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【決算解説シリーズ】株式会社良品計画の過去の株価暴落の要因と2020年8月期の決算について解説!

HUPRO 編集部
【決算解説シリーズ】株式会社良品計画の過去の株価暴落の要因と2020年8月期の決算について解説!

今回は、無印良品を展開する株式会社良品計画について取り上げたいと思います。無印良品は、日本やアジアで特に人気を誇っており、シンプルなデザインで、根強いファンが多いのが特徴です。また、最近では銀座にホテルを併設した大型店舗を開店させることで、ブランドイメージが更に向上した印象です。

株式会社良品計画について業績が好調な印象を持たれている方は多いかと思います。しかし、2018年6月には株価が一時期41,200円台まで上昇していましたが、2019年4月には21,140円まで約50%減少しております。そして、現在は2020年3月頃から世界的にコロナウィルスが流行したことにより、世界的に店舗を展開している㈱良品計画の業績にも大きな影響を与えております。

株式会社良品計画の過去の株価の下落から現在の業績の状況について、紹介していきたいと思います。なお、説明上の留意点としては、株式会社良品計画は、2020年2月期以後は、8月決算に決算期を変更しておりますので、2020年8月期は会計期間として6ヶ月間の決算になっております。

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2017年~2020年2月までの業績の推移について

1.連結業績推移とセグメント情報について

連結業績推移とセグメント情報について

売上が増加しているのは、店舗の増加により、売上の規模が拡大していると言えます。

2017年2月末の全世界の店舗数が821店舗でしたが、2020年2月末には970店舗まで拡大しています。また、中期経営計画の詳細については後ほど触れますが、中期経営計画で、大型店舗の展開中心に計画していることから収入が増加しています。特に大きく増加しているのは、東アジア地区(中国、香港、台湾、韓国)で2017年2月が279店舗だったのが、2020年383店舗と104店舗増加しています(うち中国が70店舗増加)

利益の詳細については、次のセグメント情報で触れますが、ここのセクションではキャッシュ・フローについて少し解説を加えたいと思います。株式会社良品計画は、毎年一定規模の店舗の出店及びリニューアルのために支出を行っているため、投資キャッシュ・フローがマイナス(つまり現金の支出している)となっています。

特に、2020年2月期は店舗の出店費用に加えて新基幹システム開発にとそれに伴う業務委託の費用が増えており、他の期と比較してもキャッシュ・フローの支出が多くなっています。会社は今後もグローバル標準システムの構築を全世界で行っていくため、投資キャッシュ・フローの支出は多くなっていくと思われます。

投資キャッシュ・フローの支出

はじめに、各セグメントの主な国を紹介します。

・国内事業:日本
・東アジア事業:中国、香港、台湾、韓国
・欧米事業:イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、アメリカ等
・西南アジア、オセアニア事業:シンガポール、マレーシア、タイ、インド、オーストラリア

セグメント売上についてですが、日本の売上が約60%を占めていることから日本は重要な事業拠点と言えます。次に海外拠点をみると、東アジア事業が全体の売上構成比として、約30%を占めています。特に店舗数から推察するに中国事業の売上規模が日本に次いで大きいと言えます。西南アジア・オセアニア事業までも含めると、ほとんどの売上がアジア圏であがっている事業だと言えます。

一方セグメント利益を見ると売上同様に、アジア圏が多くの利益を稼いでいます。2020年2月期は一部コロナの影響もありますが、欧米事業については損失が毎年続いており、赤字が続く事業となってしまっています。要因としては、複数あるかと思いますが、欧米諸国については家賃がアジア圏に比べると高いと言われています。

また、欧米事業については人材教育が現地では進んでいないため、日本などからの人材派遣をするなど教育費、物流費がかさんでいることも要因のひとつと言われています。

会社の事業としては、主に日本と中国で収益を稼いでいる企業であることからコロナウィルスの流行は大きな打撃があると言えます。なお、詳細は記事の後半で解説いたします。

2.2017年度からの中期経営計画で実施されていること

1.中期経営計画の目標値

 営業収益:5,000億円
 営業利益:600億円
 ROE:15%
 世界店舗数:1,200店舗

2.目標と施策の実施状況

目標と施策の実施状況

上記については、(1)と(2)については、中期経営計画発表時から毎年取り組んでいるものです。

(1)については、(4)のグローバルでの在庫の管理システムを導入することで、発注の適性化を図ることに取り組んでいます。2020年8月期の決算説明資料上では、すべての国と地域の仕入枠の徹底管理を行い、店頭在庫+将来販売計画8週分を上限とする在庫基準の遵守を徹底することを21年8月期までに達成するとしています。

また、価格改定についてもコロナ禍による不況時に安心と信頼の新価格体系を目指すとしていて、これにより値下げ率の低下が図られると思われます。

(2)については、2019年4月期に銀座店をオープンするなどはしていますが、500坪クラスのお店は、2020年2月期時点では、41店舗にとどまっています。また、会社としては単なる大型店舗の拡大をするのではなく、より地域の特性にあうような店舗を展開することを目指すことを2020年2月期の決算説明で行っており、500坪クラスの店舗を100店舗展開することは難しいのではないかと考えられます。

(3)については、2018年度決算資料においては、順次制度の運用がスタートしており、より従業員が働くモチベーションを維持しやすい人事制度が構築できたと説明しており、この点は中期経営計画を達成していると言えます。
 
