兵庫県加古川市と東京都墨田区両国で税理士法人アクトライズを経営する平田亮様。学生時代に会計学の授業で日商簿記3級を取得したことをきっかけに税理士を目指し、2016年に官報合格致しました。本日は代表税理士である平田亮様にキャリア観、税理士に至るまでの苦労、そして将来の税理士像についてHUPRO編集部がお伺いしました。
―税理士を目指したきっかけを教えてください。
きっかけは、大学時代に必修授業の免除要件を満たすために簿記3級と2級を取得したことです。その時に自分が会計の勉強に向いていると感じました。また、実家が税理士事務所をされている親友が税理士の勉強を始めたので、私も興味を持ち調べてみたら「独立開業しやすい資格で楽しそう、社長になれるやん!」と思いそこから目指すようになりました。当時は同じ税理士を目指していた仲間がいたことは大きなモチベーションになりました。
―受験期間で一番大変だったことは何ですか?
十年ほど勉強していたので継続することが一番大変でしたね。複数科目受験で常に2科目以上勉強していましたが1つも取れないことも多かったですね。自信をもって申し込んだ講座でも受からないことがありました。
それでも継続は力なりだと思います。それこそ大学生と社会人の時にゲームとパチンコにハマってそれぞれ1年ほど寄り道してしまったことはとても後悔しています。でもちゃんと戻ってきて勉強を続けることが出来たので税理士になれました。だから不安になっても勉強を続けることが大切だと思います。
―どの科目に一番時間がかかりましたか?
4回受験した相続税法ですかね。人口の流れを見ると将来的に相続税が主力業務の一つになっていくのと、相続税は勤務では実務経験が得にくく独立後本番を迎えるに当たって理論武装が必要だと思ったので相続税法をとりました。実際、業務にあたってもしっかり試験で知識を付けられていたので十分に対応できました。試験科目が実務に直結するので科目選びの時点で将来を見据えることが重要だと思います。
―税理士事務所を選ぶ際心がけていたことを教えてください。
大手や都市部の税理士事務所はウェブ等で調べれば十分情報が出てきますが、中小・地方の税理士事務所はなかなか確かな情報に巡り合うことができません。
そこで、TACに通って勉強していたことを活かし、働きながら勉強していた社会人受験生へ直接インタビューし、就職に役立つ情報を収集しました。勇気を出して聞くことで生の情報が手に入り、就職へ良い選択ができるためおすすめです!
―独立するまでの経緯を教えてください。
僕は2つの事務所に行った後に一般企業に勤めていました。そこでは経理をしていましたが同時に副業という形で税理士業も始めました。そこである程度の固定客が見込めた段階で独立を決意しました。ただ元から独立することは決めていたので、試験に受かってから2年間は恩返しという形でしっかり勤めさせて頂きました。
―事業会社を経験したということですが、していない税理士さんで違いはありますか?
組織に属する経験が少ない税理士さんは多いと思います。それなりの規模の会社では稟議書を持って各部長を回るといった小さな事務所では経験しないことがあると思います。僕たちはこれから伸びていくような成長段階のお客様が多いのですが、どんどん大きくなっているのに中が全然組織化できていない会社は割とよくあります。そこで組織として必要な仕組みなどの指導が他の方よりもできるという軸はありますね。
―事務所の特徴や強みを教えてください。
弊社の強みは2つ挙げられます。
1つ目は「若さ」
私が税理士になった時は29歳でした。税理士業界は平均年齢が60歳を超えると言われています。そのため「若い」という理由だけでお客様から選んでもらえるなど、「若さ」が差別化になる不思議な業界です。笑
2つ目は「ITに強いこと」
当法人ではクラウド会計「freee」というものを主軸に業務を行っています。当法人では「経営をもっとスマートに」というビジョンを掲げ、会計にITやAIを積極的に活用することで、会計×ITの追及を行っています。コロナ禍で緊急事態宣言が出た際にスムーズにテレワークへ移行できたのですが、それは普段からクラウド会計やチャットワークを活用していたおかげです。
まだまだ紙で仕事をすることが多い業界のため、リモートワークに対応できない税理士の方も多かったと思います。一方クラウド会計を軸にしていることで、iPadさえあればどこでも働けます。今回のことで書類が持ち出せずデータでのやり取りが増えたので、ペーパーレス化を加速できたことは良かったですね。
―税理士法人アクトライズの働き方について教えてください。
雇用契約をしているスタッフに関しては、時間内に働いてもらい、残業はありません。またパートナーについては時間と場所は自由に働いて頂いています。私は事務所の方が仕事をする気力が出るため、出勤して働いています。
従業員は2つの事務所合わせて10名で活動しています。兵庫県の事務所に8名、東京都の事務所に2名が在籍しています。ハローワークや人材紹介会社、事務所Facebookなどを活用して、採用活動をしています。
―具体的な業務内容についても教えていただきたいです。
当法人全体では顧問契約数が主に180件数あり、パートナーと仕事を半分に分担しています。そのため、私個人では80~90件の担当を担っています。具体的な作業についてはスタッフが処理してくれるため、180件という契約数でも対応が可能です。
業界業種では、EC事業者、建設業、美容院やIT・プログラマーが多い印象です。建設業のお客様が多いのは、行政書士として許認可の手続きも一気通貫できることが挙げられ、IT・プログラマーのお客様には会計freeeに対応したITに強い税理士法人として認知されているからだと思います。おかげさまでfreeeさんから5つ星認定アドバイザーの称号までいただけまして、freeeを起点とした新規の問い合わせも年々増えていっております。
―「freee」を使っていてよかったことはありますか?
