原価計算が重要だということは多くの人が知っていますが、原価計算の目的はいろいろありますので、詳しく知っておくことが必要です。原価計算の目的別に、どんな原価計算をしたらいいのかも異なってきます。
原価計算の目的と様々な原価計算の特徴や役割についてご紹介します。
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原価計算の目的は、次の5つの目的があると言われています。
期末などに財務諸表を作成しますが、企業にとっては財政状況を表すための大事な諸表です。この財務諸表に載せる原価も大事な数字となります。
出資者や債権者、経営者にとって、正確な収支状況をわかるためにも、正確な原価を提示する必要があります。
原価計算をすることで売値や販売価格を考えることができるようになります。売値や販売価格の計算材料になるのが原価計算ですので、企業が価格を決める際には必要不可欠です。
企業によっては、経営者だけでなく各部署での原価管理をするために原価計算を行います。利益を生むための原価管理が大切で、「標準原価」を目安として設定して比較しながら、原価管理をすることも必要です。
経営上では、原価率を下げるよう計画的に努力する原価管理がとても大切になってきます。こちらを考える上でも、「標準原価」を知った上で行うことが重要です。
予算を立てる際には、原価と利益を考えながら生産計画を作り、それをもとに年間や月間の計画を立てていきます。
原価がいくらでできて、予算としていくら必要なのか、どのように生産するのかといった生産計画を作るため、予算を立てる際には原価計算が資料になります。
経営に関する意思決定を行うためにも原価は大事になり、経営計画自体を左右する一つの大きな要因であると言えます。原価が大きく上下する場合は、経営の戦略を考え直し、方針を変える意思決定をする場合もあります。
原価計算をする目的としては、5つの目的がありましたが、原価計算自体にもいろいろな種類があります。大きく分けて3つの種類があります。
原価計算には「実際原価計算」「標準原価計算」、「直接原価計算」の3種類があり、計算方法もそれぞれ異なります。
原価計算は3種類あり、それらを5つの目的で活用するのがおすすめです。具体的に目的別にどんな種類の原価計算をしたらいいのかを見ていきます。
実際の財政状態を把握するために財務諸表を作る際には「実際原価計算」が必要です。実際に掛かった費用によって原価を計算して表示します。
価格計算のためには「標準原価計算」と言って、製品1個当たりの「標準原価」をあらかじめ目安で計算する方法で計算します。
目安となる「標準原価」で売値、販売価格が計算でき、いくらで売るのかといった価格が決められるようになります。事前に目安の原価が分かるように計算します。
あらかじめ原価を設定して製造していく、原価管理のためにも「標準原価計算」が大切です。算出した「標準原価」に沿うように製造していくよう管理します。差異が生じた場合には、原因を追究していくこともしながら、標準原価に近づけるように努めていきます。
予算を立てるための原価を「予算原価」と言います。
標準原価計算をもとに、予算製品の原価を出します。予算製品製造原価を出し、これも実際に掛かった「実際原価計算」の数字と比べながら、予算との分析結果を出していきます。
経営の意思決定のためには、「標準原価」で予測をしながら意思決定をする場合と「実際原価」をもとに判断する場合があるでしょう。意思決定の場面に応じて「標準原価」で行う場合と「実際原価」を基準にこれからのことを決定する場合があります。
原価が悪化することもよくあることですので、「標準原価」が「実際原価」と大きく異なってくることもあり、きちんと分析できるようにしておくことが大切です。
原価計算は、企業では様々な目的で活用されることがわかります。
企業では、財務会計と管理会計が行われ、財務会計は自社の財政状態を把握するために財務諸表を作成することが重要で、そのための原価計算は大切です。
「実際原価」をしっかり求める必要があります。
管理会計では、事業の管理を目的に、経営に関する重要な意思決定をするために原価計算が使われます。多くの原価計算の種類がありますので知った上で、それぞれに必要な原価計算をして、外部への報告向けや内部の事業管理用の目的に役立てるといいでしょう。