会社を経営していたりすると必ずお世話になるのが税理士です。個人でも、個人のお店を持っていたり、遺産相続をしたりするとお世話になります。そこで気になるのが顧問料です。税理士の顧問料ってどのくらいかかるのでしょうか?この記事では、気になる税理士の顧問料の相場や、実際に支払う顧問料などについて紹介していきます。
税理士の顧問料には、相場があります。税理士によって異なりますが、2020年度の大まかな金額は以下の通りです。
事業規模によっても異なるのですが、
この金額が顧問料の相場、ということになります。
上記の金額の1年分と、以下の決算料報酬が加わると、通常は顧問先からの年間の売上が算出されます。こちらも事業規模によって異なりますが、2020年度の大まかな金額は以下の通りです。
なお、決算申告のみを依頼して、記帳は自身でするという選択肢もありますが、記帳内容に不備があったりしやすいので、税理士に代行も依頼したほうが問題が起こりにくいです。
一般的に言われている顧問業務は、税務相談・記帳代行ないし月次決算・経営指導などの業務がその内訳で、決算はほぼ申告関連業務といってよいでしょう。
ところで、これらの顧問料・決算料は、どのように算出されているのかというと、旧税理士報酬規程を参考にしながら、「年商等の事業規模に比例した報酬設定をしている」ということができます。
しかし、必ずしもこの相場通りというわけではなく、これらの相場から離れた顧問料を設定していることがあります。また、多くの場合はこの相場よりも低い価格で顧問料を設定しているようです。
税理士の仕事は専門性の高い仕事ですし、また毎年の税制改正に合わせた資料の購入や、システムのアップデートなどもかかり、そうそう報酬を低く設定するわけにはいかない仕事です。にもかかわらず、顧問料は、近年特に柔軟になってきています。これはなぜでしょう。
以下に考えられる理由をいくつか挙げてみました。
これにはいくつかの方法があると思われます。
旧税理士報酬規程や、大手の税理士事務所の報酬表を見ますと、中小規模の会社について、顧問料を想定していないのではないかと思われます。
以前はそれでもよかったかもしれませんが、近年は、中小規模の会社であっても税理士に依頼することが必要な業種・業態が増えています。無形固定資産の取り扱いを日常的に考えなければならないIT関連の会社などです。
前項で述べた顧問業務をさらに細分化してそれぞれについて料金を設定するというものです。例えば、相談業務などが良い例ですが、1か月電話相談を上限10回にして、その代わりに相談料部分を値引きするなどという事務所が見られます。また、訪問をしないでメールで相談のみ24時間受け付ける、といったスタンスの事務所もあります。
顧客の業績にも波があります。例えば、売上高が非常に大きく見えるケースであっても赤字である場合などは、どの事務所でも「お客さんから多額の顧問料はとりにくい」ということになります。
いくら顧客の業績が良くなくても、大幅に値下げすることはあまりないですが、こうした場合、税理士事務所でも顧客の経営状況の中身を知っているだけに、無理をいって倒産されて顧客を失ってはもっと困ります。
そんな場合は、まず1)であげた手段を使い、顧客の負担を軽減したうえで、業績の回復を待って元が取れるようにするわけです。
さらに、こうした事態を最初から想定して、報酬額を設定する税理士事務所も最近はあるようです。
前述の1)のケースにしても、2)のケースにしても、顧問料が長期・安定的な収入として期待できるようにするために、顧客の業績や、長期・安定的な顧客との関係性を考慮して、事務所側の経営努力により、顧問料に柔軟性を持たせているといえます。
1件の顧客に、苦しい時にも無理して払ってもらって顧客と収入を同時に失うよりも、顧客の経営状況にも波があることをあらかじめ想定した対応をし、長期の信頼関係を維持したほうがお互いに得です。
そして、足りない分は、新規の顧客を増やしたり、調査等重要案件のタイムチャージ分の報酬で埋め合わせできるようにしています。
税理士顧問料には、相場と、標準的な報酬の決め方があります。しかし、実際は長期の顧客との信頼関係がベースにあることなどの要因が複雑にからまりあって、相場や標準的な報酬の決め方よりは、かなり柔軟に行われているのが実情です。