2019年10月より日本の消費税率は10%に上がるため、注目している人はたくさんいるでしょう。特に消費税がどのように使われるのか気になっている人は多いのではないでしょうか。そこで、日本の消費税の使い道について、具体的にどのような使われ方をしているのか紹介します。
消費税は消費税法という法律に基づいて制定されたものであり、使用用途についても法律によって明確に定められています。そのため、法律に含まれていない使われ方をすることはありません。仮に法律にない使い方をするためには、法律を改正しなければいけないでしょう。そのため、税金の使われ方は、内容が明確であり、その点は安心できる制度となっています。
法律によると、消費税は社会保障のために使われるものだと決められています。年金や医療、介護などは社会保障給付をする必要があり、そのための財源として我々から徴収された税金が用いられているのです。さらに、法律では、少子化対策の施策のために必要な経費としても消費税を使うものとしています。基本的には上記で紹介した以外の使い道で用いられることはないと考えましょう。
たとえば、高齢者のもらう年金や介護費用、医療費用などは、一部が消費税によって充当されていると考えればよいでしょう。日頃の買い物などで支払っている税金が、身近なところで使われているのです。
消費税は人が生活をしているなかで必ず支払うものです。普通に生活をしているなかで、年間を通してそれぞれの国民がかなりの金額を支払っています。そのため、毎年、安定した税収を国は得ることができるのです。社会保障も、人が生活をする上で欠かせないものであり、毎年絶対に必要となる予算となります。社会保障の財源を確保することは、国にとってとても大切なことであり、それが私たちの生活を根底から支えることになります。そこで、消費税を社会保障の財源とすることができれば、毎年一定の予算を確実に得ることができるのです。このような理由から、社会保障の予算として使われています。
令和元年における社会保障の予算は42.2兆円です。その内訳は、年金12.7兆円、医療11.9兆円、介護3.2兆円、子ども・子育て支援2.6兆円となっています。さらに、地方に交付される予算が11.9兆円あって、こちらも社会保障としての予算です。これらを合計すると42.2兆円となります。この42.2兆円という予算のなかには、消費税から充当された分である21.5兆円が含まれています。
税率が8%から10%に上がることによって、増えた税金の分だけ使える予算が大きくなります。この分のお金を当初は、4分の3を国債の返済に用いて、残りを社会保障の充実のために使うという予定だったのです。
消費税は本来社会保障のために用いるものです。国債の返済は、直接、社会保障にかかわるものではありません。ただし、国債は社会保障の財源が不足するのを補うために発行されてきました。そのため、国債の返済をすることは、将来の世代に対する負担の付け回しを軽減するという意味があります。このことから、税金が増えた分を国債の返済に充てることも、結果的には社会保障政策のために使われていると解釈できます。
実は増税の使途は現在では変更されています。当初は増えた税金のうち4兆円を国債の返済に充てる予定でした。それが、4兆円のなかから1.7兆円を人づくり革命に充当すると変更されたのです。人づくり革命とは少子化対策のための施策のことであり、教育無償化などが含まれています。具体的には下記のようなものが含まれています。
現時点で社会保障費は不足しているため、毎年新しく国債を発行して補っています。今後は少子高齢化が進んでいき、ますます社会保障費が増えることが予想されます。国債の発行に頼っていたのでは、国の借金がどんどん増大していくでしょう。それを避けるために、積極的に税金が社会保障の財源として使われています。
増税して社会保障費の増加に対処するという方針が、今後も採用される可能性は高いです。最終的には、10%よりもさらに増税する可能性があります。ただし、増税する以外の対処法が用いられるかもしれません。
たとえば、法人税を上げるなどの方法があります。また、増税に対しては国民からの反発が大きいため、政府が増税を避けようと動く可能性もあります。これからの日本経済の動向にも左右されます。日本の経済が良くなり好景気が続けば、わざわざ増税しなくても税収が増え社会保障の財源を確保できるようになるからです。そのときになってみないと、増税するかどうか、はっきりとしたことは何も言えないのが現状でしょう。