企業における管理職への昇進はいまや大変厳しくなっています。入社年次や、仕事をうまくこなしているかというのはその基準にはなりません。管理職としての適性がない人を昇進させてしまうのは、企業にとって命取りにもなるからです。今回は、昇進試験の面接においてはどのような心構えでいるべきかを解説します。
一般社員から管理職へ昇進する場合は、人事考課だけでなく、筆記試験や論文、そして面接などのいわゆる「昇進試験」が行われることが一般的です。
面接は昇進試験と一緒に行われる場合と、ペーパーテストを突破した上で最終試験的に行われる場合があります。
面接官は人事部の他に役員などが複数立ち会いますが、直属の上司や部門の役員ではなく、他部門の役員です。
結果的に知り合いだったということはあるかもしれませんが、あなたについての予備知識を持たない人が担当するのが原則となっています。
自分をよく知る人の方が良いのでは?と思われるかもしれませんが、第三者の視点に近い人から見て「管理職にふさわしいかどうか」をチェックするためです。
つまり、昇進試験においては「すでに勤務している会社だから」という意識ではなく「転職で管理職に応募した」くらいの意識を持って臨むのがふさわしいといえます。
一般社員で入社し、その後、管理職手前までの主任や係長になるといった昇進と、管理職への昇進は基準が違います。一般社員で職位が上がる場合は、仕事が速く正確にできるような人が早く昇進していたのではないでしょうか。
その人が担当している仕事をどれだけうまくこなしたかという評価に基づいて、上の職位に上がっていったはずです。つまり、基準はその人がどれだけ個人の仕事を達成していたかというところが見られています。
これまでは、管理職への昇進についても、プレーヤーとして優秀な人の方がマネージャーに上がりやすいという傾向がありました。
さらに、昇進時期の差はあれど、年次をある程度経れば、一般社員が管理職として課長になり、そして年次が長くなると部長になるといったように、年功序列で上がっていくというのは既定路線だったのです。
しかし、一般社員と管理職では昇進させるための基準が異なるというのが、最近の一般的な考え方になりつつあります。
管理職は自分の仕事「だけ」をうまくこなすのではなく、部下や同僚、上司を含めた「自部門」さらには「全社」の視点で物事を見ることが求められるからです。
つまり、「自分だけができる」ではなくて、自分ができるならチームの他の人の底上げをして全体利益を考える、もしくはできる人をうまく使うという視点 があるかどうかが問われます。
この考え方ができない人は、いくら自身が仕事が良くできて、目の前の仕事でいくら結果を出したところで、管理職になるのは難しいでしょう。
昇進試験面接で見られるポイントというのは、一般社員が評価されるポイントとは異なるという話をしてきました。
一般社員基準であれば「自分ができていればOK」なのです。しかし、管理職基準であれば「部下をどのように育ててチームをまとめ上げるか」という視点に立つことが求められます。
管理職に求められるのは、
・リーダーシップをもってチームワークを育てられるのか
・いざというときに責任をとれるのか
・部下の成長のために自発的活動ができるのか
というところです。
例えば、オフィスに困った社員がいたとして、自分だけがその人とうまく対応していても仕方がないのです。管理職に求められるのは、その人を教育・指導し、みんなとうまく働くことができるようにチームワークを身につけさせることだからです。場合によっては、揉めずに退職させることも必要になるかもしれません。
あるいは、クレーム客に対し、自分の対応が一番丸く収まるからと率先して対応しているというのもNGです。昇進でなくても異動で自分がいなくなったときに、そのチームはどうすれば良いのでしょうか?
自分や所属部門だけでなく、全社視点で考えてみることが重要です。
管理職になるためには、その企業の傾向もありますが、日本の場合は「優秀なプレーヤーとして行動できる」ことは大前提。さらにやり方はどうあれ、「この人を管理職にしたら企業は伸びる」と思わせる必要があるのです。