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リスクフリーレートとは?どんな場面で特に重要?

HUPRO 編集部
リスクフリーレートとは?どんな場面で特に重要?

金利の話題が挙がった際には必ず出てくるといってもよい、リスクフリーレートについてはご存知でしょうか?今回は、リスクフリーレートについて解説するとともに、リスクフリーレートを用いる場合はどういった場面であるかについて解説していきます。

リスクフリーレートとは

まずは、リスクフリーレートについて説明していきます。
リスクフリーレートとは、無リスク資産から得られる利回りのことを言います。ここでいう無リスク資産とは、安全資産ともいわれています。このリスクフリーレートは、一般的には国が発行する長期国債の利回りを利用されることが多く、日本の場合には日本国債(10年物国債が採用されることが実務上多いです)の利回り、アメリカの場合であれば米国財務省証券の利回り(10年物国債が採用されることが実務上多いです)をとっています。

このリスクフリーレートは、企業価値の算定を行う際に採用される、算定方法における要素の一つである株主資本コストを求める際に算定するCAPMに使用されることが主です。そのため以下については、企業価値の算出方法や、リスクフリーレートの用いられる場面に着目して解説していきます。

企業価値とは

上記で触れましたが、リスクフリーレートを用いる場面として一般的なのは、企業価値の算定を求める場面であるとお伝えしました。ここでは企業価値について解説していきます。

企業価値とは、株主資本コストと負債コストを合計したものを指しており、語句の通り企業全体の価値を意味しています。企業価値の算定においての要素である株主資本コストとは、株主に帰属する価値のことを指しており、この価値を算定する際にCAPM(資本資産評価モデル)というモデルを用います。このモデルにおいてリスクフリーレートはCAPM算定における構成要素の1つとなります。これに対して、負債コストとは、有利子負債である金融機関等から融資を受けている借入や社債から発生するコストを指します。負債コストについては株主資本コストを算定する際に上記で紹介したCAPMといった算定モデルはなく、一般的に借入等にかかるコストとなります。

なお、企業価値を高めることで企業としての信頼性が向上するので金融機関からの融資を受けやすくなり、企業の倒産リスクを下げることができます。また企業買収の際も、企業価値が高いほうが、買収する際に高い価格で提示することが可能となってきます。

リスクフリーレートとCAPM

ここでは、CAPMについて解説していきます。CAPMとは、資本資産評価モデルというものであり、いわゆる株主が期待する収益率を指しています。CAPMの構成要素は、リスクフリーレートとリスクプレミアムの2つからなっており、リスクフリーレートにリスクプレミアムを加味したものがCAPMとなります。ここでいうリスクプレミアムとは、市場全体の変動と連動するリスクへのリターンを指しています。このCAPMを用いて算定した株主期待収益率を用いて、株主資本コストを算定していきます。

企業価値とは

株主資本コストの算定

ここまでで、株主資本コストを算定する際に使用する株主期待収益率を算定するためにリスクフリーレートが用いられることを解説してきました。具体的に株主資本コストの算定についてみていきましょう。

株主資本コストを求める際には、将来発生するフリー・キャッシュ・フローから株主期待収益率を割り引いた合計額となります。ここでいうフリー・キャッシュ・フローとは企業が事業活動や投資活動から得られたキャッシュ・イン・フローからそれらに係る費用や税金を差し引いた後に残る、企業が最終的に獲得したキャッシュ・フローのことをいいます。このフリー・キャッシュ・フローから株主期待収益率を用いて割り引くことで時間価値を加味することとなり、将来発生するフリー・キャッシュ・フローが現時点においてどの程度の価値であるか、いわゆる現在価値を算定していますこの現在価値こそが株主資本コストとなります。

負債コストの算定

話はそれますが、企業価値の算定においての構成要素である負債コストについても触れておきます。負債コストとは、企業が事業活動を行ううえで金融機関等から資金調達したことによるコストであり、具体的には借入金に係る支払利息や、社債を発行した際にかかる発行費用や社債利息がこれにあたります。こういった費用は、税務上においては損金算入されるものであることから損金算入分については負債コストから除く必要がありますのでこの点留意してください

まとめ

リスクフリーレートとは、企業価値を算定するうえで使用する株主資本コストを算定するにあたって利用される重要な要素でありますので、リスクフリーレートについて一般的にどういったものを採用されるのかを理解しておく必要があります。このリスクフリーレートの採用方針によって、企業価値に影響を与えますので専門家の見解を確認することをお勧めいたします。

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