会計知識の証明として広く知られている日商簿記2級。経理職や会計事務所、税理士法人に就職しようと考える人には、採用条件のひとつにこの資格を求められることが多くあります。
今回は簿記2級の知識を身につけ資格に合格することの意義と、資格試験に合格するための勉強方法について解説していきます。
日商簿記検定には3級、2級、1級とあり、この順に難しくなります。日商簿記検定の合格資格は会計知識の証明として広く認められていて、2級以上の合格資格が特に有効なものとして認識されている場合が多いです。
経理職や会計事務所、税理士法人では頻繁に目にする財務諸表。財務諸表は会計知識が無い人にとっては数字の羅列の資料にしか見えず、それを読み取り判断を行うことは難しいことです。
しかし簿記2級程度の会計知識があればその財務諸表が示す数字の意味が分かり、判断を行うことが出来るようになります。
簿記2級よりも難易度の低い簿記3級の知識であっても、簿記の原理等が試験範囲にあるため、おおまかな財務諸表の内容を把握することは出来ます。
しかし、簿記3級の試験範囲には実際の財務諸表で目にする機会の多い、有価証券、無形固定資産等の範囲は試験範囲から外れていることから、簿記2級程度の会計知識が実際に有効活用をすることが出来る会計知識といえます。
このように実際に有効活用することが出来る会計知識が簿記2級程度のものであることから、経理職や会計事務所、税理士法人への就職、転職活動において採用条件として示される機会が多くなっています。
就職、転職活動のみならず、簿記2級程度の会計知識は経営者にとっても有効な知識です。
経営者には事業を行うことが主な役割であり会計知識は必要が無い、一連の会計処理は会計事務所や税理士法人に一任すれば良い、という考え方の人がいます。様々な経営方針がありますが、会計処理を一任し、経営者自身が全く会計知識を持たないことは危険なことです。
事業の存続には、利益や資金が必要です。これは経営者にとって当然のことですが、事業活動を行っている本人が肌で感じている利益や資金と会計上の明確な数字として示される利益や資金とは差があるものです。
会計上の利益は財務諸表の損益計算書により把握することが出来、資金は貸借対照表により把握することが出来ます。
これらの財務諸表の作成や分析を会計事務所や税理士法人に一任をし、適宜アドバイスを得ながら経営判断を行うことはひとつの方法ですが、この方法では他者が経営の状況を後日会計に反映し、その結果を基にアドバイスを行うため、現況に沿った素早いアドバイスを得ることは難しいものです。
現況に沿った素早い判断、実行を行えるのは現場にいる経営者です。会計知識を持って財務諸表の内容を把握することが出来れば、他者のアドバイスを待たずとも適切なタイミングで経営判断を行うことが可能となります。
全ての会計知識を身に着ける必要はありませんが、簿記2級程度の会計知識は持っている方が、素早く正確な経営判断を行うことが出来、その判断による事業発展を期待することが出来ます。
このように会計知識の証明、経営判断等に役立てるために簿記2級の合格資格の取得をお勧め致します。それでは簿記2級の試験はどのような内容なのでしょうか。
日商簿記検定2級は、例年2月、6月、11月の日曜日に行われています。
日商簿記検定の試験では、高度な商業簿記、工業簿記を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できる等、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められる難易度です。
試験科目には商業簿記と工業簿記があり、試験問題配分は商業簿記が60%、工業簿記が40%であり、合格には全体で70%以上の正答率が必要です。
受験者の上位から順に合格する競争試験では無く、70%以上の正答率を得ることが出来れば合格することの出来る試験であることから、誰でも勉強をし知識を習得すれば合格をすることが可能な資格試験です。
日商簿記検定2級に合格するための方法は、大きく分けて資格取得のためのスクールを利用する方法と、独学で行う方法の2つがあります。
資格取得のためのスクールを利用する方法とは、通学講座、通信講座等の講座を申込、その講座の提示するスケジュールに沿って試験勉強を進めていく方法です。
スクールを利用することのメリットは、スケジュールの提示があることから、どのように合格のための知識を身に着けていけば良いかが順序立てて分かること、自習室を利用することが出来ること等があります。
