理士の合格平均年数は約7年と、税理士になるのは簡単ではありません。これから税理士として働きたいとなった場合、長い時間をかけて勉強することになるでしょう。年齢を重ねていても税理士になれるのかどうか疑問に思われる方も多いようです。今回は、税理士は年齢を重ねていてもなれるのかを考えてみます。
税理士になるには、まず学歴、職歴、保有資格のいずれかを満たすことで税理士試験を受験することができます。その条件は、以下の通りです。
・大卒、短大卒
・簿記一級、会計士補などの資格を取得している
・会計などに関する業務を3年以上経験している
そして、国税官公署で23年以上勤めていれば、税理士試験を受けなくても税理士になることができます。また、弁護士や公認会計士の資格を取得すれば、法律や会計といった知識が豊富であると認められるので税理士として働くことも可能です。
つまり、大卒や短大卒から税理士になるのが一般的な方法です。
実はすでに税理士として活躍している人の平均年齢は、60代以上です。つまり、定年を迎えていそうな人たちが今の税理士界を支えているといっても過言ではありません。これは若くして税理士を目指している人や税理士になる人が少なくなっていることが要因となっています。
税理士全員が国家試験に合格して税理士になっているわけではないことには注意しなければなりません。上述したように、23年以上国税官公署で働いていれば税理士試験を受けなくても税理士になれるので、定年を迎えた後に税理士になる人も一定数存在するということになります。
では、実際に税理士試験を受験している年齢層はどれくらいなのか気になりますよね。実際、税理士試験の受験者数は右肩下がりになっており、それに応じて合格率も少しずつ下がっています。そして平成30年の税理士試験年齢別受験者数を見ると、なんと41歳以上が1万人以上もいることが分かっています。
次いで多いのは31歳~35歳の約5700人、続いて36歳~40歳の約5200人、最も低いのは25歳以下の約3600人と、軒並み年齢を重ねている人が税理士試験を受けていることが分かりますよね。
合格率に着目してみると、同年度の税理士試験年齢別合格率から、なんと受験者数が最も少ない25歳以下の27%が最も高い合格率であることが分かりました。最も受験者数が多い41歳以上の合格率は、最も低い合格率である10%でした。
つまり、合格者自体の数は受験者数と相関はなく、合格者数自体は各年齢に同様に分布していると考えられます。
合格率の結果からは、年齢を重ねているほど税理士に不利になりにくいとは言えるでしょう。しかし、毎年新たに合格している40代・50代・60代の方も一定数いるため、諦めず勉強をすれば税理士試験に合格できる可能性はございます。
冒頭で説明したように、税理士試験の合格年数は約7年だとされているということは、7年間しっかり勉強していれば合格できる可能性が高まるとも言えます。
ただし、税理士試験は11科目中5科目に合格しなければならず、科目によっては合格するのが大変難しいです。それぞれの科目は1年に1回しか行われないので、不合格になれば翌年に再び挑戦することになります。
つまり、しっかり目標を立てていかないと、あっという間に年齢だけ重ねることになります。若い時であれば、時間があるので20代でも30代でも難なく税理士になれるかもしれませんが、年齢を重ねている人の場合だと時間との勝負にもなりやすいです。
年齢に限らず、税理士を目指すなら税理士事務所で働く方法がおすすめです。実際に事務所で働きながら実務を通して税理士の仕事について知り、また勉強と両立しやすい環境が増えてきているのでオススメと言えます。
税理士事務所では圧倒的に中途採用が多く、年齢を重ねていても他業種から税理士に転職する人はかなりの数いらっしゃいます。若い方が有利ですが、年齢を重ねているからといって採用されない訳ではないですし、30代や40代の方でも中途採用で他業界から転職される方も多いです。
したがって、年齢を重ねていても中途採用で十分に税理士事務所で働くチャンスがありますが、税理士事務所では何をするべきなのかある程度把握していないと選考を通過しないので、面接を受ける前に税理士事務所の仕事内容について勉強しておくのが得策です。
税理士試験は非常に難しく、年齢を重ねているほど受験者数が多くなり、合格率も下がります。しかし、税理士試験に合格して税理士になる方は毎年一定数いらっしゃるので、諦めなければ合格できるといえるでしょう。ハードルは高いかもしれませんが、しっかりと目標を持ち、勤務環境も含めて効率良く勉強する環境を整えていくことが重要なのかもしれません。