管理職になるための昇進試験では、一般的には最終判断のために面接が行われます。その時に問われるのは「志望動機」。「採用時でもないのに志望動機?」と思われるかもしれません。しかし、会社ですでに働いていることと、管理職になりたいか、適性があるかどうかは別物です。今回は昇進試験の志望動機について解説します。
採用試験と昇進試験では志望動機の内容が異なります。
昇進試験の志望動機を作るポイントは、以下の2つの点を事前に整理しておくことです。
・自分が管理職になりたい理由
・自分が管理職に向いているという自己PR
つまり採用面接における企業=管理職 として考えるとわかりやすいです。
採用面接では「その企業で働く」ということを考えたうえで、志望動機などを作成したと思います。管理職になるための昇進試験では「その企業をマネジメントする」ということを踏まえて作ることが前提です。
昇進試験があるような会社で、管理職になりたいと思っている方の実際の志望動機は
・待遇面における処遇のアップ(給与など)
・年次的なもの(同期がそろそろ管理職に昇進してきたので自分もなど)
などがほとんどでしょう。しかし、採用面接の志望動機から見ても、こうした志望理由がNGであることは明らかです。
年功序列で一律に管理職に昇進させるような時代は終わりました。
管理職に昇進すれば、一般社員であった時には考えられなかったほどの責任が発生します。仕事上の結果だけでなく、部下のマネジメントもしなくてはいけません。
それまでの仕事への取り組み方を変化させる必要があるのです。
昇進試験の志望動機では、自分を管理職にすることで、より会社に貢献することができ、成果をあげられる自信と根拠を伝える必要 があります。
「その会社ですでに働いている」ということはいったん置いておいて「管理職としてその会社に採用されるとしたら」という前提で考えてみましょう。
すでにその企業で働いていると「自分は会社のことをわかっている」と思いがちですが、果たして本当にそうでしょうか?
例えば、以下のような質問が出たときに答えられますか?
・本年度の経営目標や方針について述べてください。
・当社の経営理念があなたの現在の部署の仕事にどのように結びついているか説明してください。
・当社の昨年度の営業利益を把握していますか?
これらの質問は志望動機とは違うと思うかもしれませんが、昇進面接で出されやすい質問の一例です。すでに働いている人が対象のため、より踏み込んだ内容を問われます。
自分が管理職になる=マネジメント層への仲間入りをするということは、このようなことを踏まえた上で「だから、自分を管理職にすべきだ」と志望動機でアピールしなければならないのです。
漠然と「志望動機を作る」ということになると、自分の気持ちを言ってしまいそうになるかもしれません。しかしまずは、数字や経営方針などの自分の志望動機を補強する材料集めからはじめましょう。
昇進試験の志望動機で重要なもう1つポイントは、これまでの自分の業績・実績を伝えることです。
自分はこういう仕事をしてきて、こういう成果を上げてきた。管理職となれば、部下の社員マネジメントすることで、より会社に貢献できるようになるということを伝えます。
さらに踏み込んで、経営計画からみた企業の将来ビジョンについて語るのも良いでしょう。企業の経営方針に見合った今後の方針であれば、強いアピールができます。
ここでポイントなのは「管理職になればより貢献できる」というところです。
プレイヤーとして優秀でも、マネージャーとしては適性がないというパターンは多くのところで見られます。
管理職への昇進試験を受けるということは、これまでの評価が高いということですが、それだけでは昇進は約束されていないのです。
企業にとって「この人はプレイヤーのままの方が、会社にとって有益だ」と思われてしまっては、いつまでも昇進することはできません。
昇進試験の志望動機を作るにあたって、重要なポイントを4つお伝えしました。ある程度の年次になると、そろそろ自分も管理職かなと思われるかもしれません。しかし昔と異なり、管理職に求められる責任というのは増える一方です。
適性がないままに管理職になってしまい、メンタルをやられてしまうなどの事例も多く報告されています。
志望動機を考えるのは良い機会です。「本当に自分は管理職になりたいのだろうか?」と改めて見直してみましょう。