公認会計士試験の論文式試験における選択科目は、経営学・経済学・民法・統計学の4科目があります。直接的な監査には使いませんが、経営分析などのデータを見るのに統計学の知識は必須でしょう。勉強しておくことで幅広い業務に対応することができます。本記事では、統計学について、必要勉強時間や、難易度・勉強法などを詳しく解説いたします。
公認会計士試験の論文式試験について、選択科目4つの勉強量目安は以下の通りです。
経営学と統計学が勉強時間が少ないため、受験者には圧倒的に人気があり、2つの科目で9割を超えます。しかし、経営学と統計学だと、経営学を選択する人が全体の8割強。統計学は2番人気とはいえ1~2割という受験者の少ない科目なのです。
前述の必要勉強時間を見ると、統計学と経営学が同じくらいなのに、経営学の方が圧倒的に人気という状況です。
どちらを選択するのが良いかと考えた場合に、今までの自分の得意分野を振り返ってみましょう。統計学は、計算がメインの試験。計算式を暗記しておけば回答できるといわれていますが、そもそも数学的なセンスが必要です。
経営学も、暗記項目が多いですが、もちろん丸暗記ではなく言葉の定義や基準の背景などを踏まえた上での記憶力が試されます。管理会計論や経営学の計算問題もありますが、基本的に暗記中心です。
一言で暗記と言っても、数式中心に覚えるのと、日本語中心に覚えるのとでは、その人の得意分野によって覚えやすさが異なります。選択科目は一概に勉強時間だけでなく、自分の得意とする内容でチャレンジするのがおすすめです。
統計学の範囲は、記述統計、確率、推測統計、相関・回帰分析の基礎となっており、すべてが計算問題です。具体的には微分や積分やΣなどが登場する計算式を覚えておくことが重要で、統計ソフトウェアの活用についても問われます。
この範囲をざっと見た時に、自分がかつて学んだ数式を拒絶反応なく思い起こせるか、興味をもって再度取り組もうかと思えるかというところが、統計学を選択する判断基準になります。
統計学の数学レベルは大学レベルでないと合格は難しいといわれますが、文系学部の方で高校までしか数学を履修していない方が合格するのは、もちろん不可能ではありません。しかし、勉強するにあたってそもそもの数学の素養が必要なので、数学がそもそも大の苦手!という方にはおすすめできない科目です。
統計学の試験では、計算を実際に記述方式で行うので、数学の知識が相当に要求されます。また、競争相手は理系学部卒の方など、もともと数学が得意という人です。さらに、基礎重視の問題が多く出題されるため、全体の平均点が高い傾向にあります。計算のケアレスミスが命取りとなる科目なのです。
公認会計士試験の統計学と、よく比較されるのが統計検定の2級ですが、範囲の広さは統計検定が上回るものの、公認会計士試験の統計学は全てが記述なので、難易度は公認会計士試験の方が高いといわれています。
ここまで見てきて、統計学を受験するメリットとデメリットは以下の通り。統計学という科目は、受験者による向き不向きが非常にはっきりしているといえるでしょう。
統計学の勉強法は、とにかくテキストの計算式を覚えて問題を解くということにつきます。
出題パターンを踏まえるためには、過去問も何度も解くことが重要です。もちろん過去問と同じものが出題されることはありませんが、過去問を研究することによって、出題レベルの把握と出題形式を抑えることができるようにないます。
統計学をはじめとした計算科目にとってなによりも重要なのは、基礎固めを完璧にすること。合格を目指すのであれば、満点を狙うのではなく、難易度が高く時間がかかる問題は潔く捨て、基本的な問題を完璧に仕上げることに注力する必要があります。特に、A難度の問題は完璧に正解できるように、何度でもテキストを反復しましょう。
もし、予備校に通って勉強するという方は、事前にカリキュラムを確認しておきましょう。
受験者数が少ない統計学は、そもそも講座自体がない予備校もあります。
市場分析などの数字を見るにあたっては、統計学の知識は必須。数字を読めるようになることで、専門書や論文の読解にも役立ちます。いわば会計士の教養の基礎ともいえる学問です。理系でなかったとしても、暗記が得意で数学は苦手でなかったという方は、チャレンジしてみる価値のある科目と言えるでしょう。