(4)については、主に会計システムと在庫のシステムの導入を目指しています。日本については、2020年1月に導入をしており、その後順次世界展開される予定です。また、株式会社良品計画としては、21年8月期にIFRSの導入を目指しているとのことです。

3.株価が半減した要因について

冒頭でも説明をいたしましたが、2018年2月の利益も他の期と比べると好調であったこともあり、投資家からの期待も高く、2018年6月時点では、株価が41,200円まで上昇していました。しかし、第2四半期、第3四半期、第4四半期の決算情報が開示されていくごとにどんどんと株価は下落していき、2019年4月時点では、21,140円と約50%も下落しています。

2019年1月に連結業績予測の下方修正のプレスリリースが発表されています。内容としては、中国を中心とする東アジア事業が大幅な増益となった一方で、国内事業の伸び悩みが要因で計画の達成が未達成となったことが要因と発表されています。

また、好調な東アジア事業ではありましが、香港、中国なで政情不安の懸念もあり東アジア事業において、不安材料が発生してしまうのではないかという不安もある状況でした。

以上のことから、2018年2月期の好決算を引き継ぐ形で、2019年も更なる成長を期待した決算ではありましたが、結果として連結業績予測が下方修正となったことで投資家たちの失望売りが進み、株価もそれに伴って下落してたのではないかと考えられます。

失望売り:投資家が株価の上昇を期待して購入した株式が、上昇の見込みがないと判断して売却することであり、業績の悪化などの悪材料がでた場合に行われることが多いといわれています。

なお、現在では2019年9月1日より、株式分割(1株につき10株の分割)されているため、株価の単位が大きく変わっているので、注意が必要です。株価はコロナの影響もあり、下落基調となっています。

2020年8月期の決算について

2020年8月期の決算について

2020年10月8日に発表された、2020年8月期の決算は経常利益まではコロナウィルスの影響による日本の顧客の減少の戻りが想定よりも早かったことや、東アジアの各国の営業再開が順次されたことにより、第2四半期だけで見れば黒字という結果になりました。

一方で、コロナウィルスの影響により、売上減少した店舗について、減損処理を含め、特別損失に186億円を計上したことで、親会社株主に帰属する当期純損失の金額が当初予測よりも損失計上が多くなっています。

セグメント別売上
セグメント別収益

セグメント別については、6ヶ月間の決算であることから、前年同期比の第2四半期の数字と比較して説明をしています。

全体の数値的には、前年同期比と比べても大きく減少しているのがわかると思います。コロナウィルスの影響で、営業の停止が続いたことが主な要因であるといえます。

また、欧米事業についてもコロナウィルスの影響は受けていますが、2020年7月にアメリカの子会社再生申請を行っており、それによる店舗の閉鎖などで在庫の評価損を25億円計上していることもマイナス幅が大きく増加している要因と言えます。

このアメリカの事業については、2021年2月までに、経費の見直しや店舗閉鎖に伴う在庫消化、継続する店舗の家賃交渉などを引き続きおこなっていき、2021年3月からは、再成長に向けて営業を開始したいとのことです。

2.これから中期経営計画を達成する上で重要なことは

2020年8月期決算説明資料では、2021年8月の位置として以下の具体策が挙げられています。

① 新価格改定の推進
② ECの基盤整備
③ 新システムの着実な開発と導入
④ 適正な在庫水準の着地
⑤ 海外戦略の修正と強弱

これまでの株式会社良品計画の問題点を上げるならば、それは急激な店舗の拡大により、発注と在庫の管理が甘くなっている点が挙げられます。これにより、在庫が滞留し、値引きによる販売を行うことで在庫消化をしなければならない状況となっていました。それでも売れ残ってしまったものは、在庫の評価損の対象となってしまっていたので、利益に大きな影響を与える要因となっていました。

これらを在庫の新システムの導入により適正発注及び在庫の管理ができるようになれば、値引きの減少や、在庫の評価損の減少により、利益が増加すると考えれます。

また、アメリカの子会社が事業再生の申請を行ったことを考えると、より出店する店舗を見極める必要があると言えます。この記事の中でも触れてはいますが、欧米諸国に出店する際には、多額の家賃が発生すると言われています。したがって、固定費が一定額発生してしまうので、それを超えるような収益が出せない店舗については店舗の閉店を実施すべきであると考えられます。

以上のことを適正にコントロールし、ECなどの販路をうまく活用することができれば、事業はコロナ禍前の姿に戻り、事業の持続的な成長につながっていくと思います。

なお、上記で記載した中期経営計画は、2020年4月時点で達成時期未定とされていましたが、2020年8月期の決算説明では、2021年4月に現在のコロナの影響による社会情勢の変化を踏まえた新中期経営計画の骨子が公表されることが発表されました。

内容としては、現在公表している数値が通過点として位置づけられるものになるとしているため、より大きな計画となっていることに期待をしたいですね。

まとめ

株式会社良品計画は、1980年に㈱西友のPB(プライベートブランド)の「無印良品」から始まっています。

当初は、PBであったことから安かろう悪かろうの商品のイメージを持たれていたかと思います。現在ではシンプルかつ持っているとオシャレなイメージを持つことができる家具又は雑貨や、食品であればオーガニックで体に優しいイメージがあるなど、無印良品独自のブランドイメージを顧客から持たられるような事業に成長したと言えます。

コロナウィルスにも負けない力が無印良品のブランド力にはあると信じていますので、株式会社良品計画の今後に皆さんも是非注力していきましょう。

カテゴリ:コラム・学び

この記事を書いたライター

HUPRO 編集部
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