通学講座を利用する最大のメリットは、スクール講師、勉強仲間と接することで、簿記2級の合格のための人間関係が生まれることです。
人間関係があることで、勉強に気が向かない時であっても、人間関係があることで、その講座に出席しなければと足を運ぶようになります。講師に講座をサボるような人と思われたくない、勉強仲間と講座受講後に飲み会をしたい等、文字にすると稚拙な理由のように見えますが、このちょっとした人間関係が、勉強を続ける環境作りに大いに役立ちます。
試験勉強を続けていくうちには、講座内では理解の出来なかった問題が発生します。この問題について、対面での講座であれば、講座終了後に直ぐに講師に質問をすることが出来ます。
通信講座でもメール等によって講師に質問を行うことは出来ますが、その返信には日数を要し、直ぐに回答を得ることは出来ません。
質問を直ぐに解消できないことは、その勉強が進まないことの他に、勉強そのものへの熱意を失うきっかけになる可能性があります。
よって直ぐに講師に質問し、不明点を随時無くしていくことは、勉強において非常に大切なことといえます。
通学講座を受講している時間は、講師や他の受講生の手前、他の作業をすることは難しく、講座に集中をすることが出来ます。
通信講座では他の作業に気が向きがちで集中力が途切れてしまうことがありますが、通学講座ではこのような勉強をしているようでしていない時間というものが発生しにくいです。
上記のメリットがある分、他の勉強方法よりも費用がかかります。簿記3級取得者が簿記2級を習得するために通学講座を利用した場合、約8万円の受講料が必要です。
通学講座はその講座の決められた時間に開催場所に出向く必要があります。出向くための通学に要する時間が必要です。また、社会人で勤務時間後に通学講座を利用する予定であったものが、残業等によりその時間に間に合わずに受講することが出来なくなった場合、そのフォローを受けることは出来ますが、何回も受講することが出来なくなってしまうことがあると、勉強意欲が削がれてしまう可能性があります。
おおよその勉強スケジュールは案内がありますが、通学講座のように何曜日の何時にそれを必ず履修しなくてはならないという決まりはありません。また通学のために時間を要することもありません。
深夜や早朝等、自身の生活に合わせた勉強時間の確保をすることが出来ます。
簿記3級取得者が簿記2級を習得するために通信講座を利用した場合、約7万円の受講料が必要ですが、通学講座よりも費用を抑えることが出来ます。
通学講座のように他の受講生と接する機会は殆どありません。勉強のためのモチベーション維持に勉強仲間がいることが必要である人には、通信講座は不向きであるといえます。
通信講座でもメール等によって講師に質問を行うことは出来ますが、その返信には日数を要し、直ぐに回答を得ることは出来ません。
不明点を逐一解消しないと他の項目の勉強が手につかないことは無い、身近に専門家がいて質問をする相手がいる等の場合には、このデメリットは感じることは少ないでしょう。
独学で行う方法とは、スクール等を利用せず、自身で参考書等を選定し勉強方法を考えるもので、自己管理能力の高い人に向いている方法です。
通信講座と同様に 深夜や早朝等、自身の生活に合わせた勉強時間の確保をすることが出来ることに加え、おおよそのスケジュールの提示をスクールから提示を受けることがありません。
よって苦手項目に多く時間を割く等の勉強時間の配分が自身に最も合うようにスケジュール管理をすることが出来ます。
試験勉強に係る費用は参考書書籍の購入費等、他の方法と比較をすると非常に安価なものになります。参考書と問題集が含まれた書籍を新品で購入する場合、5千円程度で購入することが出来ます。
通信講座のデメリットと同様に、これらの点で通学講座よりも不利な状況に陥りやすいといえます。
自身の勉強に合った参考書や問題集を購入することが出来ますが、参考書や問題集の種類は豊富であり、その選定から自己の責任において行う必要があります。
その選んだ参考書や問題集が自身に合ったものであったかどうか、は結果としての合格の可否の通知が来るまで分かりません。
このように日商簿記検定2級の合格資格は、就職、転職活動において非常に有効なものであることの他に、この知識は経営者にとっても大いに役立ちます。
その資格の勉強方法はスクールを利用する方法、独学で試験勉強を行う方法に大別されますが、どちらもメリットとデメリットがあります。自身に合った方法を選択し、確実に知識を身に着けたいものです。