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プライム市場ってなに?東京証券取引所の新制度案を詳しく解説します!

HUPRO 編集部
プレミアム市場ってなに?東京証券取引所の新制度案を詳しく解説します!

日本取引所グループは、現行の市場第1部(東証1部)に代わる最上位市場として、プライム市場の創設を現物市場改革の一環として目指しています。現物市場改革によって、既存の4市場は3市場へと統合され、より明確なコンセプトのもとで株式取引が円滑に行える市場になることを目指しています。今回は、東京証券取引所の現物市場改革についてわかりやすく解説していきます。

東京証券取引所の市場区分に関する新制度案

日本取引所グループは、東京証券取引所の市場区分に関する新制度案(骨子)を公表しました。これは、現在の市場区分を明確なコンセプトに基づいて再編することを通じて、上場会社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を支え、国内外の多様な投資者から高い支持を得られる魅力的な現物市場を提供することにより、豊かな社会の実現に貢献することを目的としたものです。現状で4市場(1部、2部、ジャスダック、マザーズ)の現物株取引は、2022年4月発足を目指して3市場に集約されることになります。

なお、2022年4月の新市場区分への移行に向けて、2020年3月より、現行制度の一部改正の手続を進めていく予定していたものの、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた対応を優先するために、これらの手続の開始が2020年10月に延期されました。

プライム市場・スタンダード市場・グロース市場

発表された新市場区分は、それぞれ「プライム(プレミアム)」市場、「スタンダード」市場、「グロース」市場となり、既に上場している企業は適切と考える市場区分を主体的に選択できるようになる予定となっています。

東京証券取引所には、すでに4つの市場があるものの、東証1部銘柄で構成されるのが「プライム」市場、東証2部とジャスダック・スタンダード銘柄を主体として構成されるのが「スタンダード」市場、マザーズとジャスダック・グロース銘柄をメインに構成する「グロース」市場となる予定です。

最上位になるプライム市場は主に、機関投資家の投資対象となるにふさわしい企業で構成されます。プライム市場への上場基準として、これまでの直接上場に必要な「時価総額250億円以上かつ流通株式比率が35%以上」に加えて、より市場における流動性を確保する観点で新たに「流通時価総額」が100億円以上であることが求められるようになります。

流通時価総額とは、「流通株式数(市場で取引されている株式数)×株価」で計算することができます。一方、流通株式数とは、「上場株式数-(役員が持っている株式数+自己株式数+10%以上の大株主が持つ株式数)」で求めることができます。

プライム市場・スタンダード市場・グロース市場

プライム市場

新市場区分のプライム(プレミアム)市場は、「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資家との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」にすることをコンセプトとして提案されています(図1)。

プライム市場

この図からも分かる通り、プライム市場は、機関投資家をメインターゲットとしており、この市場に上場する企業には、ガバナンス、収益基盤・財政状態に関する要求水準など、非常に高い水準が要求されています。

スタンダード市場

新市場区分のスタンダード市場は、「公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」にすることをコンセプトとして提案されています(図2)。

スタンダード市場

スタンダード市場では、投資家として、機関投資家ではなく一般投資者を想定しており、その分、ガバナンス、収益基盤・財政状態に関する要求水準は低くなっています。

グロース市場

新市場区分のグロース市場は、「高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場」にすることをコンセプトとして提案されています(図3)。

グロース市場

プライム市場やスタンダード市場とは異なり、グロース市場では、収益基盤・財政状態に関する要求よりも、高い成長可能性やその事業計画の妥当性、あくまでも成長段階であることを前提としたガバナンス水準であることが明記されています。

東京証券取引所の市場区分に関する新制度案まとめ

早ければ2022年になると、東京証券取引所には新しい市場区分が導入され、これまでの4市場から3市場へ統合されることが予定されています。この改革によって、これまで明確になっていなかったそれぞれの市場コンセプトを明確になり、投資家はより明確な市場で株式取引を行うことができるようになります。

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