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税理士の需要や将来性は?ITやAIに負けない価値を創造しよう

岡山 由佳
税理士の需要や将来性は?ITやAIに負けない価値を創造しよう

税理士が資格を用いて働き続けようと考える際、税理士資格の取得を目指す人が取得後のキャリアを描く際において、税理士の需要や将来性について常に情報を収集することはとても大切なことです。今回は、働き方がIT化、AIによって変化する中で、税理士が生き残っていく方法について解説していきます。

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税理士業界の現状と将来性

2020年現在の税理士の登録者は約8万人、この人数は年々増加し、年に700人程度の税理士が誕生しています。
生涯現役で働く税理士は多く、新しく税理士として業界に新規参入する人の多くが顧客の獲得に悪戦苦闘をしているのが現状です。

一方で税理士の登録者は世の少子高齢化と同様に、高齢化が進んでいることも現状としてあります。
顧客は高齢の税理士であるほどベテランであると評価をする人ばかりではありません。若い顧客では同世代の税理士を希望する人、ITツールを生かした経営に対応が出来ることを希望する人等、経歴以外のその税理士の利点を望む顧客も大勢います。

よって生涯現役で働く税理士のみならず、新しく税理士として業界に新規参入する人も、世の中の動向に合わせたサービスを提供することで、将来性は十分にあるものだといえます。

税理士業界におけるITの現状

世の中では以前よりIT化が推進されてきましたが、新型コロナウイルスの影響により、更に対面を必要としないサービスや書面の電子化等に注目が集まっています。

税理士業界も、昔は手書きで帳簿、申告書の作成を行っていました。それが会計事務所内の業務効率化のために会計ソフトが広く導入され、会計知識のみならず一般的なパソコンの操作をすることが出来る人材が求められるようになりました。現在でもパソコンは使いたくない、メールは操作出来ないから連絡は電話のみしか受け付けない、という税理士はいますが、余程の人徳がある人でない場合は会計事務所内で立場を淘汰されたり、顧客から疎まれてしまうのが現状です。

更に近年では会計データや書類の保存が顧客と共有することの出来るクラウドシステムの利用をすること、顧客との連絡にスマホアプリを利用すること等、会計事務所内の業務効率化のためのIT化のみならず、顧客からもIT化の要請が強まり、今まで求められていたITスキルよりも高いスキルが求められるようになってきました。
顧客からの問い合わせも、会計処理に関する仕訳の方法や経費性の判断のような税理士資格があれば難なく答えられるような内容のみならず、パソコンの使い方、クラウドシステムの利用方法等のIT知識が無ければ答えられない内容が増えてきました。
このようにIT化は税理士業界においても進み、税理士資格による知識だけではなくIT知識が無ければ対応することが難しい状況になっています。

IT化による税理士の将来性

IT化により、そのITに対する知識が無ければ顧客に対応をすることが出来ないことのみならず、IT化により税理士の仕事が少なくなるともいわれています。
世の中でロボットに仕事を奪われる、といわれているように、税理士資格という国家資格があっても税理士の仕事は奪われる可能性があります。

既に銀行口座と会計システムが連動をすることが出来るようになり、自動で会計システムの仕訳を生成するサービスが誕生し、従来の預金通帳をコピーする仕事、そのコピーを基に起票する仕事、伝票を基に仕訳を記帳する仕事等は必須では無くなりました。
これらが必須で無くなることは、税理士の手間が省けるようになったという考え方も出来ますが、その仕事が無くなる、奪われることにより顧客から得られる報酬も少なくなります。報酬が少なくなれば当然税理士本人の生活も危ぶまれる可能性があります。

現在は全ての取引や書類の作成においてITによる自動化が出来るものではないため、IT機器を用いても税理士のチェックは必須であり、顧問契約を結んでいる顧客が申告書を提出する過程において税理士が不要である、ということはありません。

しかし全ての取引や書類の作成においてIT環境が整う可能性、税理士が行っていた判断がITによって賄われる可能性がある将来、税理士の国家資格が必要となる場面は、IT環境の整備とAIの拡充によって僅かなものになってしまうことが簡単に想像することが出来ます。

