社内研修資料を作成している途中で、これって著作権侵害になるのかなと思ったことはないでしょうか?著作権についてなんとなく分かっているつもりでも、どのような場合に著作権侵害になるのか具体的なことは理解できていないことが多いです。
社内研修資料で著作物を利用する場合、適正な方法で引用すれば著作権侵害になりません。今回は著作権侵害にならない社内研修資料を作成方法を解説しますので、著作権についての理解を深めておきましょう。
社内研修資料の中で著作物が適正な方法で引用されていれば、著作権侵害になりません。
著作物を引用する場合には、以下の5点が守られている必要があります。
•公正な慣行に合致している
•引用の目的上正当な範囲内で行う
•引用元を明示する
•社内研修資料の文章と、引用する文章が明確に分けられている
•社内研修資料の文章と、引用する文章が主従関係にある
著作物の利用を検討している場合には、著作権侵害にならないケースもあります。
「著作権者の許諾を得て、又は第六十七条第一項、第六十八条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定を受けて著作物を利用しようとする者は、これらの利用についての検討の過程(当該許諾を得、又は当該裁定を受ける過程を含む。)における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、当該著作物を利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」
著作権法第30条の3
かみ砕いていえば、以下の3点を満たす場合には、著作権侵害にならないということになります。
•著作物の許可をもらう予定があること
•この予定の許可を得るための検討をする過程であること
•必要と認められる限度であること
既存のキャラクターを使用するプロジェクトを検討している場合には、許可が下りればキャラクターの使用許可をもらうことが必要です。このプロジェクトのプレゼンは、「許可を得るための検討をする過程」とみなすことができます。このような場合では、必要と認められる限度内で、許可をもらう前にキャラクターを複製して使用することができます。
著作権とは、著作物を作成した人に与えられた権利で、著作物がどのように扱われるかを決めることができる権利です。著作者には、著作物の利用に対して許可・拒否・使用料の請求などを行う権利が認められています。
著作物は、思想や感情によって作られたもので、個人が書いた文章や撮影した画像、動画なども著作物として認定されています。WEB上の画像やSNSに書かれた文章なども著作物に該当するので、ネットで簡単に入手できるからと言って許可を取らずに利用すれば著作権侵害になります。
社内研修資料が著作権侵害と判断されるケースを紹介しておきます。
•書籍や雑誌のコピーを研修資料として配布する
•社内研修資料の中で、文章の一部を引用せずに記載する
•雑誌の一部を撮影し、資料に添付する。
•ネットで公開されている文章や画像を資料に張り付ける
著作権侵害は親告罪です。被害者が訴えることで初めて成立する罪になります。
著作権侵害が成立すれば、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、もしくはその両方が課せられることになるので、十分に意識しておく必要があります。
私的利用であれば著作権侵害とはなりません。
この場合の「私的利用」を間違って理解している人が多いので注意が必要です。
範囲が限定されている、外部に流出しない場合を私的利用と解釈して、安易に複製してしまうケースがあります。社内研修資料であれば、閲覧する人数が少ないことが多く、外部に流出することはないでしょう。だからといって、著作物を自由に使用してよいわけではありません。
社内研修資料を作成するのは個人なので「私的利用」と考えるかもしれませんが、作成された資料が業務で使用されるのであれば「私的利用」にはなりません。自分のための参考資料として著作物を複製し、会社のパソコンに保存する場合であれば「私的利用」と判断されない可能性があります。
教育機関においては、著作物の複製が認められています。
社内研修が従業員の教育を目的としていても、学校や教育機関ではない営利企業では著作権法35条に該当しません。
この記事では社内研修資料における著作権について解説しました。
社内研修資料で著作物を参考資料として用いる場合には、適切なルールに基づいて引用することで著作権侵害にはなりません。
著作物を引用する場合には、以下の5点が守られている必要があります。
•公正な慣行に合致している
•引用の目的上正当な範囲内で行う
•引用元を明示する
•社内研修資料の文章と、引用する文章が明確に分けられている
•社内研修資料の文章と、引用する文章が主従関係にある
著作権侵害が成立すれば、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、もしくはその両方が課せられることになるので、社内研修資料で著作物を扱う場合には細心の注意を払うようにしましょう。