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法人税・法人住民税・法人事業税の違いを徹底解説!

HUPRO 編集部
法人税・法人住民税・法人事業税の違いを徹底解説!

法人税・法人住民税・法人事業税にはどのような違いがあるのかご存知でしょうか?法人税・法人住民税・法人事業税の違いは、税金の納付先、課税標準、赤字計上の場合の支払い義務、損金算入の可否です。
今回は、法人税・法人住民税・法人事業税の違いについて解説していきます。

法人税・法人住民税・法人事業税の違い

法人税と法人住民税、法人事業税の違いは以下の4種類です。

・税金の納付先
・課税標準
・税率と計算方法
・赤字計上の場合の支払い義務
・損金算入の可否

それぞれどのように違うのか確認しておきましょう。

税金の納付先

法人税・法人住民税・法人事業税を納める対象は、以下のようになります。

法人税:国
法人住民税:都道府県及び市町村
法人事業税:都道府県

法人が納める税金には、国税と地方税の2種類があります。国税とは国に対して納める税金であり、地方税とは都道府県または市町村の地方自治体に納める税金です。法人税は国税であるのに対して、法人住民税と法人事業税は地方税にあたります。

法人が納める国税は、法人税以外に下記の税金があります。

・消費税
・地方法人税
・地方法人特別税
・印紙税
・登録免許税

地方法人税とは、法人の課税所得に対する税金のひとつです。自治体に配分される地方交付税の差を縮めることを目的として、2014年に行われた法制改正により創設されています。法人事業税は、法人税と同様に国に対して税金を納める国税になります。

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地方法人特別税とは、都道府県ごとの財源のかたよりを是正するために設けられた税金です。地方税の体系が抜本的に改正されるまでの暫定措置として、平成20年10月より事業税の一部を区分してスタートしました。

名称に地方とついており税額の計算に都道府県の税計算に用いる6号様式を用いますが、地方法人特別税は地方税ではなく国税の一種です。

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法人が納める地方税は、法人住民税と法人事業税以外に下記の税金があります。

・地方消費税
・事業所税
・不動産取得税
・固定資産税
・償却資産税
・自動車税
・軽自動車税

課税標準

課税標準とは、税金を計算する際に用いられる基準です。
法人住民税を計算する際には以下の3点が課税標準になります。

・法人税額
・従業員数
・資本金

法人税額を課税標準として法人税割が、従業員数と資本金を課税標準として均等割が算出されます。

一方、法人税と法人事業税は、所得が課税標準になります。この場合の「所得」は「利益」とは異なる点に注意しておきましょう。企業会計においては、「収益―費用=利益」となります。一方、税務会計においては、「益金―損金=所得」です。

赤字になった場合や損金算入などにも関わるので、違いを理解しておく必要があります。

税率と計算方法

税率と計算方法

・法人税の計算式は、以下の通りです。

法人税=所得×法人税率

法人税率は、開始事業年度や資本金、所得によって変動します。また、法人税率は改正があるため、変動されます。納税の計算をする際には、財務省または国税庁のホームページなどで、法人税率に変動がないかどうか、確認をしてから計算をしましょう。

・法人事業税の計算式は、以下の通りです。

法人事業税=所得×法人事業税率

法人事業税率は、法人の種類や所得、軽減税率、事業開始年度、都道府県などによって異なります。
法人事業税率は3つの段階に分かれており「年間400万円以下の場合」「年間400万円を超えて800万円以下の場合」「年間800万円を超えている場合」があります。そして、こちらも法人税率と同じように税制の改正によって税率が変動します。法人事業税を計算したい場合は、それぞれの都道府県の税務課などの窓口に確認をとるようにしてください。

・法人住民税の計算式は、以下の通りです。

法人住民税=法人税割+均等割

法人税割は、各都道府県の住民税率によって変動します。均等割の課税標準は従業員数と資本金です。課税標準が異なるので別に計算する必要があります。

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赤字計上の場合の支払い義務

法人が赤字だった場合は、法人税と法人事業税を支払う必要はありません。
上記の計算式を見て分かるように、法人税と法人事業税の計算式には、「所得」が含まれています。赤字計上の場合、つまり「所得」がゼロだった場合は、計算結果もゼロになるので、支払わなくて良いというわけです。

ただし、資本金1億円以上の企業は、法人事業税に外形標準課税と呼ばれる付加価値割と所得割が加算されるので、法人事業税を支払う必要があります。

一方、法人住民税の均等割りについては、資本金や従業者数によって定額なので、支払う必要があります。

損金算入の可否

法人税と法人住民税は、損金として計上できません。一方、法人事業税については、費用としての計上が可能です。ただし、資本金が1億円以上のような大きな法人に関しては、法人事業税のほかにも「外形標準課税」といった税金も課されるため、気を付けなければなりません。

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