ITやAIの発展はデメリットではない

IT環境の整備とAIの拡充によって税理士の仕事が減少することが簡単に想像をすることが出来、その点のみに着目をすればITやAIの発展は税理士にとって不利な状況です。しかしこれは必ずしもデメリットであるとは言えません。

昨今の新型コロナウイルス感染症拡大防止の点においては、メールやFAXがあるからこそ対面せずとも顧客との資料の収受が可能であり、電子申告システムあるからこそ税務署に赴かなくても申告書の提出が可能であること等、IT機器の利用によって、新型コロナウイルス感染症の拡大がある程度の水準まで抑える事が出来ていると考えることが出来ます。

少子高齢化社会の点においては、労働力が日本全体で不足した際にAIロボットの労働力に頼らなければ公的サービスが十分に受けることが出来ない将来が待ち受けている可能性は充分に考えることが出来ます。

そして税理士業界でも、既に手書きでの帳簿、申告書の作成の仕事が会計ソフトの導入により、その仕事に掛ける人員が減ったことに伴い、その仕事に充てなくてはならない時間が減少しました。その結果、他のサービスに充てる時間、例えばお客様の問い合わせにそれまでは時間的に対応しきれず税務署への問い合わせを勧めていたことが、税理士自身が調べて問い合わせに答えることが出来るようになった等、会計事務所ではよりよいサービスが提供することが出来る機会が増加したことでしょう。
他のサービスを提供することが出来るようになる、ということは税理士や会計事務所は新たな顧問料収入を得ることの出来る手段を獲得するということに繋がりますので、新たなサービスを受けることの出来る顧客、顧問料収入の増加を見込める税理士や会計事務所、双方にとってメリットがあります。

このように税理士業界ではIT機器やAIには不可能な他のサービスを提供することで、それらに淘汰されることなく価値を見出せることが可能であるといえます。

ITやAIに負けない仕事とは

ITやAIに負けない仕事、サービスとはどのようなものがあるのでしょうか。それは生身の人間であるからこそ出来るサービスと言い換えることも出来ます。
例えばメールが一般的に普及をされても、直筆の手紙を貰うことは嬉しいものです。また連絡手段に文章では表しにくい細かな表現は電話や対面の方が伝えやすい、と好まれる場面は多くあります。
このようにIT機器やAIが拡充されても、それを用いない方法が好まれる場面は多くあり、それは税理士業界においても同様のことでしょう。

顧客の中には月次訪問によって税理士と雑談をすることを楽しみにしている人がいます。税務相談をする相手として人柄で税理士を選んでいる人がいます。
このようにIT機器が作業を減少させ、AIが税務知識を必要とする判断を自動で行う将来では、作業や知識では賄いきれない、人柄や心を必要とサービスの提供が重要となってきます。
 
例えばIT機器やAIによって削減された作業時間に代えて、顧客の訪問時間や対応回数を増やすこともひとつの方法です。接した時間が長い程、顧客は大切にされていると好印象を受けますし、その会話の中で相続対策や確定申告の必要性等の新しい業務の獲得に気が付く可能性があります。

このように新しい、その人にしかできない価値を提供することで、税理士は生き残っていくことが出来るでしょう。

まとめ

上記のように税理士の将来はIT化やAIに仕事を奪われる可能性があるものの、IT化やAIを拒むのではなく対応しながら、それらには出来ない新しい価値を提供することで明るいものとなります。
新しい価値の創造には、動向を見極め、常に情報収集を行うことが非常に大切です。
是非ご参考になさってください。

カテゴリ:コラム・学び

この記事を書いたライター

岡山 由佳
大学在学中より会計業界に携わり10年超の会計事務所、税理士法人での実務経験を経て独立。各業種の会計業務に関するフォローのみならず、ライターとして税務、労務、経理の話題を中心に、書籍やWebサイトに数多くの寄稿を行う等の様々な活躍をしている。

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