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株式無償割当とは?わかりやすく解説します!

HUPRO 編集部
株式無償割当とは?わかりやすく解説します!

株式会社は、出資者に対して出資額に応じた株式を割り当てています。出資者の株式の持分によって、会社における議決権や株式配当額が異なります。この株式の割当方法のひとつに株式無償割当があります。
今回は、株式無償割当とはどのような割当なのかについてわかりやすく解説していきます。

株式無償割当とは

株式無償割当とは、無償という言葉の通り、株主から新たな出資を受けずに、会社の株主に株式の割当をすることをいいます。
株式無償割当の特徴は、株主に対して株主全員に平等に割当をしなくてはならないこと、自己株式がある場合には自己株式に対しては割当をすることが出来ないことにあります。

平等な割当とは

株式無償割当は、全ての株主を対象とし、また既存の株式の保有割合に応じて新規の株式を割当てる必要があります。例えば、会社の株式を100株持つ二人に対して、一人には10株を無償割当、もう一人には20株の無償割当をするというように、恣意的に割当てる株数を選択することは出来ません。

株式無償割当の決議

株式無償割当を会社が行うためには、まず株主総会又は取締役会での決議が必要です。この決議では、株主に割当を行う株式の数や種類、その数の算定方法、株式無償割当の効力が生ずる日を定めなくてはいけません。自己株式とは、株式会社が発行済み株式を自社で保有している株式をいいます。
株式の数や種類とは、株式無償割当では異種の株式や自己株式を交付することが出来るため、その数や種類を定める必要があります。またその数は既存株主に対して株式の保有数の一定割合とする等の株主に一律の算定方法を定める必要があります。

株式無償割当の効力が生ずる日とは、効力が生ずる日をもって割当を受けた株式について株主は所有者となり株主としての権利が生じ、また会社は効力が生ずる日の後に遅滞なくその割当があった旨を株主に通知をする必要があるため、明確に定めることが大切です。

議事録には、株主総会又は取締役会の開催日時、開催場所、出席者、議長や議事録作成者等の他の株主総会又は取締役会で必要な事項と、上記の議案である株式無償割当について承認可決された事項を記載する必要があります。
この議事録は登記申請に必要となる他に、株主総会又は取締役会が開催されてから10年間会社は保存する義務があります。議事録の保存を怠った場合には、代表取締役に100万円の過料が命じられます。

 株式無償割当の決議

株式無償割当の登記

株式無償割当を行うことで、会社の発行済株式数は増加します、発行済株式数は登記簿に記載すべき事項であることから、株式無償割当の効力が生ずる日から2週間以内にその登記申請を行う必要があります
登記申請には、

・登記申請書
・株主総会議事録
・取締役会議事録
・株主名簿等の書類

司法書士に委任をする場合には、

・委任状
・登録免許税等

が必要です。

株式分割との違い

株主から新たな出資を受けずに、会社の株式を増やす方法は、株式無償割当の他に株式分割があります。
株式分割も出資を受けずに株式が増えることから、株式無償割当と同様に、株式の一株当たりの単価を下げる効果があり、株式の流動性の確保等に効果があります。

しかし株式分割とは様々な点が異なります。まず、株式無償割当のように異種の株式や自己株式を交付することが出来ません。また、株式無償割当ではその原資を自己株式の処分によることが出来ますが、株式分割では自己株式の処分によることが出来ません。さらには、株式無償割当では会社は効力が生ずる日の後に遅滞なくその割当があった旨を株主に通知をする必要がありますが、株式分割ではその必要がありません
代表的な違いはこのようになっており、株主から新たな出資を受けずに株式を増やすことについて、会社は株式分割株式無償割当を使い分ける必要があります

株式無償割当の税務処理

株式無償割当を行った会社は、この株式の割当は無償で行われることから、金銭としての損益の発生はありません。このことから法人税の課税対象となる取引は発生しません。
しかし、貸借対照表の純資産の部には、割当の方法により影響を与えます。株式無償割当を株式の新規の発行によって行う場合は、純資産の部の金額に影響を与えません。一方で無償株式割当を自己株式の処分によって行う場合は、自己株式の帳簿価格をその他資本剰余金から控除する必要があり、純資産の部の金額に影響を与えます。

まとめ

今回は、株式無償割当について解説しました。無償での割当の為、金銭授受による損益は発生しないものの、株主の各株式保有数に変動があり、また株式保有数は株式会社にとって議決権等に関わる重要なものですので、慎重な判断と正確な手続きが必要となります。
株式無償割当についてご不明な点がございましたら、登記に関することは司法書士や法務局、税務会計処理に関することは税理士や会計士、税務署等に問い合わせすることをお勧め致します。

この記事を書いたライター

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