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給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表ってどうやって記載するの?

公認会計士 大国光大
給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表ってどうやって記載するの?

事業をしていたり、経理業務を行っていたりすると目にする「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」。色々と調べても結局何?と思われる方もいるかもしれません。しかし、この表の存在を知らないと色々な不都合が出てきます。そこで、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」について、一通り現役公認会計士が解説いたします。

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表って何?

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表って何?

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表というものを説明する前に、源泉徴収票について理解していただく必要があります。
源泉徴収票は、サラリーマンであれば誰もが目にするのでなじみがあるかもしれません。年に一度、従業員の年間給与や年末調整のための項目が記載されており、引かれすぎていた所得税を返還してあげたり、住宅ローンがあればその分所得税を差し引いた結果を通知したりするものです。当然、従業員に渡すべきものなのですが、同様の紙もしくは電子データを税務署にも提出する必要があります。また、この他にも税理士や弁護士などのいわゆる士業に対して報酬を払っている場合は、源泉所得税を差し引いたうえで報酬を支払い、預かっている源泉所得税は毎月もしくは半年に一度税務署に納付しなければなりません。これらの金額も同様に士業の事業者に渡すとともに、支払調書として税務署に提出しなければなりません。
これらの源泉徴収票や支払調書のそれぞれの合計額を集計したものが「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」というものです。所得税法第226条第1項に定められており、従業員や士業等に金銭を支払った翌年1月31日までに税務署に提出しなければなりません。また、高額の支払がある場合は、併せて、支払調書等を提出する必要があります。なお、この用紙は毎年10月頃に税務署より送られてきますが、送られなかった場合でもインターネットでダウンロードできますし、ソフトをお持ちの場合はそれで代用できますので安心してください。

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表に記載すべき報酬の種類は?

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表に記載すべき報酬は、大きく分けて6種類あります。

給与所得の源泉徴収票

先ほど述べた通り従業員に対して給与・賃金・賞与を支払った場合に発行されるものです。通常は税務署に提出しなくともよいですが、支払総額が役員であれば150万円、従業員であれば500万円を超えた場合は個別の源泉徴収票を提出する義務が生じます。

退職所得の源泉徴収票

退職した従業員に対して退職金を支払った際に発行されるものです。ここには、支払総額や源泉徴収額の他に、勤続年数などの情報が記載されます。これは、退職所得が一般的に高額となる一方で、勤続年数に応じて税額が軽減される制度があるためです。

報酬、料金、契約金および賞金の支払調書

こちらも先ほど述べた通り、税理士などの士業に対する報酬が発生した時に発行されるものです。支払総額が5万円を超える場合には個別に提出する義務があります。なお、この他にも外交員やキャバレーのホステス、広告宣伝のための賞金、診療報酬、馬主が受ける競馬の賞金、プロ野球選手などが受ける報酬等もこれに含まれますが、提出義務が生じる支払総額はそれぞれ異なります。

不動産の使用料等の支払調書

不動産に対して賃借料を支払った際に発行されるものです。イメージとしては、地代や家賃、更新料等を支払った際に対象となります。1年間の支払が15万円を超えると提出義務が生じます。

不動産等の譲受けの対価の支払調書

不動産を譲り受けた際に発行されるものです。譲受けの際、あっせん料を第三者に支払った場合はそのあっせんした者を記載する必要があります。支払者が法人又は不動産業者である個人であり、1年間の支払が100万円を超えると提出義務が生じます。

不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

不動産の売買や貸付のあっせん手数料を支払った際に発行されるものです。ただし、5番の調書にあっせんをした者を記載した場合は提出を省略することができます。支払者が法人又は不動産業者である個人であり、1年間の支払が15万円を超えると提出義務が生じます。

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表記載の留意事項

上記の法定調書を提出する際に、自身のマイナンバー・法人番号を記載する必要があります。また、支払相手のマイナンバー・法人番号を記載する必要があります。自身のマイナンバー等は探せばわかると思いますが、支払相手のマイナンバー等がわからないことがあると思います。その際は、先方に再度マイナンバーの提供をお願いして、それでも集まらない場合は「その旨、督促時期、督促方法」を記録しておくことが大事です。なお、法人番号については国税庁のホームページで検索できるため、あえて先方に問い合わせなくとも良いです。

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の提出を怠ったらどうなるの?

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表は、所得税法第226条第1項に定められているため、法令で求められる書類となります。しかし、提出されなくとも罰則規定がありません。それでは提出しなくとも良いかというと、後日税務署より電話連絡で提出が求められたり、住民税の計算を誤ることになって後日追加納付が必要になったりと良いことはありません。場合によっては従業員に責任を問われることもあるかもしれません。さらに、源泉所得税の税務調査対象になる可能性もあるので、期日を守って速やかに提出しましょう。

この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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