近年ではジョブローテーション制度を利用して人材育成に取り組む企業が多いですが、上手く活用しないと退職リスクなどが高まり、かえって逆効果になってしまう場合も見られます。
今回はジョブローテーションの導入で退職する社員が出てしまう理由について詳しく解説をしていきます。
ジョブローテーションとは、職場や職種を異動して様々な経験を積んでいくシステムのことを指しています。
近年ではジョブローテーションを積極的に活用している日本企業も多数見られており、多種多様なスキルを身に着けた従業員を多く輩出しているのです。
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企業がジョブローテーションをすると様々なメリットがありますが、その反面、デメリットも存在します。
ここでは、代表的な2つのデメリットついて解説をしていきましょう。
ジョブローテーションは、企業に風通しの良さをもたらす新鮮な試みですが、企業側が決定した配属先や職種が、必ずしも社員の希望と一致しているとは限りません。
そのため社員によってはモチベーションの低下が生まれ、退職に繋がる可能性もあります。
もう一つのデメリットは、スペシャリストが育たないことです。
ジョブローテーションは、社員を様々な部署に配属させるため一つの部署にいる時間は総じて短い場合が多いです。
そのため、一つの配属先でじっくりと腰を落ち着けて仕事をすることができないため、専門的な知識を深めることが難しい状況です。
ジョブローテーションを導入した結果、優秀な社員が次々と退職してしまうケースも見られます。企業にとってジョブローテーションの一番のリスクとも言えるでしょう。ここでは、優秀な社員が退職してしまう理由を解説していきましょう。
優秀な人ほど「この場所ではこれ以上成長できない」と実感した時に、退職をしてしまう傾向があります。
優秀な人材は、自分のスキルやキャリアを磨くことに熱心であり、そのための努力は惜しみません。
たとえ、一からのスタートになるとしても、魅力的な仕事に出会えたら移ってしまう可能性が高いのです。また、優秀であるため、新しい職場でも活躍できるケースも多いでしょう。
優秀な人材ほど、仕事をより向上させるためのアイデアや斬新な提案を行います。
しかし自分の判断で自由に実行できる機会が与えられない場合には、少しずつ不満な気持ちが高まってしまいます。
大企業になればなるほど、上への承認が必要とされ、また、上司の気分次第で握りつぶされることも裏で行われる場合があります。
せっかくのアイデアを試すことができず、ただ指示されたことだけを粛々とこなしていかなくてはならないことは、優秀な人材にとって耐えがたいものであるでしょう。
どんなに福利厚生や待遇、給与などが良くても、優秀な人はそれだけでは満足しません。
優秀な人は、自分の人生の大半を捧げる仕事や会社の将来性に共感を持てなかったり、経営方針に納得出来なかったりした場合は、退職を考えます。
本来は人材育成のために効果をもたらすはずのジョブローテーションが、かえって悪い影響を社員に及ぼす場合があります。
ここでは、ジョブローテーションの悪い例を解説していきましょう。
ジョブローテーションは、社員に様々な仕事を経験させて人材育成をするものなのですが、意図が伝わらずただの定例の異動だと認識されてしまうと意味がありません。しっかりと意図を従業員に説明することで、企業の意図と従業員の意図をすり合わせることができ、ジョブローテーションの効果を向上させます。
現在の部署で経験を積み、これから頑張ろうとモチベーションが上がった途端に、あっさり違う部署へ移動されてしまう場合もあります。
能動性が高く気合を入れていた人ほど、確実にモチベーションは低下してしまうでしょう。
特に、今までいた部署で専門性を磨けると張り切っていた人は、これ以上、この会社にいても成長する機会はないと判断して、退職してしまう恐れも十分にあり得ます。
今回は「ジョブローテーションを原因に退職してしまうケース」について詳しく解説をしていきました。
ジョブローテーションは上手く活用すれば、社員だけでなく企業も成長できる制度ですが、使い方を誤ると、社員の退職リスクや成長の伸び悩みを抱えてしまい、逆効果になってしまう場合もあります。
優秀な社員ほど見切りをつけて、違う会社に転職してしまうことも多いようです。
ジョブローテーションを導入する際には、くれぐれも社員の意向や将来性を尊重しながら、有効的に活用することをおすすめします。