「株主資本」と聞いて何を連想しますか?今回は、実際の企業の貸借対照表も交えながら、貸借対照表の「純資産」の部から「株主資本」をピックアップして詳しく解説します。「資本」と名前のつく用語が多いですが、しっかりと確認していきましょう。
株主資本は「貸借対照表」の純資産の部から、
に相当する金額を差し引いたものです。
似た意味合いを持つ言葉に「自己資本」がありますが、自己資本は「評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)」を含んでいる点が株主資本との違いです。
言葉だけではわかりづらいので、次の項から図を使って説明します。
具体的に株主資本を理解するために「貸借対照表」のイメージ図を見てみましょう。
貸借対照表は、ざっくりと
と3つに分けられ、このような構成になっています。
「株主資本」はこのうち「純資産」の部に該当するものです。
「あれ?『資本』の部はどこにいったの?」と会計の知識がある方は思われるかもしれません。実は、2006年の会社法改正により、「資本」の部は、資産と負債との差額を示す「純資産」の部となっているのです。
貸借対照表の具体的な見方やそれぞれの項目については、別の記事で解説していますので、そちらをご覧ください。
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それでは、次の項で「純資産」の部をもっと細かく分解してみましょう。
次は、貸借対照表の「純資産の部」を分解してみます。
「純資産」は、以下の4つの要素で構成され、「株主資本」はその一部です。
「非支配株主持分」は、連結子会社の資本のうち連結親会社の持分に属しない部分、およびそれを表すものなので、連結の財務諸表以外存在しません。
そのため、純資産=自己資本となる場合もあります。
さらに、会社によってはその他の包括利益累計額・新株予約権がない場合もあるので、純資産=自己資本=株主資本となることもあります。
さて、「株主資本」は、以下の4つの要素で構成されています。
「株主資本」というと、真っ先に思いつくのが「資本金」ですが、「株主資本」には、資本金から発生した利益の「利益準備金」や「利益剰余金」も含みます。
株主が資本金に出資した結果、生じた利益も株主の持ち分であるという考えを取っているからです。
資本剰余金・利益剰余金については以下の記事でも解説しています。併せてぜひご一読ください。
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それでは、株主資本は実際にどのような感じで貸借対照表に記載されるのか、見てみましょう。
以下は株式会社ユニクロの2019年8月期決算です。ユニクロは8月決算なので、2018年9月~2019年8月までの内容となっています。
右下の「純資産の部」に「株主資本」がありますね。
1886億円が株主資本、資本金は10億円ですが、利益から必要経費を差し引いた利益剰余金が1858億円と非常に高いことがわかります。
「株主資本」は純資産の部の中心となる項目なので、しっかり理解しておきましょう。
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