識と経験が必要となるからです。

予算は少なすぎても弊害を生みますし、足りなすぎても十分な企業活動を行うことができなくなってしまいます。したがって、経理部にとって、予算の策定は非常に重要な意味を持つことになります。予算を適切に策定するためには、年度ごとに各部署に対して予算の申請書を提出させる必要があります。

経理部は申請書を吟味して、予算の必要性をきちんと問い直していきます。必要なものには十分な予算を割き、必要ないものには予算をつけないようにしていかなければなりません。

まとめ

このように、経理部でも設定できる目標はたくさんあります。目標の設定の仕方次第で、組織のなかで働く従業員のモチベーションは変化します。目標の設定は難しいプロセスではあるものの、組織のなかで絶対にしなければならないプロセスです。

目標を設定する際には、達成があまりにも困難な目標設定となってないか、具体的で明確な目標となっているかなどを十分に考えなければなりません。不適切な目標設定は、組織のなかの従業員を間違った方向に動かしてしまう可能性もあるので注意がする必要があります。

一人ひとりの従業員ができるだけ具体的にイメージできるような数値目標を設定することが大切です。適切な目標が設定されていれば、組織にとって望ましい従業員の行動を生み出すことができるようになるはずです。

この記事を書いたライター

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