これはかなり大きいですね。記帳代行業務においては通常、従来の会計ソフトだといわゆるパンチャーと呼ばれるスタッフが仕訳をどんどん打ち込んでいくタイプのものが多いです。しかし「freee」では元からある程度データが出来上がっていてそれを加工していくので打ち込むという概念がなくなりました。
従来からある他の会計ソフトと比べると少々変わったソフトではありますが慣れるととても便利で、使えば使うほどにAIが内容をどんどん学習していってくれます。会計に限らず、請求書発行や債権債務管理、経費精算、資金繰り予測といったバックオフィス業務が一手に行えるツールですので、活用しない手はありません。
ただ、「freee」は会計をするにはとてもやりやすいですが、税務申告などの領域はやや玄人向けな一面があります。そういう意味ではまだ発展途上なソフトでもあるので、厳しくチェックを入れなければ痛い目を見るかもしれません。足りていないところは他のソフトを使って補っています。
―コロナ以降起こりうる、税理士の変化について何かありますか?
よく言われていますがIT関係の進化が早いので記帳代行などの代行業務は減りコンサルタント業務が増えていくと思います。お客様の側からみてもご相談いただきお話を伺いながら問題解決のサポートをさせていただくといったことが一番喜んで頂けると感じますので、より顕著にその傾きが増えていくと思います。その関係で税理士の仕事は少人数の小さい事務所と代行業務も請け負える大規模法人の二極化が進んでいくと思います。
ー平田様の得意業務について教えてください。
「融資サポート」です。
お客様が金融機関からお金を借りたい場面でお手伝いすることが得意な業務になります。きっかけは融資に関するセミナーを受けた時でした。これまでは、お金を頂かず、お客様からお願いをされて補足的に融資のお手伝いをすることはあったものの、正直中途半端なサービスになることが多かったです。
融資セミナーに参加してからは、報酬を頂きながら本格的に融資サポートに取り組むようになりました。融資サポートをすることでお客様には安心して融資にチャレンジしていただけますし、弊社と周辺金融機関との連携も強化できました。そしてなにより嬉しいのはお客様が融資に成功して喜んでいるその場面に関われることです。
普段の税理士業務というと、決算申告の際にまとまった金額を請求させていただくのですが、お客様はそれと同時に国に対しても納税しないといけないため、なかなかお客様の喜んだ表情を見る機会がありません。
しかし「融資サポート」ではお客様のキャッシュインの場面に関わり、喜ぶ顔が見られるため、自然と力が入り、今では得意業務になりました!
―平田様が思う税理士の魅力とは何でしょうか?
税理士の仕事はお客様のお財布まで全て見ることになります。そのため、お客様の仕事の悩みも含めて、深く関わり合いながら話を聞けることが一番の魅力だと思います。
人から相談を受けると悪い気がしないように、税理士として相談を任せてもらえることを幸せに感じます。
―5年後、10年後のビジョンなどはありますか?
なりたい税理士という意味ですとコンサルタント業務がお客様に喜んでいただける1番の仕事だと思っているので、お客様の最大のサポーターでありかつパートナーとして寄り添えるような税理士になれることを目標としています。
―事務所を大きくしたいなどの希望はありますか?
あります。税理士の仕事では会計ソフトなどのシステム構築にかなりのお金がかかっています。それを一事務所ではなく大勢でシェアすることで効率が良くなるのではと考えています。というのも私の中でワンストップサービスというのが目標にあるので、今は税理士法人と行政書士法人という形ですが、さらに司法書士や社労士、弁護士など色々な士業が集まる集合体のようなものを作れたらいいですね。やはり、税理士だけの視点にとらわれず、いろんな専門家から話が聞けた方が良いサービスに繋がると思うので、そんな組織を作りたいです。
「継続は力なり」
少し寄り道をしてもいいので、絶対に戻ってきてください。
私は受験生の期間に、約2年間寄り道をしていた経験があります。1回目は学生時代、2回目は社会人時代に寄り道をした結果、合計2年間を棒にふってしまいました。
しかし、元の税理士受験の道に戻り、勉強を続けたことで試験に合格し、税理士となることができました。回り道をしてもいいので、税理士を目指したのなら、必ず元の道に戻り、勉強を続けることでゴールにたどり着けます!
「本当に受けるのかな。」と自信がなくても、諦めずに勉強し続ければ合格することができます。
試験に打ち克って、税理士として活躍してください!
ー本日はお話を聞かせて頂きありがとうございました。
今回インタビューさせて頂いた平田亮さんが代表を務める
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