年間受験者は約70万人を超える「日商簿記検定」。資格の王道ともいえる資格です。転職に役立つのは2級からと言われていますが、実際に簿記2級を取得して年収をアップさせることはできるのでしょうか?最新の転職情報などを確認しながら解説します。
日商簿記検定2級は、近年は難易度が上がり、全体の合格率は15~30%弱。学習時間は4~6ヶ月程度となっています。
広く認知されている資格とはいえ、民間資格。税理士や公認会計士のような国家試験ほどの難易度ではありません。ちゃんと勉強すれば取得できる資格です。
しかし、働きながらちゃんと勉強する時間を確保するのはなかなか難儀なもの。資格だけで独立も可能な難関国家試験であれば気合いを入れて勉強計画を立てるかもしれませんが、年に3回の受験資格がある簿記検定は「次でいいや」となりがちです。
もし、簿記2級を転職の武器に使いたいという方は、1回でも早い試験で取得しておくことをおすすめします。簿記検定は年齢が若いほどポテンシャル採用にプラスされて価値が出るからです。
国家試験よりは簡単かもしれませんが、毎年難易度が上がっている簿記検定。一夜漬けのような勉強で取得できる人はまれで、ちゃんと勉強する必要があります。
しかし、いま勤務している会社で簿記検定を取得しても、「じゃあ昇格/昇給」となる企業は少ないでしょう。おそらく、申告によって毎月の給与に資格手当が上乗せされるくらいではないでしょうか。企業の資格手当というのは、難関資格である弁護士資格や公認会計士を取得したとしても、5000~10000円程度だったりします。
簿記2級だとおそらく月額1,000円前後のところが多いようです。つまり年間12,000円。簿記2級を苦労して取得してもあまり報われません。簿記検定を元に年収をアップさせたいのであれば、転職も視野に入れて計画的に動く必要があるのです。
簿記2級が活かせるのは、経理業務に他なりません。
経理の転職の場合は、経理業務の経験+資格のセットが、大きく年収を上げるポイントです。
もし、経理業務の経験がない場合は、まずは現在の会社で経験を積むのが一番手っ取り早いです。簿記2級を取得し、経理部への異動に前向きであることを人事部に訴えましょう。
異動希望を早めに伝えておくことによって、定期異動ではなくても欠員が出たなどで考慮してもらえるかもしれません。
ここで、経理部門に空きがない、すでにメンバーが固定化されてしまっているなどで直近の異動が難しいという場合は、未経験でも可という企業に転職活動をはじめるのがおすすめです。簿記2級だけ持っていても、宝の持ち腐れになってしまうからです。
現在すでに経理業務に就いている場合は、連結決算など今よりも高度な業務に挑戦するといった、さらに高度な経験を積む必要があります。
担当業務を見直してもらえるかどうか、上司やリーダーに申し出をしましょう。
新しい業務に挑戦するのは、自分が慣れた環境でおこなう方がどうしてもやりやすいからです。現在の環境の中で、どれだけ業務の幅を広げられるかチャレンジした方が、効率が良いといえます。
経理部であれば、簿記検定を取得している人が周りには多くいるはずなので、簿記2級を取ったというのは、アドバンテージと言うよりも、スタートラインに立ったというレベルです。
もし、自分の業務が固定化されてしまい、携わりたい業務に当面関われそうにない場合は、そのまま業務を続けながら、簿記1級までも取得を目指すというのも1つの手段です。
転職をする前に、自分のスキルや資格を高めておく方が、待遇をアップさせやすいです。すでに経理職に就いている場合は、転職前にどれだけ自分の価値を高められるかということに焦点を置いて、戦略を立てましょう。